![[試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」ガソリン"X"(CVT/AWD)改良後モデル [試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」ガソリン"X"(CVT/AWD)改良後モデル](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/048/298/628/48298628/p1m.jpg?ct=5919ccb7e0ed)
久しぶりにレンタカーでトヨタ「ヤリス」に乗った。
グレードは1.5Lガソリンエンジンを搭載するベースモデルの"X"(CVT/AWD)。今回は2024年1月改良モデルだったから、ラジエーターグリルが新デザインになったタイプ。これだけで随分リフレッシュされた印象だ。ちなみに「ヤリス/ヤリスクロス」はつい先日
(2025年02月27日)にも一部改良を実施している。
トヨタ「ヤリス」は
昨年2月にレンタカーで乗ったのが最後だから約1年ぶり。うーん。やはり「ヤリス」はハイブリッドよりも低価格なガソリンエンジンモデルの方が好き。と再確認出来たのが今回の収穫である。
2021年6月頃初めて「ヤリス」に乗った当時はガソリンよりハイブリッドの方を評価したが、これまで幾度となく「ヤリス」に長距離・長時間乗ってきた最新の評価は僅差ながらガソリンに軍配を挙げたい。やはりNAエンジンのもたらす自然なフィーリングは長時間・長距離乗っても違和感が無く私には好ましいと判断している。
今回乗ったベースモデルの"X"(CVT/AWD)を現在の仕様で見積すると本体価格は202.9万円。以前はディスプレイオーディオとスマートエントリーがメーカーOPだったが、現在は標準化され基本フル装備。ETCやバックカメラも標準だから、追加装着はフロアマットだけでOKだろう。乗り出し価格は230万円程度。
10年前の感覚ならAWDとは言え、ヤリス(ヴィッツ)に230万円は高い...となりそうだが、現在の水準では軽自動車と比較出来る価格帯で充分リーズナブルと理解しなければなるまい。
搭載するダイナミックフォースエンジン(M15A-FKS型1.5L・3気筒)は120ps/6600rpm ・ 14.8kg-m/4800-5200rpmを発揮。車重は1100kgでパワーウエイトレシオは9.17kg/ps。エンジンを3気筒化した恩恵は低回転域からの太いトルク。更にDirect Shift-CVT(ギヤ機構付自動無段変速機)を採用。発進用ギヤを追加したことでゼロ発進時の不快なモヤモヤ感を払拭したのは大きい。
2021年夏にGRヤリスのRS(1.5L/FF/CVT)に試乗した際にも感じたが、発進時はかなりダイレクト感があって好印象だが、一転して減速時のダウンシフトは弱く節度感が薄い。折角シーケンシャルシフトマチックを装備しているが、積極的に活用したいと思えないのが惜しい。
むしろ、世間一般のドライバーが幅広く運転する実用車だと思えば、ステアリングは少し重め。脚周りのセッティングも硬めでは無いだろうか。このセッティングが広く許容されるならば、マツダ「CX-60」(初期モデル)の脚が硬いなんて文句を言う人は普段何に乗っているのだろうかと疑問ではある。
GRの冠が着かない「素ヤリス」には、この3気筒1.5Lエンジンは充分なアウトプットだと思う。エンジンサウンドは事務的で聴き惚れるようなタイプでは無いが、まぁエントリーモデルだと思えば許容範囲。ロードノイズも騒々しい部類だが雪道での評価は控えたい。春以降、サマータイヤ装着車で再度テストしてみたい。
今回、2024年1月改良モデルに乗って「おや??」と思ったのは、元々同クラスのライバルと比較してボディ剛性(感)は高いと感じていたが、今回以前よりも更にガッチリ感が増したような印象を持った。特にフロントドアを閉めたときの感触は「重厚」と言うキーワードが浮かぶ程で驚いた。改良後モデルとは言え、既に2.4万キロを走行した個体で、充分エージングも進んだ前提で考えると立派。また相変わらずステアリング周辺の剛性(感)はクラストップ。内装の設えはチープだが、基本骨格はガッチリしている。トヨタは一昔前とは真逆なクルマを作る様になったのがつくづく面白い。
ベースモデルでもADAS(先進安全装備)がフル装備されているのも評価ポイント。レーントレーシングアシスト[LTA]やレーダークルーズコントロール(全車速追従機能付 但し停止保持機能なし)がエントリーモデルから標準なのは凄い。個人的にはブラインドスポットモニター[BSM]も標準にして欲しい。
今回2日間で約150km程走行した平均燃費はメーター読みで19.6km/L。カタログ値(WLTC)19.1km/Lをサラリと超えたのには驚いた。
昨年2月に乗った際は16.1km/Lだったから、まぁ冬期でもコレ位の燃費は出せるという事だろう。冬期間は暖房等でハイブリッド車の燃費が低下する傾向だから、走行距離が余程多くなければ安価なガソリンエンジンで良いのかもしれない。
個人的に「素ヤリス」に6MTが設定されている事に注目している。残念ながらAWDは設定されないが、MTが絶滅危惧種の昨今において、リーズナブルな価格で6MTが用意されている事はもっと注目されて良いのではないか。
MTに乗りたいタイプの人種は(私も含め)「GRヤリス」みたいな過激でストーリー性のあるモデルに興味が行きがちだが、案外ベーシックなMTモデルというのもクルマ趣味の対象として結構オツなものだ。「釣りはフナに始まり、フナに終わる」みたいな世界観だろうか。
この「素ヤリス」のベースモデル"X"(6MT/FF)の価格は何と169.9万円(税込)。車重は980kg!!!に収まるからパワーウエイトレシオは8.17kg/psに向上。ディスプレイオーディオを含めほぼフル装備されているからMTのコンパクトカーを安価に楽しみたい人はコレを選ばない手は無い。トヨタも判っているようで、ベースモデル"X"の6MT限定で、195/50R16タイヤ&アルミホイールとリヤルーフスポイラーのセットOP(+12.1万円)が用意されていたりするのが奥ゆかしい。
"X"(6MT/FF)に前述した16インチタイヤとリヤスポのメーカーOPと、販売店OPで本革巻きステアリングとフロアマットを装着して乗出し価格は210万円位。トヨタのお店で交渉頑張ればアンダー200万円で買えるかも。恐らくこんな価格で6MTのコンパクトカーが買えて楽しめるのは今だけだろう。
「ヤリス」"X"(6MT/FF)169.9万円のライバルを探してみると
①マツダ「MAZDA2」の 15 SPORT(6MT)208.3万円~。
②スズキ「スイフト」のHYBRID MX(5MT)は192.2万円(但し全方位モニター付メモリーナビは+25万円で217.3万円)~
③ホンダ「N-ONE」のRS(6MT) 216万円(但しカーナビ等販売店OP)~
この3車種あたりだろうか。比べてみるとヤリスのコスパが頭抜けているのが判るだろう。
トヨタにはもう1台おススメのスポーツモデルがある。「GR86」のベースモデル"RC"(6MT/FR)は293.6万円。1馬力当たりの単価で比較すると「ヤリス」1.42万円に対し「GR86」は1.25万円と更に激安。(但しGR86はカーナビ等はオプション)世界的に見て、こんなにもカーマニアの懐に優しいスポーツモデルが選べるのは日本だけでしょうね。そのうちどっちか買おうかな...。

↓ヤリス"X"(6MT)に16インチタイヤとリヤスポのメーカーOP。コレ絶対お買い得。
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試乗インプレッション | クルマ
Posted at
2025/03/09 22:25:45