![[フルモデルチェンジ]スバル・インプレッサ 4代目の変革は本物か。 [フルモデルチェンジ]スバル・インプレッサ 4代目の変革は本物か。](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/024/916/075/24916075/p1m.jpg?ct=935ce67884b8)
スバル・インプレッサがフルモデルチェンジ。4代目へ移行した。先代のインプレッサは僅か4年半のモデルライフだった訳だが、従来のスバル車はモデルライフが長く、毎年改良(年次改良)を施していく事で完成度を増していくのが通例だった。初代8年・2代目7年の販売期間だった事を考えても、先代は異例に短命だった。それだけ急速に市場環境が変わり、早急かつ大胆な低燃費化(環境対策)が求められている。小手先の改良ではなく、根本的な部分にも及ぶ新規開発が必要と判断されたのだろう。決して、先代インプレッサが商品力に乏しいクルマとの認識は無かったが、ミッションが4ATに留まるなど残念なポイントがあったのも事実。そういう意味で楽しみなモデルチェンジであった。
既に、新型インプレッサには東京モーターショーの会場や新宿のスバル本社ビルで展示車両にじっくりと触れており、早く試乗したいと思っている。
結論から言えばスバル車らしからぬ(?)質感すら富んでおり、Cクラスのクルマとしてとても良く出来たクルマ。最近の日本メーカー車からは感じられなかった開発チームのコダワリや熱いメッセージが伝わって来る様なモデルに仕上がっていると思う。近年スバルはトヨタ資本が入った頃より、クルマの魅力が低下したとお嘆きの方が多いと思う。北米市場を極端に優先するあまり、永年支持してきた日本のユーザーには不満が溜まっていた。同時にスバルはコストダウン旋風にも翻弄され、スバルらしいクルマ作りを見失っていた様にも感じていたが、新型インプレッサを見ていると、そんな暗い時期は終わりを告げ、再び自分達が作るべきクルマの姿を取り戻しつつある様にも感じた。恐らく、今後の改良でレガシィも各部がアップデートされるだろうし、次期フォレスターも期待出来そうだ。(エクシーガに次期モデルがあるのかは不明だが)
新型インプレッサは「SPORT」(5ドアHB)と「G4」(セダン)の2本立て。先代セダンは(日本市場では)遅れて投入されたが、新型は同時発売。むしろ、グローバルではセダンの方が売れ筋だ。レガシィのセダンが「B4」ならば、インプレッサのセダンは「アネシス」改め「G4」。「B4」も登場した頃は随分と違和感のあるネーミングと思っていたが、今では普通に浸透しているのだから、「G4」もじっくりとロングスパンで浸透させて行くべきだろう。このクラスのセダンは少数派になっているから、AWDの設定も含め一部では熱烈に喜ばれるだろう。少なくとも、これ以降は日産・シルフィやラティオを買う必要は無いだろうね。一番のライバルはマツダ・アクセラセダンかな。個人的にアクセラのセダンはカッコイイと思う。
新型インプレッサには「WRX」や「GT」と名の付くターボエンジン搭載モデルは用意が無い。今後は別モデルとして独自の進化をして行くらしい。当面は先代ベースのモデルがインプレッサの冠を外し「スバル・WRX STi」として併売される。これまでのインプレッサはターボエンジンを積んだスポーツ路線のグレードが主流で、NAエンジンのベースモデルは影が薄かった。内外装もベースというよりは、ターボ車から色々剥ぎ取られた様な寂しさすら感じていたかもしれない。既にWRCからも撤退しており、時代背景から考えてもハイパワーの「WRX」が中心のラインナップは難しい。スバルが下した選択は正しいと思う。
一方で、ベースモデル用のエンジンは1.5L→1.6Lに変わった。もちろん新世代のFB型ユニットであり、最近流行のロングストロークタイプで、低中速トルクが太くなっているらしい。日本ではガラパゴス的な税制のお陰で1.5Lが喜ばれるが、ワールドワイドでは1.2L/1.4L/1.6L...と200ccずつ刻むのがスタンダード。年間約5000円の税額アップを生じるが、先代の1.5Lモデルは4ATであった事もあり、非力な印象が拭えなかった。新型はスバル自慢の新世代CVT(リニアトロニック)を組み合わせる事もあり、走りにも期待している。私はかなりのCVT嫌いだと自認しているが、さすがCVTの老舗スバルが開発した「リニアトロニック」は私の知る限り、ベストCVTだろう。トヨタ車の様に滑稽にもカタログ燃費を優先し、気持ち悪い違和感を振り撒くようなタイプとは無縁のユニットである。2.0Lの「リニアトロニック」車には6段タイプのパドルシフトが付くのもニュース。無駄に7段にするよりも、エンジンブレーキを目的に各段毎のステップを大きくしたほうが実用的と私は思う。また、1.6L/2.0Lに共通して、「リニアトロニック」車(1.6iを除く)にアイドリングストップ機能が標準装着される。水平対向エンジンもアイドリングストップする時代である。
