![[試乗インプレッション]マツダ「CX-3」15S Touring(AWD/6AT) [試乗インプレッション]マツダ「CX-3」15S Touring(AWD/6AT)](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/047/894/840/47894840/p1m.jpg?ct=064de910b366)
久しぶりに「MAZDA3」と「CX-3」に短時間だが試乗をさせて頂いたので、それぞれインプレッションを書いておく。
今回は「CX-3」。テスト車はベースモデルの15S Touring(AWD/6AT)でボディ色はプラチナクォーツメタリック。
「CX-3」は2015年2月に発売された「デミオ(MAZDA2)」と基本コンポーネントを共有するコンパクトSUV。発売からまもなく10年が経過するロングセラーモデル。2022年6月に山口県の防府第1工場での生産を終了し、現在はタイ工場で生産された車両が輸入されている。
発売当初は1.5Lのディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」専用のモデルだったが、2017年夏にガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」搭載車を追加。翌2018年5月には、ディーゼルエンジンを新開発の「SKYACTIV-D 1.8」に換装。今回テストした1.5Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.5」搭載車は2020年の改良時に追加。10年販売が続いているのも凄いが、ここまでパワーユニットが色々変わったクルマも珍しいのではないか。更に言えば、2021年の一部改良で「SKYACTIV-G 2.0」搭載車が廃止され、現在は「SKYACTIV-G 1.5」と「SKYACTIV-D 1.8」の二本立て。エンジンが変わる都度、改良の手が入っていると思えばあながち悪い話でもないだろう。
個人的に「CX-3」はマツダ車の中であまり注目してこなかったモデル。正直「デミオ(MAZDA2)」とあまり変わらないのに随分と強気な価格設定に見え、コスパの面からマイカー候補に挙がらなかった。実際2015年末にマイカーとして
デミオのXDを購入した際「CX-3」の試乗車にも乗せて頂いた記憶が有るが、悩むことも無く「デミオ」を契約。それ以降今日まで「CX-3」を触れる機会が無かった。
時は流れ、「CX-3」も前述した変遷を経て低価格な1.5Lガソリン「SKYACTIV-G 1.5」搭載車が販売の中心となり、近頃妙に魅力的に見えてきた。「MAZDA2」がちょっと期待外れな方向に進んでいるのも要因のひとつ。若年層の支持を得たいのは理解するとしても、なんかコンセプトが軽薄だなぁ...。
話を戻して。「CX-3」が属するBセグメントSUVのカテゴリーに各社から力の入ったモデルが続々とリリースされて面白くなってきた。特に300万円以下の手頃なSUVとして、ガソリンエンジン搭載モデルに絞っても、トヨタ「ヤリスクロス」・ホンダ「ヴェゼル(AWDのみ)」に加えて期待のスズキ「フロンクス(Mハイブリッド)」が登場し、強力なライバルが揃って来た。既にモデル末期の「CX-3」はさぞ苦戦しているのかと思いきや案外セールスは好調らしい。
テスト車の「CX-3」は15S Touring(AWD/6AT)で価格は252.1万円(AWD/6AT)。今や贅沢な4気筒エンジンと6AT。更にはメーカーOP設定無しのフル装備でこの価格はお買い得。他社ならメーカーOPになるような360度ビューモニターやブラインドスポットモニタリングなんかもサラリと標準装備しているのがマツダらしい。
スズキ「フロンクス」(インド生産)は、マイルドハイブリッドの4気筒エンジンと6AT。メーカーOP設定無しのフル装備で共通しており、「CX-3」とキャラクターが被るポイントが多く是非試乗したい楽しみなクルマだ。ネット上の噂を総合すると、価格は280万円前後らしい(AWDモデル)。「CX-3」なら内外装がオシャレにドレスアップされた「15S Urban Dresser」が277.4万円で買えるから、モデルの古さを差し引いても「フロンクス」とイイ勝負になりそうな気がしている。
前置きが長くなったが、そんなわけで「CX-3」を改めて乗ってみた。
「CX-3」に乗り込んで公道を走りだす。つい先程「MAZDA3」で走ったコースをトレースしていく。なんだろう、すごくホッとするというか、田舎の実家に帰ったような安心感。ブレッド&バター(おにぎりと味噌汁)的なイイモノ感は登場から間もなく10年が経過するロングセラーモデルなだけに、尖った先進性を感じることは無いが、毎年のように積み重ねた改良の成果として円熟味を増したフィーリングがそう思わせるのだろうか。テスト車の15S Touringは見た目が地味な215/60R16サイズのタイヤを履くが、恐らく乗り心地にはプラスのチョイス。こういうクルマは長く乗っても飽きないだろうね。
「CX-3」を運転していて、2004年6月から2015年末まで12年近く販売されたマツダ「ベリーサ」を思い出した。私も
2009年頃に所有していたが、こちらも尖ったポイントは無くともしみじみ良いクルマだった。「CX-3」は「ベリーサ」の生まれ変わりかもしれない。そう思うと、なんか両車がなんとなく似ている様な気もしてくるから不思議。
「CX-3」の中で「SKYACTIV-G 1.5」エンジンは軽量なパワーユニットだから、鼻先の軽快感もあって爽快な走りが楽しめる。更に言えば、このエンジンはパワーこそ111ps/6000rpm・14.7kg-m/4000rpmと大したことは無いが、高回転域まで綺麗に吹け上がるしサウンドも耳に心地良くクルマ好きにとって快音と呼べるものだから、乗っていて嫌になることが無い。
ライバルとなる
「ヤリスクロス」は直列3気筒の1.5Lダイナミックフォースエンジンでパワー感こそあるものの、終始不快な雑音と振動に悩まされた。リセールは抜群だったが、もう一度買いたいとは思わない。まだ未試乗の「ヴェゼル(ガソリンG)」や「フロンクス」も機会を見つけ試してみたい。
昨年9月の改良で、マツダコネクトのセンターディスプレイが最新世代の横長8.8インチに変更された。モニターの解像度が上がり、精細な画面になったことで360度ビューモニターが見やすくなり、このクルマのリフレッシュに貢献している。
先に乗った「MAZDA3」と比較すると、やはり設計年次の古さから来る差異を感じたのも事実。特に静粛性やフロア振動等は「MAZDA3」にひとクラス以上の上質感があった。またステアリング周りの剛性感や操舵フィールにもアドバンテージが有る。まぁ直前直後に同ルートで乗り比べたから判ることでもあるが、その対価として50万円以上の価格差があるから十分納得の範囲だろう。
残念なのは「CX-3」にクルージング & トラフィック・サポート (レーンキープコントロール)が全車装備されないのはライバルに劣るポイントなだけに、次の改良で改善されることを期待しておく。
今回「MAZDA3」と「CX-3」に乗せて頂き、どちらも熟成が進み完成度の高いモデルになっていることが確認出来た。最新モデルを乗り継ぐのも面白いが、円熟味を増したモデルとじっくり向き合ってみるのも悪くないと思った。個人的にどちらか1つを選ぶなら僅差で「MAZDA3」なのだが、より価格が抑えられる「CX-3」を実用車としてガシガシ使い込んでみるのも渋い選択だと思う。

↓最近のMAZDA2。うーん。この方向性は理解出来ないなぁ....。

↓15S Urban Dresserのインテリア。

↓私が2009年頃に乗っていたマツダ「ベリーサ」
ブログ一覧 |
試乗インプレッション | 日記
Posted at
2024/08/13 20:10:17