![[試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」再び。ガソリン/ハイブリッドを一気比較してみた [試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」再び。ガソリン/ハイブリッドを一気比較してみた](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/045/234/229/45234229/p1m.jpg?ct=d0e7c41b2d3c)
つい先日
トヨタ「ヤリス」のハイブリッドモデルについてインプレッションを書いたが、その後もレンタカーで「ヤリス」を指名し、現時点までに5回も乗って結構な時間と距離を共にした。
また、リクエストしていたガソリンエンジンモデルにも乗れたので、こちらの印象についても書いておきたい。
全5回の「ヤリス」のテストを整理するとハイブリッド4回+ガソリン1回。
①
"HYBRID G (AWD)" 赤/黒ツートン
②"HYBRID G (AWD)" センシュアルレッドマイカ
③ガソリン"Z(AWD/CVT)" アバンギャルドブロンズM
④"HYBRID G (AWD)" センシュアルレッドマイカ(恐らく②と同一個体)
⑤HYBRID G (AWD)" ホワイトパールクリスタル
当然ですが、ボディ色が違うだけでも随分と印象が変わりますね。それにしても最近のレンタカーはカラフルになりました。
特に②と③のテスト時は返却まで時間的余裕があり、私が勝手に設定したサッポロ評価ルートをしっかりトレース出来た。お陰で「ヤリス」の傾向や他車比較がより明確になったと思う。
さて。事前の予想では、ハイブリッドの有用性は感じつつも、やはり自身の好みは1.5L(NA)のダイナミックフォースエンジン搭載車...と確信していたが、割と大差でハイブリッドの勝ち(笑)。ちょっと自分でも驚く結果だった。そのあたりを説明していこう。
期待していた「ヤリス」の1.5L(NA)ガソリンエンジンモデルでスタートした直後から、やはりCVTの間延び感と3気筒特有の軽い振動を伴うフィーリングが認められたのは残念。そして足回りがハイブリッドよりゴツゴツと硬い印象だった。
「ヤリス」の名誉のため、先代「ヴィッツ」を思い出せば、かなり劇的な改善と進化は認めたい。特に新開発「ダイレクトシフトCVT(ギヤ機構付きCVT)」は有効で、少なくとも発進時の嫌なラバーバンドフィーリングはほぼ解消。
更に、少しスポーティな加速をしたい時は、擬似的なステップ変速制御が効くようで、高回転側にだらしなく延々と張り付くような挙動もかなり影を潜めた。
3気筒の1.5L(NA)ガソリンエンジンも割と高回転域まで綺麗に回りたがる性格に仕上がっており、これまでの悪しきイメージを完全に覆すだけの力作であることに疑いはない。
しかし、4気筒エンジンに6ATを採用する「MAZDA2」・「スイフトスポーツ」・「ルノー・ルーテシア(6EDC)」等のライバルと比較し「ヤリス」が勝っていると評価するには至らなかった。
恐らく、ライバル同様に6速~8速ATを搭載したら物凄く良いクルマになるのは確実。もうカタログ燃費はハイブリッドに任せ、ガソリンはCVT辞めませんかね...。
そういう意味で「ヤリス」の6MT車は(もしかしたら)すごく良いクルマなのかも。試乗・レンタカー共に絶望的だから、テストする術が無いけれど。
足回りがゴツゴツと硬い印象だった部分については、ハイブリッドモデルより約60kg程も軽量である事が要因かもしれない。
一方ハイブリッドモデルだが、ガソリンモデルと比較して格段の高レスポンスとスムーズで伸びのある加速。そして静粛性も上回っていたように感じる。
例えば、上り坂のカーブ等で、減速しつつカーブに進入し、出口で加速しながら登っていくようなシーンでは、圧倒的にハイブリッドモデルがパワフル。更にちょっと驚くほどレスポンスが鋭く、"待ち"とか"溜め"の様な間が無いまま"スイー"と加速体制に入れるのはトルク溢れるモーターが主役として活躍する証拠だろう。
「ヤリス」が採用するフロントモーターは80ps/14.4kg-mを発揮する1NM型。実は型式こそ現行「プリウス」と同様だが、あちらは72ps/16.6kg-m。更に言えば車重が280kgも軽量だから、ダッシュ力が鋭くて当然ということか。
※「ヤリス」がシステム出力116psで車重1180kgに対し、「プリウス」はシステム出力122psで車重1460kg(共にAWD車の場合)。
いわゆる古典的なスポーツモデルの様に血眼になってコーナーを攻めるようなクルマでは勿論無いが、モーター駆動力をスポーツ走行の方向でもキッチリと使いこなす様は、従来トヨタ車では感じられなかった現象だと思う。
また山道ではドライブモードスイッチを「パワーモード」にして走行したが、クルマ側でも気持ちアクセルレスポンスを鋭くしたり、減速時にエンジンブレーキを併用するような制御が効いていた様に感じた。
残念ながら「ヤリス」にはパドルシフトやシーケンシャルシフト機能が装備されず、シフトレバーを「D」→「B」に落とすしか選択肢がないのだが、前述した「パワーモード」を使用すると結構テンポ良く走れた。この機能は走り好きな人がセッティングしたのかも。
メーターのエネルギーモニターを確認すると、乾燥する平坦路でもゼロ発進時はリヤモーター(5.3ps)が駆動するようだが、15km/h付近でリヤモーターは停止していたから、やはり基本は発進補助用途と見るべきだろう。
AWDモデルはFFに対し+約20万円となり、その投資効果は悩ましいところだが、マニア的にはリヤサスがダブルウイッシュボーンに格上げされる事を考慮すると「安い」とすら思う。
混雑する市街地を走る限り、ダブルウイッシュボーンに期待する"滑らかな足捌き"にはもう少しの熟成を期待したいが、山道をある程度ハイペースで走るとその効果は覿面。同クラスの平均をサクッと凌駕する身体能力を有したのは間違いなさそう。
面白いことに「ヤリス」はコーナリングが得意で、山道で本領発揮するキャラクターだったことはチト意外だったが、やはりラリーの血筋ということか....。
市街地に戻ると前回報告でも指摘した、ロードノイズの侵入が気になる。併せてインテリアの質感も上昇した価格帯を納得させるには力不足。このあたりが後期モデルで対策されると一気に完成度は高まりそうだ。
まぁ細かい不満はあるものの、総じて完成度が高く、スポーティなハイブリッドパワートレーンには驚いた。正直なところ、初めてトヨタ車をマイカーに迎えようかと脳内シミュレーションが走った程だ。
「ヤリス」のハイブリッドモデルは+4.4万円でAC100V(1500W)コンセントを装着出来る事も評価したい。台風や地震で大規模災害が頻発する昨今。非常用電源が確保されている安心感は絶大だ。他メーカーも電動車には積極的に採用すべきと思うが、何故かオプション設定すらしないのは何故だろうか。
ここのところ「ヤリス」に乗ることが多かったので、随分と肌に馴染んできたような気がする(笑)。次回は「GRヤリス」にも乗ってみたい。
↓①"HYBRID G (AWD)"。コーラルクリスタルシャイン/ブラックの2トーン。

↓②④の"HYBRID G (AWD)"。センシュアルレッドマイカ。

↓③1.5Lガソリン"Z(AWD/CVT)"。アバンギャルドブロンズメタリック。

↓⑤HYBRID G (AWD)" ホワイトパールクリスタル

↓インテリア。もう少し質の感向上を期待したい。