• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

ezoflatのブログ一覧

2021年07月01日 イイね!

[試乗インプレッション]VW「ゴルフⅧ」eTSI Style 429.9万円の全部入り

[試乗インプレッション]VW「ゴルフⅧ」eTSI Style 429.9万円の全部入り少しの時間だが、新型VW「ゴルフⅧ」に試乗出来たので、簡単なインプレッションを書いておく。
テスト車は4気筒1.5LのeTSIエンジンを搭載する上級グレード「eTSI Style」で本体価格は370.5万円。オプションとして純正インフォテイメントシステム"DiscoverPro"パッケージ(+198,000)・テクノロジーパッケージ(+165,000)・ラグジュアリーパッケージ(+231,000)が装着されていたから、合計すると429.9万円にも達する価格設定にまず驚いてしまった。
「ゴルフⅧ」は3気筒1.0Lターボ/4気筒1.5Lターボを搭載する全4グレード展開で国内販売をスタート。今後GTIやゴルフRなどのハイパフォーマンスモデルやヴァリアントが導入される予定とか。
異論を恐れずに言えば、2004年に導入された「ゴルフⅤ」から先代「ゴルフⅦ」まで、私の中ではあまり大きな進化が感じられず、最新モデルを常にキャッチアップするモチベーションを年々失っていた。「ゴルフⅧ」はどうだろうか。
「ゴルフⅧ」は全車48Vのマイルドハイブリッドを搭載したのは大きな変化だろう。但しモーターは13ps/6.3kg-mの低出力タイプに留まる。
「ゴルフⅧ」のボディサイズは全長4295mm全幅1790mm全高1475mm。ホイルベースは2620mmで車重は1380kg(ラグジュアリーPKG装着車)。最小回転半径は5.1mだから、ボディの拡大傾向が顕著なCセグメント中で手頃な寸法に踏み留まったのは好印象。
テスト車のボディ色は「ムーンストーングレー」。なんとなくマツダの「ポリメタルグレー」にも近く、最近流行の塗色だろうか。追加料金不要なことも評価したい。実際「ゴルフⅧ」に良く似合う塗色と感じた。
車内に乗り込むと、10.25インチのデジタルメーター“Digital Cockpit Pro”と、10インチの純正インフォテイメントシステム"DiscoverPro"がドーンと鎮座。可能な限り物理スイッチは廃され、操作の大半がモニター付近でのタッチもしくはスライド操作に集約された。
正直なところDX化を推進したインテリアは、目新しさこそビンビンに感じるものの、高級感・品質感はイマイチ薄味だと評しておく。もっと高精細で見やすい地図や質感を演出する画面インターフェースなど、デジタル部分のデザインにも課題を感じる。
超小型のシフトノブ(指先でつまむ感じ)もアイディアは面白いが、触感はイマイチ。総じてVWらしからぬアイディア先行で仕立てられた軽薄さが残念。しかし、ソフトウェア部分は随時アップデート可能だから、どんどん改善して欲しいものだ。
走り出してすぐ気づくのは、長年VW車の欠点と言われた、主に低速時におけるDSGの粗雑な挙動が随分マイルドになり、今回の短時間試乗ではほぼ気にならなかったのは大いなる進歩。
恐らく、マイルドハイブリッド化によってモーターのアシスト効果がゼロ発進時など最もDSGが苦手としていた領域で功を奏しているのだろう。この改善だけでも「ゴルフⅧ」をマイルドハイブリッド化した甲斐があった。
パワートレーンのアウトプットはスムーズかつ太いトルクで車体を滑らせるようなタイプで好印象な反面、エンジンを高回転まで回して楽しめるような気配は皆無。なんだか擬似的なEVに乗っているような感覚を覚えた。
4気筒1.5Lターボモデルはリヤサスが4リンク式(マルチリンク)を採用するが、やはり路面の凸凹をしなやかに吸収する躾は見事なものだ。正直国内メーカーのモデルでリヤサスにマルチリンクを奢っても、ここまで使いこなす事例は少ない。
残念ながら「ゴルフⅧ」も量販グレードの3気筒1.0Lターボモデルはリヤサスがトーションビームに格下げされてしまう。こちらも決してお安い価格帯ではないだけに釈然としないね。
ボディ剛性感やステアリングのスムーズさにも大きな問題はなく、「ゴルフ」というブランドに対する期待を裏切らないものに仕上がっている。静粛性はロードノイズの類いは割とカットされているが、エンジン方面からのノイズ(モワモワ~と籠もるような音)は絶対的な音量よりも、あまり心地良いタイプの音質ではない事が印象に残る。
全般的に刺激が薄く、取り立ててスポーティな印象を感じるタイプのクルマではないのも歴代「ゴルフ」の標準グレードに共通する伝統だろうか。おそらく高速道路を矢のように直進する場面では印象も変わってくるだろう。
あくまで短時間の試乗だから、「ゴルフⅧ」の評価を固めるにはすべてが不足している状態だが、やはり価格が高い。正直400万円をオーバーするクルマに期待するベネフィットは得られない...というのが正直なところ。
雑誌等メディアであまり費用対効果を論じることは少ないが、一般ユーザーにとって最大の関心事なだけに「ゴルフⅧ」を広くオススメするには至らない印象。
カタログを紐解いても、最もベーシックな1.0Lの「eTSI ActiveBasic」は291.6万円だが、受注生産(本国発注)の扱いで、カタログには写真すら掲載されない幽霊グレード。恐らく販売店でも積極的な販売はしないだろう。
実質的エントリーモデルは「eTSI Active」で312.5万円。これにテクノロジーパッケージ(+209,000)と純正インフォテイメントシステム"DiscoverPro"パッケージ(+198,000)を抱き合わせたモデルがリアルな最低ラインで価格は353.2万円に達する。
これが同セグメントのマツダ「MAZDA3」ならばSKYACTIV-Xエンジンを搭載するトップグレードの「X Burgundy Selection」でも345.1万円(2WD/6AT)となるから、やはり「ゴルフⅧ」は相当高いと感じてしまうね。
今後の事は判らないが、過去データに則るならば、近年「ゴルフ」はリセールが物凄く悪いのも心配のタネ。買う時高く、売る時安い様では、私のマイカーとして迎えるのは難しいな...。機会があれば、1.0Lの3気筒ターボモデルにも乗ってみたいと思う。

