![[試乗インプレッション]メルセデスベンツ・B180 モデル末期の熟成銘柄 [試乗インプレッション]メルセデスベンツ・B180 モデル末期の熟成銘柄](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/040/421/954/40421954/p1m.jpg?ct=013e2ae8c5c9)
先日、
BMW「2シリーズ・アクティブツアラー」をテストしたが、やはりライバルとなるメルセデス・ベンツ「Bクラス」にもこのタイミングで乗っておきたいと思う。
本国では2011年11月から発売され、日本市場には翌2012年4月に投入されているから、「Bクラス」はそろそろモデル末期と言って良い時期だろう。但し、次期「Bクラス」について公式のアナウンスがないから、モデル廃止の可能性もありそうな気配。現在のメルセデス・ベンツにおけるエントリーラインを見ると、量販かつ主力の「Aクラス」に加え、SUVライクな「GLA」とスペシャリティを受け持つ「CLA」とラインナップは豊富。ユーティリティ系の「Bクラス」はチト地味な存在なだけに、今後が危ぶまれる。既に国内仕様の「Bクラス」はグレード整理が実施され「B180」の一本となっている。
「Bクラス」のエンジンは1.6L直列4気筒直噴のBlueDIRECTターボ。122ps/5000rpm 20.4kg-m/1250-4000rpmを発揮。ミッションは7速デュアルクラッチの7G-DCTを採用。残念ながらディーゼルエンジンは用意されない。現時点メルセデスのディーゼルエンジンを味わうにはCクラス以上を選択する必要がある。
「B180」の価格は360万円。今や必須装備と言える安全装備をパッケージOP化した「レーダーセーフティーパッケージ(+19.9万円)」は無料キャンペーンが常態化しているので、実質標準装備なのだろうが、カーナビ機能の追加は販売店OPで用意される。まぁザッと計算して総額400万円以上のクルマである。BMW「2シリーズ・アクティブツアラー」にも言えるが、定価ベースで考えると割高感が拭えない。まぁそんな事は気にしない裕福層が選ぶクルマとも言える訳だが。
既に見慣れた感のあるメルセデス・ベンツのエントリーラインに共通インテリア。これが国内メーカーならば「使い回し」と非難の的になりそうだが、メルセデスの場合、特に問題視するメディアも無いから不思議なのだが、未だ品質感に不足はなく、メルセデスの入門モデルを買った顧客の満足度を満たすものだと思う。
ステアリングコラムに生えるセレクターレバーでシフトポジション(P/R/N/D)の切り替えができる「DIRECT SELECT」は慣れると便利。更にパドルシフトが装備されるから、全ての変速動作がステアリングから手を離すことなく完結するのは良い。
初期モデルの「Aクラス」をテストした際、7G-DCTの変速ショックがVW のDSG(乾式7速)と比較し格段に少なくて感心したものの、もっさりとした散漫な動作が気になった記憶がある。しかし流石モデル末期となり熟成が進んだ様で、市街地を20分程度走った限りネガは無かった。ツインクラッチミッションの弱点である冷間時や急坂発進でどんな挙動となるかはテスト出来ていない。
「Bクラス」の走りはスポーティとは言えないが、良質な実用車として模範的な出来栄えと言って良いだろう。特に気に障るような尖った動きがなく、長く乗って飽きないタイプのクルマだろう。初期モデルは乗り心地の硬さが指摘されていたが、最新モデルは「しなやか」と表現しても良い範疇まで進化している。但し、日本の駐車場事情に合わせるため、無理にローダウンした弊害で、最低地上高が10.5cmしか無いのは不安要素。コンビニ等の輪留めには注意が必要だ。
ライバルであるBMW「2シリーズ・アクティブツアラー」のディーゼルエンジンと比較すると、「Bクラス」のガソリンターボは流石にトルクの細さを感じる。燃費も高価なハイオクを消費する割にイマイチの様だ。(テスト時はメーター表示で10km/Lを割っていた)また、ボディの剛性感に設計年次の古さを感じさせるのも事実。
一方、BMWの1.5L3気筒ターボエンジンと比較すると、やはり「Bクラス」に4気筒エンジンの上質さを感じた。BMWの3気筒エンジンはアイドリング時の振動(ブルブルとボディが震える程)を消せていないのが問題だ。但し、エンジンを回したときの伸びやサウンドはBMWの方が上だった。
そろそろ結論を。
メルセデス・ベンツのエントリーラインである「Bクラス」はモデル末期となり、熟成されたパワートレーンと広くて実用的な荷室が魅力的なクルマである。欧州車は熟成されたモデル末期こそがお買い得というのは間違いではない。
一方、最新のライバルと比べると、ボディの剛性感に古さを感じたり、ディーゼルエンジンが用意されない等、商品力の相対的低下は否めない。国内仕様は既にグレードが整理され「B180」一本に絞られており、メーカーも「Bクラス」にあまり大きな期待をしていない事が伺えるのは残念だ。
今から「Bクラス」の新車を買うには、総額400万円を軽くオーバーする事を納得させるだけの魅力に欠けるのは否めない。このクルマは認定中古車で登録1年以内の低走行モデル(試乗車・サービス代車あがり等)が220万円位から豊富に手に入る状態。そのあたりを割り切って買えば、かなり良い買い物になりそうだ。
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試乗インプレッション | クルマ
Posted at
2017/09/18 19:09:06