![[試乗インプレッション]スバル・ステラ L スマートアシスト(2WD/CVT) [試乗インプレッション]スバル・ステラ L スマートアシスト(2WD/CVT)](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/029/055/365/29055365/p1m.jpg?ct=facf21f219ae)
スバル「ステラ」をテストした。もちろんダイハツ「ムーヴ」のOEMモデルである。話題の衝突回避支援システム「スマートアシスト」が搭載されたMC後モデルを試してきた。本来であれば、OEM元であるダイハツへ行ってテストするのが筋だろうが、生憎ダイハツのお店にはあまり良い印象がない。特にクルマに対して深く説明する気がないのか、価格と燃費の事しか説明出来ないセールス氏が多い印象。ダイハツ車であるコペンを所有する人間の発言として違和感があるだろうが、我がコペンは関東在住時にとあるツテを頼りクルマ好き(コペン好き)なダイハツ・セールス氏を紹介して頂いたので無事コペンを購入したわけだが、仙台に来てからメンテナンス等で宮城ダイハツを数回(数店舗)訪れているが、やはり私の期待値には達しない。その点、スバルのお店は全国的に何処へ行っても熱心に説明をしてくれるセールス氏が多い。よって、迷わずスバルへ行った訳だ。まぁほぼ「ムーヴ」と言って良いはずだ。
さて、新型「ステラ(ムーヴ)」は注目に値するクルマである。現行型は登場からわずか2年でフルモデルチェンジに匹敵する大改良を施したわけだが、明らかに商品力に欠けていた現行モデルは様々な改良によって再びトップセラーになるだけの魅力を取り戻したと言える。話題は衝突回避支援システム「スマートアシスト」に集まりがちだが、実際にはフロント/リヤ(2WDのみ)にスタビライザーを標準装着した事や、前後サスペンションのローダウン化し(NA車)・2WD車はリヤサスペンションビームの剛性アップ等、走りのスペックアップが実施されている。これまでのダイハツ車は平気でスタビライザーを外し、直進安定性が物足りないだらしないクルマが多かった。まぁ冷めた見方をすれば、「スマートアシスト」を高い精度で動作させるためには、これくらいの対策が必要だったのではないかと推察しているが、まぁそれは言うまい。約5万円の価格アップで「スマートアシスト」に加えて、VDC(横滑り防止装置)が装着されるのだから、バーゲンプライスと言う他無い。N BOXのCMでも盛んに横滑り防止装置の有効性がアピールされており、いよいよ軽自動車の世界でも安全装備が問われる時代になったと感じている。まぁVW UP!の衝撃も少しは影響したかもしれない。惜しいのは、SRSサイド+カーテンエアバッグはトップグレードの「RS」にメーカーOPされるのみに留まったこと。しかも、「RS」には「スマートアシスト」が装着できない。開発工数が足りなかったのかもしれないが、早急に「全部入り」が出来る事を期待したい。
今回テストしたグレードは「L スマートアシスト(2WD/CVT)」で価格は111.9万円。これはライバルも真っ青なバーゲンプライスである。ダイハツは工場を九州に構え、韓国製の低コストパーツを多用する事で低価格を実現(一部)している事情もあり、手放しで褒め称えるには抵抗を感じるのだが、それでも凄い。このセグメントはスズキ「ワゴンR」・ダイハツ「ムーヴ」・ホンダ「N ONE」の3強時代に突入したわけだが、正直ここまで短期間に新型「ワゴンR」の商品力が陳腐化するとは思わなかった。少なくとも、安全装備に対して「ワゴンR」は完全に一世代遅れてしまった。それでいて価格は「ムーブ」とほぼ同等。今、この3台の中から私が1台買うとしても「ワゴンR」は選ばないだろう。スズキの早急なテコ入れが期待される。
試乗したグレードは一番ベーシックな「L」に「スマートアシスト」を装着した事実上のベースモデルである。もはや個人ユースで「スマートアシスト」ナシでは買うべきでない。後々のリセールにも響くかもしれない。低価格ではあるが日常のアシとして必要な装備はひと通り揃っている。惜しいのはタコメーターが装備されないことか。個人的には拘りたい部分だ。
インテリアはMC前がセンターメーターを採用していたが大手術を施された。見慣れた普通のレイアウトへ戻った。ただ、低コストのしわ寄せか質感は正直大したことは無い。「N ONE」はおろか「ワゴンR」にも負ける部分だろう。せめて、「カスタム系」だけではなく、「標準系」にもブラックインテリアのオプションが欲しい。「N ONE」にはその選択肢がある。そして巨大な1眼メーターがあまりにも安っぽい。機能的に不足は無いが、私はコレだけで購入意欲が30%ダウンである。
しかし、驚きはこれから。例によってスタッドレスタイヤ+20分程度のショートドライブであるため、インプレッションは参考値であるが、結構な坂道も含めたコースを走ることが出来た。何より、驚いたのがステアリングのシッカリ感。軽自動車のステアリングと言えば、妙に軽くて遊びの多い頼りないステアリングを想像するが、結構ガッシリとした手応えを感じさせてくれた。やはり「スマートアシスト」の為に基本的な部分をブラッシュアップした成果だろうか。走り出した以降、スタッドレスタイヤを履く事を考慮してもクルマはフラットに安定しており、またまたビックリ。これがこの価格帯でも出来るならば、今までのダイハツ車は手を抜いていたんだな....と。やはりスズキに加えてホンダが軽自動車に本気を出した事が刺激になったのだろう。ライバルがいて製品は磨かれていく。
正直、CVTのフィーリングはスズキの副変速機構付きに軍配。「ステラ(ムーヴ)」のCVTは違和感のあるスリップ感(ズルズルした感じ)があるが、810kgのボディを走らせるのに不足はない。エンジンのノイズも適度に抑えられている。実はホンダ「N ONE」の弱点はこのエンジンノイズが大きいことだと思う。試乗コースは結構な坂道を含む郊外のコースだったが、終始、引き締まった足回りとステアリング周辺に感心していた。111.9万円と言う低価格で「スマートアシスト」とこの走りが手に入るならば、文句は言うまいと思った。願わくば、特別仕様車でブラックインテリア+タコメーターを装備した標準系モデルが出ると面白いのではないか。「ムーヴ」をきっかけにダイハツ車の走りが改善され、軽自動車全体のレベルが更に向上していくことを期待したい。とても有意義なテストだった。ちょっと「コペン」のセカンドカーとして「ステラ」を買おうかと考えたくらいである。
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試乗インプレッション | クルマ
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2013/01/30 22:44:01