![[試乗インプレッション]マツダ・デミオ 13C (5MT) 念願成就 [試乗インプレッション]マツダ・デミオ 13C (5MT) 念願成就](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/024/120/089/24120089/p1m.jpg?ct=7f1752349573)
以前より、一度は乗ってみたいと思っていたマツダ・デミオのベースモデル「13C」に設定されている5MT車をテストすることが出来た。今のご時世、販売台数が見込めないMT車を試乗車として用意する販売店は稀。スポーツグレードならまだしも、ベースグレードのMT車なんて絶望的と思っていたが、埼玉のマツダレンタカーでコッソリと「13C」の5MT車がレンタカーとして提供されている事を知り、早速手配した次第。
写真の通りMC前のモデルであり、ボディ色がいかにもビジネスライクなシルバーで有ったのは残念だが、贅沢は言えまい。当日は生憎の雨模様。しかも、かなりの大雨であった。今回はいつものテストコースを断念し、群馬県へ向かう往復260kmのコースを選択した。内訳としては140kmが高速道路で残りの120kmは国道中心の一般道で半分程度はノロノロの混雑だった。
現行型デミオ(DE型)をテストするのは何回目だろうか。ブログに書かなかった分も含めると相当な回数乗っている。ビジネスや旅行等でレンタカーを借りる際はデミオ(又はアクセラ)を指名しているので当然ではあるのだが。私の中では準マイカー的存在である。
2007年7月の登場以来、既に丸4年が経過し、5年目に突入した現行デミオだが、そのスタイリングは今でも色褪せておらず、国内外を見渡しても傑作と呼べるスタイリングだと思う。「2008世界カー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)」受賞の実力は伊達ではない。ある意味で奇跡的な出来事だったのかもしれない。マツダの開発陣は次期デミオのスタイリングには相当苦労するだろうね。
さて、念願の5MT車のシフトレバーはAT車と同じ部分にあり、FIAT500(1.2SPORT)や2001年に登場した2代目シビックTypeR(英国産)にも通じる。スッと手を伸ばした先にシフトレバーがあり、見た目に反して(?)とても操作しやすい。ショートストロークで手応えも少し重め。119.5万円のクルマにも関わらず、思わずニンマリ。このクラス・価格帯のMT車としては望外にスポーティなフィーリングを持ったミッションだと言える。
「13C」のエンジンは91ps/6000rpm 12.6kg-m/3500rpmを発揮。車量は970kgだから、パワーウエイトレシオは10.7kg/ps。レッドゾーンは6500rpmに設定されている。既に2.8万キロを走破した固体だったので、遠慮なくアクセルを踏み込むと、いかにもマツダらしい軽快なサウンドと共に吹けあがって行く。以前より、MTで駆るには絶好のパワーユニットだと思っていたが、やはり想像通り。主戦場である欧州を意識したのか、それとも燃費重視なのかは不明だが、2速以上の変速比が意外とハイギアであり、個人的好みを言えば2・3速はもう少しローなギア比だと面白いのだが。最終減速比以外は、1.5Lの「デミオSPORT」とも共通の変速比だから、よりパワフル(113ps/6000rpm 14.2kg-m/4000rpm)な1.5Lを選択するともっと楽しめる気がした。
しかし、119.5万円のクルマでそんなレベルの事まで考えてしまうほどデミオのベースモデル「13C」は面白かったのだと理解して頂きたい。大雨の山道でもコーナリングやブレーキ性能に不安は無く、MTを駆使しながらのドライビングは眠くなっている暇が無い。高速道路の直進安定性はもう一息頑張りたいところだが、価格まで考慮に入れればこのクルマのパフォーマンスに一切の不満は無い。私なら、購入後にタイヤを「SPORT」相当の195/45R16へアップデートし、AutoExeのストラットタワーバーなんかを入れて遊んでみるかもしれない。そんな妄想すら始まっていた。
ご存知の通り、デミオは既にMCを実施。「SKYACTIV」が話題の中心だが、嬉しい事に「13C」の5MT車はキッチリとラインナップに残されている。今回のMCでトリップコンピューター(燃費計など)が追加されたり、バリューパッケージ(+5万円)で後席のシートベルトとヘッドレストが3名分用意されるなどMC前モデルの不満点が解消されているのはニュース。フロントフェイスも「SPORT」系との差異が縮まり、精悍さがアップしている。残念なのは、DSC(横滑り防止装置)が「SKYACTIV」以外には選択肢が無いことである。
970kgと軽量なボディを軽快なサウンドと吹け上がりを見せるエンジンと5MTを駆使してクルマを走らせる喜び。実は最近ではすっかり縁遠くなってしまった様に思う。以前、
フィアット500の5MT車「1.2SPORT」の試乗記をアップしたところ、当ブログでは大変な人気記事となっている。(歴代4位)コンパクトなMT車の選択肢が少なく、試乗車も少ないことからネットで情報を探しておられる方が多い事の表れだろうか。今回のデミオ「13C」はフィアット500の楽しさを95%程度カバー出来ていると思っていい。あちらは208万円のプライスを掲げるが、1.2LのSOHCエンジンは69ps/5500rpm 10.4kg-m/3,000rpmを発揮し、車重は990kg。実はデミオ「13C」とスペック的にも結構近い。両車を乗り比べた感想として、ボディの剛性感やエンジンサウンド・インテリアの質感などに価格差なりのアドバンテージをフィアット500に感じるが、22ps/2.2kg-mのエンジンスペックの差はそのままデミオの動力性能として発揮されている。それよりも88.5万円の価格差はもはや「比較検討」する価値を感じないほど大きい。もちろん、フィアット500にSTART&STOPシステム(アイドリングストップ機能)や7エアバッグ・ESP(横滑り防止装置)が装備されることは考慮する必要が有る。もし、デミオの「SKYACTIV」に5MT車が有れば胸を張ってデミオの勝利宣言が出来たのだが。次期モデルに期待。
ロータリーエンジン搭載車「RX-8」を廃止し、「SKYACTIV」テクノロジーの開発に邁進するマツダ。燃費だけではなく、走りの楽しさも両立すると公約しているから、不安視はしていないのだが早く、その完成形を試してみたいものだ。
今回、264kmを走破し給油は13.1Lで燃費は20.15km/Lと大台突破を達成し、また驚いた。今回は遠慮なくブンブンとエンジンを回していたし、雨天のため除湿目的でエアコンは100%動作。改めて、シンプルなMT車は燃費が良いことを実証してしまった。MT車に抵抗が無い人はハイブリッド車なんて買ってる場合じゃないですよ。私が購入するならば、エコカー減税を無視して受注生産の「15C」にも設定のある5MT(133.5万円)かな。「SPORT」は162.1万円と割高感があり、スイフトスポーツへ興味が行ってしまうから。「15C」にSRSサイド+カーテンエアバッグ・ドライビングコンフォートPKG・イモビライザー・アドバンストキーレス(全てセットOP)を追加しても148.7万円。うーんお買い得。ボディ色はトゥルーレッドかスピリティッドグリーンで悩むんだろうな。

↓群馬で立ち寄った「
永井食堂」。もつ煮で有名なお店。とても美味だった。
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試乗インプレッション | クルマ
Posted at
2011/10/10 20:22:31