![[試乗インプレッション]スズキ「スイフトスポーツ(2WD/6MT)」驚異のコスパ [試乗インプレッション]スズキ「スイフトスポーツ(2WD/6MT)」驚異のコスパ](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/045/051/237/45051237/p1m.jpg?ct=973f5b56637f)
念願の「スイフトスポーツ(6MT)」に試乗することが出来た。よく考えると、現行モデルの「スイフトスポーツ」は発売当初6ATモデルにホンの数分乗っただけで、本命の6MTモデルは初めて。
試乗コースは流れの良い郊外路を含むサービスコースだったので、ファーストインプレッションを綴るには充分な内容だった。
そもそも、6MTの試乗車が札幌にあるだけでも有り難い。マツダも折角MTを複数モデルに設定したものの、試乗車が用意されず試せないのが惜しい。このあたりは販売会社任せにせず、メーカー自ら投資して試乗車を全国巡回させるとか、もう少し努力が必要な気がするね。
さて。先日、
日産「ノート」と
ルノー「ルーテシア」の「CMF-Bプラットフォーム」を共用する新型兄弟モデルをテストさせて頂いた。どちらも最新モデルらしく平均点の高い仕上がりながら、「今すぐ欲しい」と言う程に惹かれなかったのが本音。
ならばスズキ「スイフトスポーツ」ならどう感じるだろうかと思ったのが発端。
試乗車はプレミアムシルバーメタリックの6MTモデル。メーカーOPは装着されておらず、価格は201.7万円+OP塗色+2.2万円。合計で203.9万円也。
昨今クルマの値上がり傾向が顕著だから、「スイフトスポーツ」は相対的にお買い得に感じてしまう。
現行モデルは2017年9月に発売開始。2018年7月と2020年5月に小幅な改良を受けているから、モデルライフも中盤を過ぎた頃だろうか。熟成も進みマニア向け物件としては正に買い頃と言うべきクルマ。
「スイフトスポーツ」のボディサイズは全長3890mm全幅1735mm全高1500mmでホイルベースは2450mm。車重は970kg。
現行マツダ「ロードスター(ND)」が全長3915mm全幅1735mmで車重は990kg~だから、フットプリントや重量はほぼ同等。ジャンル的に異なるモデルだが、日本を代表するライトウエイトスポーツの諸元が近似するのは興味深い。
現行「スイフトスポーツ」は1.4Lのターボエンジンを搭載するのが良くも悪くも特徴。今となっては贅沢な4気筒のK14C型直噴ターボエンジンを搭載し、140ps/5500rpm・23.4kg-m/2500-3500rpmを発揮。
正直スポーツエンジンとして見ればスペック的にあまり高回転型ではない事が何よりも気になるポイントである。
実車と対面すると、今や"僅か"1735mmの全幅と表現すべきなんだろうが、それにしては抑揚の効いたボディデザインは充分な見応えがある。
インテリアも各部にレッド色の加飾を施し、サイドサポート部がハッキリと張り出したスポーツシートが奢られるから、スポーツモデル的な雰囲気の演出も抜かり無い。とはいえ、ソフトパッドが採用されずカチコチのハードプラに留まるとか、コスト制約の厳しさを感じる部分もある。
個人的には0km/hが真下からスタートするスピードメーターは260km/hまで刻まれているのはやり過ぎ(笑)。真左に針が来た時点で既に95km/h位にも到達するから、常用の速度域が物理的に狭い。経年劣化で老眼気味の私にはチト厳しい様に感じた。(マルチインフォメーションディスプレイにデジタル車速表示が可能なのでそれを併用して解決かな。)
最新のスポーツモデルらしく、無闇に重い・堅い・ウルサイと言った古臭い味付けは無く、適度に引き締められた爽快なフィーリングで統一されているのは好感である。
エンジンサウンドも先代までに比べるとチト事務的な印象なだが、静粛性も上がっているのだろう。全域で大人びたと感じさせる仕上がり。似た過去事例を言うならば、VW「ゴルフ5」のGTIが「ゴルフ6」に移行した際に通じるような気がする。
「スイフトスポーツ」はセグメントや価格を考慮すると、望外なボディ剛性(感)で、終始ガシッと堅牢な箱の中で運転している安心感が有る。このあたりがドイツ車を連想させる所以だろう。またステアリングも無駄な遊びが少なく、雑味のない操舵感にスズキの本気が伺える。
肝心の6速MTも、クロースしたギアレシオがなんとも痛快でマニア物件。低回転域から太いトルクが発揮されるから、所謂教習所シフトにも追従する懐の深さはあるものの、やはり忙しなくシフトをガチャガチャとやりながら駆ってこそのMT。これを設計した人は色々判ってますね(^o^)。
ただ、個人的な趣味嗜好としては、もう少しショートでカチカチと吸い込まれるようなシフトフィーリングを望みたい。「スイフトスポーツ」は「カポッカポッ」と入る様なフィーリングで、実は欧州車のMTに良く見られる様な味付けだから、スズキとしては狙い通りだろうけどね。
さて。最も心配していた1.4Lのターボエンジンが高回転型ではない事の影響だが、ギリギリセーフと勝手に評価しておこう。
やはり、鋭いNAエンジンのようなフィーリングは得られないから、MTのシフトを少しでも間違えると失速してしまうような気難しさは無く、ある程度ルーズに入っていても許容されるパワーバンドの広さは最新のターボエンジンの特徴。
逆に言えば、微妙なアクセルワークは反映されないターボ特有のレスポンスの悪さも当然ながら介在する。
このあたり時代の流れと許容出来るか否か。急速に電動シフトが叫ばれる2021年時点で評価するならば、この状態でも許容し楽しんでおくべきなんだろうね。少なくとも、マニアのみが喜ぶホンダのVTECエンジンみたいなのが、この先新たに開発され、「スイフトスポーツ」の様な価格帯で提供されることは絶対にない事はみんな判っているのだから。
個人的に疑問なのは、「スイフトスポーツ」の6MTには「ヒルホールドコントロール」が装着されないこと。(6ATには装備される)
恐らく皆さん同じと思うが、MTは楽しい。しかし坂道発進は嫌いだろう。そして急坂でエンストしたら....と不安になり、ダサいと感じてしまう。結果、無難にATを選択したくなる。そんな悪循環(笑)を断ち切るのが「ヒルホールドコントロール」なのだ。軟弱と言われても、コレがあるとMTのストレスは激減する。
実はスズキも判っているようで、「ジムニー」のMTには「ヒルホールドコントロール」が標準装備される。早く「スイフト」にも装着して欲しい。
そろそろ結論を。
日産「ノート」・ルノー「ルーテシア」との比較で「スイフトスポーツ」を試してみたわけだが、個人的な評価では「スイフトスポーツ」圧勝。
購入金額もライバルより割安で済むから、その差額でタイヤなりオーディオに投資するのも良いだろう。恐らくリセールも悪くないはず。
現時点で、マツダ「MAZDA3」のファストバック(1.5L/6MT)と並ぶ次期マイカー候補入りは確定です。
(燃費・静粛性・積載性といった項目は世間一般の基準より評価が低い独自配点です)
願わくば、あと+30万円位高くなっても良いから、内外装の質感向上に気を配った大人向けの特別仕様車を設定してくれると即購入。
是非、機会をみつけ6ATの「スイフトスポーツ」も試してみたい。実はコッチも隠れた名車なのでは??と思い始めている。