![[試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」HYBRID G (AWD) トヨタの本気度 [試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」HYBRID G (AWD) トヨタの本気度](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/045/173/024/45173024/p1m.jpg?ct=d2118fb14f28)
レンタカーでトヨタ「ヤリス」に乗れたので、簡単にレポートを残しておく。
2020年2月に発売されたトヨタ「ヤリス」。既に
「ヤリスクロス」のテストは終えているが、本家「ヤリス」は初めて。ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したトヨタの本気モデルなだけに期待は高まる。
テスト車は中間グレード"HYBRID G"のAWDモデル。本体価格は233.8万円(税込)。更にメーカーOPの有料色(赤✕黒2トーン 77,000円)、LEDヘッドランプ(82,500円)・パノラミックビューモニター(33,000円)を装着。寒冷地仕様(25,300円)と合わせ合計255.5万円(税込)。最低限の販売店OPを選定し、諸費用を計上した乗り出し価格は約280万円にも達する。
「ヴィッツ」後継と考えると、かなり高価な印象を受けるが、海外(VWポロ/プジョー208/ルノー・ルーテシア等)・国内(日産ノート/ホンダフィット/マツダ2等)のBセグメントを見渡せば「ヤリス」の価格はまぁ平均的なレンジとも言える。
もはやBセグメントもこれくらいの価格帯になったと理解すべきだろうね。(なぜ価格上昇しているのかは別問題として....)
正直なところ、これまでBセグメントモデルを評価する際、自然と欧州車と国産車は別々の尺度で評価していた。その主要因は価格。以前ならば、簡単に80~100万円位の価格差があったから、ソレをハンデとして飲み込んでいた。
しかし昨今の価格上昇により、そんなハンデは不要になるだろう。もちろん「ヤリス」も同様である。
「ヤリス」のサイズは全長3940mm全幅1695mm全高1515mmでホイルベースは2550mm。最低地上高は160mm(4WD)。車重は1170kg。
エンジンは1.5Lの3気筒(NA)。ハイブリッド専用のミラーサイクルエンジンで91ps/5500rpm ・12.2kg-m/3800-4800rpmを発揮。モーターはフロント80ps/リヤ5.3ps。システム総合出力は116ps。
雪国待望のハイブリッドAWDだが、リヤモーターは僅か5.3psの低出力だから、低ミュー路の発進補助程度に考えておくべきだろうか。一方、興味深いポイントとして、AWDモデルはリヤサスが贅沢なダブルウィッシュボーンとなる。ざっくりAWDモデルは+20万円。カーマニア的にリヤサスのダブルウィッシュボーン代金だけでも充分お得かも。
発進した瞬間に判ることとして、非常にガッチリしたボディ剛性(感)。特にステアリング周辺のガッチリ感は特筆すべきポイント。やはりWRCを戦うGRヤリス派生も見据えた恩恵だろうか。コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用したメリットが光る。
個人的にトヨタ方式のハイブリッドはずっと毛嫌いしてきたのだが、その主要因は「鈍いアクセルレスポンス」「モサッとした加速フィール」「モワモワ聴こえるパワートレーンノイズ」等だが、「ヤリス」の新世代パワートレーンはかなり改善されていた。
特に、アクセルレスポンスは俊敏で、全体的にスッキリした加速フィールが爽快だった。これだけキビキビと走れるならば高価なハイブリッドシステムを購入する価値もありそう。次回はガソリンモデルにも乗ってみたい。
足回りは割と硬め。最近フワッとしなやかな味付けが流行中だが、「ヤリス」はドイツ志向で歯応えがある。個人的に嫌いな方向ではないが、従来のトヨタ信者には結構辛口かも。リヤサスに奢られたダブルウィッシュボーンだが、状態の悪い路面での"いなし"はもう一息。今後の熟成に期待。
主にリヤのタイヤ付近から侵入するロードノイズは結構騒々しい。これは要改善。相対的にエンジンノイズはあまり気にならなかった。エンジン始動時の振動もかなり抑えられていた。正直、かなり意地悪に観察しなければモーター駆動とエンジン駆動の違いは感じられない。
走行ルートが山道になっても、パワー不足は感じなかった。剛性感の高いステアリングがスッキリした走りに大きく貢献している。
ブレーキのフィーリングは違和感こそ少ないが、やや頼りない印象が惜しい。制動力に不足は無いのだが、もう少し信頼感が増すと有り難い。
パドルやシーケンシャルシフト的な装備がなく、エンジンブレーキ相当のシフトダウン操作はシフトセレクターを「B」に入れるしか無く興醒め。
先日テストしたトヨタ「ライズ」はシフトレバーで「+/-」のシーケンシャルシフトが可能だったのにね。
個人的に「ヤリス」最大の課題はインテリアの質感。これが全車100万円台程度のエントリーモデルなら妥協の範囲...と思うが、250万円以上にも達する立派なクルマとしては物足りない。これは「ヤリスクロス」にも言えるから、トヨタは早急にインテリアのアップデートを検討すべき。まぁそれでもガンガン売れているから「勝てば官軍」なんだろうけど。昔のトヨタ車は中身こそ平凡でも見た目は高級(風)だったものだが。
そろそろ結論を。
トヨタの本気モデル「ヤリス」。少なくとも手抜きの塊だった「ヴィッツ」の名を捨てた事は正解。良い意味で「ヤリス」の出来栄えは事前の期待を軽々と超える仕上がりだった事は素直に評価したい。ライバル会社は戦々恐々としているのではないか。
一方、価格がグーンと上昇し「安いから仕方がない」と消費者に妥協を求めることが難しくなった故の課題が散見される。
特に遮音(主にロードノイズ)と質感(インテリア)は価格に対する許容範囲を超えており、少なくとも「今すぐマイカーとして新車が欲しい」と商談を開始するには躊躇を感じた。もちろんレンタカーとしては申し分ないが、それがトヨタの狙うところではないだろう。
難しい注文かもしれないが「絶対ヤリスが欲しい」「ヤリスじゃないとダメ」と思わせる特色・キャラクター・味・癖....。欧州のライバル達とガチで戦うには、トヨタもそろそろ真剣に考えるべきタイミングではないか。
以前テストした「ヤリスクロス」も1.5Lハイブリッドのパワートレーンを共用するが、「ヤリス」程に好印象ではなかったと記憶しており、車重やタイヤサイズの違いが影響しているのだろうか。(こちらも改めてテストしてみたい)
正直リセールは断然「ヤリスクロス」だろうが、私が選ぶなら迷わず「ヤリス」と感じている。
「ヤリス」としては変化球かもしれないが、1.5L(ガソリン/FF)の6MTモデルが用意されている事に注目している。中間グレードのG(6MT)なら今回のテスト車と同等内容でも200万円位で買える。近いうちに1.5Lのガソリンモデルをテストしてみたい。
実はGRヤリスの1.5L(FF/CVT)「RS」がかなりお買い得なのでは...??と思っている。何故1.5L(FF)の6MTモデルを用意しなかったか理解に苦しむのだが、こちらも機会があれば是非テストしたい。
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試乗インプレッション | クルマ
Posted at
2021/06/06 20:19:30