![[試乗インプレッション]トヨタ「ライズ」"Z"(4WD) 【ダイハツ「ロッキー」のOEM】 [試乗インプレッション]トヨタ「ライズ」"Z"(4WD) 【ダイハツ「ロッキー」のOEM】](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/043/480/849/43480849/p1m.jpg?ct=7e2f2f91579c)
11/5に発売された
ダイハツ「ロッキー」・トヨタ「ライズ」の記事を先日アップしたが、近年ちょっと記憶にない位の爆発的なヒット数を記録したところを見ても、このクルマが注目を集めているのは間違いないようだ。もしかしたら結構なヒット作になるかもしれないね。
さて、本来ならば本家本元のダイハツ「ロッキー」の試乗をしたいところだが、大人の事情(笑)により、トヨタ「ライズ」をテストすることに。テスト車はトップグレードの"Z"4WD/CVT。メーカーOPの「ブラインドスポットモニター+リヤクロストラフィックアラート」(6.6万円)と「パノラミックビューパッケージ(9インチディスプレイオーディオとパノラミックビュー機能)」(11.4万円)が装着されていたから、ほぼフルオプション状態で合計246.2万円のクルマ。やはり「安い」とは言い難いが、ギリギリ納得の範疇かな...。案外スズキ「クロスビー」よりも、サイズ感は違うがスバル「XV」あたりも競合相手になるかも。一昔前ならスバル「フォレスター」辺りが選べた価格帯。そういえば、ダイハツ「ロッキー」のスバルOEM版モデルが有っても良さそうだ。
さて試乗インプレッションを。
実車と対面し思うことは、写真で見るより立体的で「無理やり」5ナンバー枠内にはめ込んだような息苦しさを感じさせない造形は好印象。今時「3ナンバー」にステータスを感じるオールドタイプも少ないだろうから、国内市場にとって待望のコンパクトSUVと言える。
ドアを開け乗り込んでも、
従来のA/Bセグメントのトヨタ/ダイハツ車に感じたスカスカな手抜き感は無く、限られたコストの中で開発陣が色々と苦心をしたことを感じさせる出来。とはいえ、過剰な演出(背伸び)は潔く排しているのも好感。あくまで実用車に徹するが、商用車の様な寒々しさとは無縁のカジュアル感覚が絶妙。久々に「ブレッド&バター」と表現しても良いクルマではないか。
ドライビングポジションを調整した際、ステアリングにテレスコ機能が無く惜しいが、幸い大きな不満は無かった。フロントドアガラスに鬱陶しい三角窓が無く、ピラー角度も適切だから、左右の見切りが大変良く魅力だ。
エンジンを始動して驚いたのがアイドリング時の振動が想像より少なかったこと。従来のトヨタ/ダイハツの3気筒エンジン車(軽自動車は除く)は、とにかく不快な振動が目立った。エンジンはキャリーオーバーの1KR-VET型だから正直半信半疑だったのだが、実用上無視出来る範囲まで振動は抑え込まれていた。これだけでも新開発プラットホーム"DNGA"の採用は正解だったと言える。
次に気になっていたのは大嫌いなCVT。従来モデルは延々と続くラバーバンドフィールに嫌気しか感じなかったが、こちらも新開発のD-CVT効果によって、かなりの改善効果を実感。まぁ根っからのCVT嫌いとして、相変わらず不自然な挙動は残るものの、これはトルコンATと比較して不自然と感じるもの。CVTとしては原理的に正常な挙動と理解すべきだろう。
印象的なのは、エンジン排気量が1.0L=非力と思わせないため、ゼロ発信からの加速感はかなり入念にチューニングされていると感じた。CVTの変速比幅を拡大した効果に加え、所謂アクセルの早開きをしていると推察するが、総じて味付けは成功している。むしろ、アクセルを更に踏み込み、2500rpmを超えたあたりから急にキャビン内のエンジンノイズ侵入が増大する傾向の方が気になる。もう少し騒音対策にコストをかけて欲しいところだ。
今回のテストで体感出来た0~70km/h位までの範囲では加速感に不満は無かった。恐らく10年位前なら「燃費至上主義」が台頭していたから、こんなチューニングは許されなかったと思うが、実用域にフォーカスした設定は理に適っていると思う。ただし、今回は山道や高速道路を体験出来ていない。別途機会を設け総合的な判断をしたい。
個人的な好みから言えば、ステアリングはかなり軽い。更にインフォメーションも薄味に感じるのだが、一般的なユーザーの嗜好を反映したセッティングとしては常識的な範疇だろう。ブレーキは車重が1050kgと軽自動車並みに軽量だから、制動力に不満は無かった。
足回りについては、トップグレードのみ17インチタイヤ(195/60R17)を履くが、ドタドタ感(特に後輪)が払拭出来ておらず残念な印象。当然見た目とトレードオフだろうが、見た目で頑張るクルマでもなかろう。レアサイズのタイヤを採用するからスタッドレスタイヤが高価になるネガもあるね。
ボディ剛性は最新世代のプラットホームを与えられた事もあり、不満を感じることは無かった。車重が軽いので「ガッチリ・ドッシリ」と表現する程の堅牢感では無いが、終始スッキリとした乗り味は悪くなかった。これをベースに次期「パッソ/ブーン」を作るとすれば、割と期待できそう。もう少しドアの開閉音が重厚だと安心感が増すのだが、それは贅沢だろう。
総論として、約30分程度の試乗を通じ特に大きく印象に残るほどの「嫌な」部分がなかった。これはかなり褒めているつもりだ。何せ、根本的にトヨタ・ダイハツ車(軽自動車除く)には相当なアレルギーがある。それ故、基本的に「あら探しモード」で乗ってしまう訳だが、決定的な弱点を指摘出来ぬままテストは終了し拍子抜けした。
どうしてもSUVとなると、重厚長大な印象のモデルが多い中、5ナンバーサイズに収まる寸法と軽量で無駄の無いスクエアなボディは四隅の見切りも良く、混雑する都市部でもスイスイと走り回れるのが貴重。更に最新世代の安全装備が充実しているから、初心者から高齢者まで幅広く薦められる懐の深さは、昨今稀な国内市場を見て開発された事のメリットだろう。もし、私が毎日の通勤に使うクルマを探しているのだとすれば、きっと契約しただろうね。こういうタイプのクルマは長期間乗っても飽きないのではないか。(ロッキー/ライズのどちらにするかは少し悩むと思うが。)
間もなく日本市場でも
VWの「T-Cross」が発売になるとか。異論を恐れずに言えば、同ジャンル・同クラスのクルマだろう。但し「T-Cross」のボディサイズは全幅が1760mmもある。当面AWDが用意されない上に、価格も300万円クラスらしいから、日本市場で「ロッキー」「ライズ」とバッティングするとは考えにくい。スズキもいずれは「クロスビー」に改良を施し対抗するだろうが、当面は「ロッキー」「ライズ」が好調なセールスを記録するだろうね。SUVと言うよりも、新世代のベーシックカーとしてのポテンシャルを感じた。
トヨタ車(ダイハツ車を含め)をここまで褒めたのは初めてかも知れない…。
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試乗インプレッション | クルマ
Posted at
2019/11/22 22:22:13