![[試乗インプレッション]トヨタ「アクア」HYBRID "Z"(E-Four)仕事と乗り納め [試乗インプレッション]トヨタ「アクア」HYBRID "Z"(E-Four)仕事と乗り納め](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/046/635/813/46635813/p1m.jpg?ct=5e14dd1f8323)
早いもので2022年もまもなく終了。歳を取ると時間の経過が早くなるというが、もしかしたら、それは本当なのかもしれない。
仕事納めに加えレンタカーの乗り納めという事で、今回レポートするのはトヨタ「アクア」。レンタカーで「ヤリス」は頻繁に乗っているが、新型「アクア」が割り当てられたのは初めて。
以前のチャンネル制だったトヨタ販売網では「ヴィッツ」と「アクア」を作り分ける事に一定の意義は有ったと思うが、現在は全車種併売となり、同セグメントの「ヤリス」と「アクア」を店頭でどう売り分けるのか勝手に心配しているのだが、まぁ消費者目線で言えば選択肢は多いほうが良いのかも。
2021年7月にフルモデルチェンジを受け、2代目へと進化したトヨタ「アクア」だが、正直初代モデルのような大ヒット作とはなっていないようだ。
近年のトヨタ車の中でも際立って駄作だった先代「ヴィッツ」から「ヤリス」への変貌はあまりにも衝撃的だったのに対し、「アクア」のモデルチェンジはちょっとインパクトが薄かったのは否めない。
更に言えば、「ヤリス」は「ヤリスクロス」と「GRヤリス」が派生モデルとしてあるから、余計に「アクア」は日陰の存在になっているように思う。個人的に「アクア」はホンダ「フィット」の様に、もう少しユーティリティーを追求した方が「ヤリス」と差別化出来たような気がするのが惜しい。残念ながら「アクア」に3代目は無いかもしれないね。
今回テストした「アクア」はトップグレードの"Z"(E-Four)。更にトヨタチームメイト・アドバンストパークやブラインドスポットモニターに加え、合成皮革パッケージも装着され、謎のフルオプション仕様だった。ボディ色も癖の強い"ブラスゴールドメタリック"でリセールの悪そう(笑)な個体だ。
トヨタ公式ページで見積りシミュレーションをしてみると乗り出し価格はざっと300万円弱。なるほど...思っていたよりも高価格車両である。
結論から言ってしまえば、最近色々なトヨタ車をレンタカーで乗っている中で「アクア」の印象はイマイチだった。
日常のアシとして乗るなら「ヤリス」の方がスッキリとしていて好みだったし、「ヤリス」よりも少し上級な乗り味を「アクア」に求めるならば、断然「カローラ」を選んだほうがイイモノ感がある。(その上、あまり価格が変わらないという意味では「カローラ」がお買い得だと思う)
「アクア」の良いところは、「ヤリス」と比べて穏やかな乗り心地と、若干静粛性に優れるところ。そしてトヨタ自慢のバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載したことで、EV走行可能な領域が若干拡大され、モーターのレスポンスも速くなったように感じるところ。
「ヤリス」は私のようなクルマ好きはともかく、一般的なユーザーにはもう少し穏やかな足回りのほうが良いのでは??と思っていたが、「アクア」に乗って意図的な作り分けがされているのだと確信した。まぁこれは好みの問題なのかもしれない。
「ヤリス」は静粛性が課題(特にロードノイズ)だが、「アクア」は少し改善された印象を受けた。とは言え、「静か」「静寂」なんていう言葉を使う気にはなれない程度。最近のトヨタ車は何故か静粛性がイマイチ。Youtube動画では新型「プリウス」の静粛性がかなり上がったとレポートされているから、次世代モデルに期待だろうか。
「アクア」のイマイチポイントは、まず乗り込んで直ぐに感じる大きく倒れ込んだAピラーの圧迫感と、フロントの見切りが悪くボンネットが全く見えないこと。更に、キックアップするボディのサイドデザインの影響で、斜め後方の視界が悪い。個人的には、この時点でマイカー候補としては脱落だ。
そして「アクア」の最も気になるポイントはインパネから生える「エレクトロシフトマチック」の操作性の悪さ。近年高齢ドライバーを中心に誤操作による事故が多発しているが、「エレクトロシフトマチック」もその要因になりそうな気がした。「ヤリス」は一般的なフロアシフトなだけに、トヨタ車で統一した操作性を考える時期だろう。足踏み式のパーキングブレーキもイマイチ。モデルの性格を考えるならば電動パーキングブレーキを採用すべきだった。
唯一「エレクトロシフトマチック」の恩恵として、トヨタチームメイト・アドバンストパークの自動車庫入れ機能は圧巻だった。スイッチを入れ駐車スペースを指定すれば、あとは全自動で前後移動も含め駐車が完了するのは驚いた。
個人的には、もう少しインテリアの質感にはこだわるべきだったと思う。インパネは目障りで無駄なラインが多くてスッキリしない。逆にドアトリムは無愛想なハードプラでガッカリ。
最後に雪道の走行インプレッションを。
今年の札幌は12月からまとまった積雪量があり、郊外路は圧雪路面となっていたが、E-Fourのお陰で雪道の走行は安定していた。毎度思うが、電動パワートレーンは雪道が得意だと思う。低出力なリヤモーターと馬鹿に出来ない能力を発揮しており、低ミュー路でも涼しげに発進していくのは流石。また「Power+」モードを選択すると「快感ペダル」と呼ぶ弱めのワンペダルドライブモードになるが、雪道で気を遣う減速も適切・適度に得られるため、ブレーキングで姿勢を崩すことが少ない。降雪地域の方はE-Fourを選んで損はないだろう。
ボディやステアリング周辺の剛性感は高く、常にどこかがブルブルしていた先代「アクア」とは隔世の感あり。ブレーキのフィーリングも違和感はない。
ハイブリッドのシステム最高出力は116PSで、取り立てて不足を感じることはない。但し、日産「ノート」のe-powerと比較すると、線の細さとノイズからヒト世代前の印象を受けてしまうのも事実だろう。
燃費を含めた効率は確実にトヨタ方式に軍配が上がるのだが、ドライバーの感じるフィーリングの部分(斬新・新鮮・パワフル・好レスポンス...は)ホンダ・日産の後塵を拝しているのがTHSIIの現在地だろう。
残念ながら、私の評価では中途半端な印象に留まった「アクア」だが、欧州風味の「ヤリス」より昔ながらのトヨタイズムを感じさせる「アクア」を好む方が居ることは何ら不思議ではない。やはり選択肢があることを喜ぶべきだろう。

↓ヤリス(
2022年2月に試乗した個体)
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Posted at
2022/12/29 00:09:09