5MTモデルが1.6LのAWDのみとは言え、選択肢が有る事に喜ぶべきだ。既にマツダ・アクセラにもMT車は設定されず(マツダスピードアクセラは6MTだが)、このクラスでは稀有な存在だ。しかし、欲を言えば2.0Lに6MTが欲しかった。年次改良の際に追加を検討して頂きたい。輸出仕様としては存在する組み合わせだからこそ思いが募る。
インプレッサは贅沢にも、フロント:ストラット・リヤ:ダブルウィッシュボーンの4輪独立サスに4輪ディスクブレーキも標準装備する。こういう基本的な部分で手を抜かないところがスバルの良い所である。今回、全車にVDC(横滑り防止装置)が標準で備わった事もニュース。そういう意味で、ベースモデルの1.6i(FF/CVT)が154.4万円~のプライスを実現した事は大いに評価されるべきだろう。その他、ステアリングのチルト・テレスコや運転席シートリフター、後席3名分のヘッドレスト+3点式シートベルトが全車に標準装備。惜しくもSRSサイド+カーテンエアバッグがメーカーOP(1.6iは設定なし)に留まったのが唯一惜しまれる部分。
そして、最大のニュースはレガシィで大人気のアイサイト(Ver2.0)がインプレッサにも設定された事だ。現時点では2.0LのAWD車に限っての設定だが、200万円台前半でアイサイト搭載車が提供されるのは大きな前進といえる。今後、上級車のレガシィは(MT車を除いて)全車標準装備でも良いのでは無いか。インプレッサについても、今後の改良で1.6Lや2WDにも採用拡大を期待したい。
インプレッサのボディサイズはほぼ先代を踏襲しており、全長4415mm(セダンは4580mm)全幅1740mm全高1465mmホイルベース2645mmである。先代比で全長・全幅は同寸。全高は-10mmにキープされた事も評価されるべき事項。ホイルベースは+25mm、Aピラーの根元部分は+200mmも伸ばされた事で、居住空間がグンと拡大した。確かに、先代はボンネットが長く、ホイルベースも短いため独特のスタイリングであった。人によっては古臭いと判断していたかもしれない。まぁBMWの1シリーズにも通じるスタイリングでもあり、個性的と評価すべきだろうが、インプレッサはプレミアムモデルではなく、量販を期待されるベーシックカーである。新型インプレッサの変身は市場でも好意的に受け取られると思う。スバルは視界にも拘るメーカーだから、Aピラーを前進させた事のネガも(展示車を見る限り)気にするレベルではなさそうだ。
インプレッサのライバルはVW・ゴルフとマツダ・アクセラだろう。「2.0iアイサイト」がAWDで有るにもかかわらず、219.4万円に設定されたのは超バーゲンプライスだろう。ゴルフの「TSI Comfortline Premium Edition」が289万円(FF/7DSG)・アクセラスポーツ(5HB)の20S-SKYACTIVが215万円(FF/6AT)であるから、価格競争力では圧倒的にインプレッサの勝利だろう。まぁこのクラスはタイミングが合えば結構な値引きも期待出来るから、交渉次第で結論が変わってくる可能性がある。
私がインプレッサを買うならば、1.6i-Lの(5MT/AWD)184.8万円に「キーレスアクセス」「革巻ステアリング」「HIDベッドランプ」「クリアビューパック」「SRSサイド・カーテンエアバッグ」のセットOPを追加し、207.3万円。もしくは「2.0i EyeSight」(CVT/AWD)219.4万円に前述のセットOPを追加して242.0万円をオーダーするか悩むだろうな。
いずれにしても、近日中に新型インプレッサを試乗してみたいと思っている。

↓先日の東京モーターショー2011にてインプレッサをじっくりと調査した。

↓初代インプレッサ・スポーツワゴン 1992年-2000年 長寿モデル。

↓2代目インプレッサ・スポーツワゴン 2000年-2007年 3つの顔を持つクルマ。丸目・涙目・鷹目...

↓3代目インプレッサ(ハッチバック) 2007年-2011年 短命だった。
ブログ一覧 |
クルマ | クルマ
Posted at
2011/12/23 23:29:48