Posted at 2021/07/01 21:39:51 | コメント(4) | トラックバック(0) | 試乗インプレッション | クルマ
2021年06月29日 イイね!

[試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」再び。ガソリン/ハイブリッドを一気比較してみた

[試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」再び。ガソリン/ハイブリッドを一気比較してみたつい先日トヨタ「ヤリス」のハイブリッドモデルについてインプレッションを書いたが、その後もレンタカーで「ヤリス」を指名し、現時点までに5回も乗って結構な時間と距離を共にした。
また、リクエストしていたガソリンエンジンモデルにも乗れたので、こちらの印象についても書いておきたい。
全5回の「ヤリス」のテストを整理するとハイブリッド4回+ガソリン1回。
"HYBRID G (AWD)" 赤/黒ツートン
②"HYBRID G (AWD)" センシュアルレッドマイカ
③ガソリン"Z(AWD/CVT)" アバンギャルドブロンズM
④"HYBRID G (AWD)" センシュアルレッドマイカ(恐らく②と同一個体)
⑤HYBRID G (AWD)" ホワイトパールクリスタル 
当然ですが、ボディ色が違うだけでも随分と印象が変わりますね。それにしても最近のレンタカーはカラフルになりました。
特に②と③のテスト時は返却まで時間的余裕があり、私が勝手に設定したサッポロ評価ルートをしっかりトレース出来た。お陰で「ヤリス」の傾向や他車比較がより明確になったと思う。
さて。事前の予想では、ハイブリッドの有用性は感じつつも、やはり自身の好みは1.5L(NA)のダイナミックフォースエンジン搭載車...と確信していたが、割と大差でハイブリッドの勝ち(笑)。ちょっと自分でも驚く結果だった。そのあたりを説明していこう。
期待していた「ヤリス」の1.5L(NA)ガソリンエンジンモデルでスタートした直後から、やはりCVTの間延び感と3気筒特有の軽い振動を伴うフィーリングが認められたのは残念。そして足回りがハイブリッドよりゴツゴツと硬い印象だった。
「ヤリス」の名誉のため、先代「ヴィッツ」を思い出せば、かなり劇的な改善と進化は認めたい。特に新開発「ダイレクトシフトCVT(ギヤ機構付きCVT)」は有効で、少なくとも発進時の嫌なラバーバンドフィーリングはほぼ解消。
更に、少しスポーティな加速をしたい時は、擬似的なステップ変速制御が効くようで、高回転側にだらしなく延々と張り付くような挙動もかなり影を潜めた。
3気筒の1.5L(NA)ガソリンエンジンも割と高回転域まで綺麗に回りたがる性格に仕上がっており、これまでの悪しきイメージを完全に覆すだけの力作であることに疑いはない。
しかし、4気筒エンジンに6ATを採用する「MAZDA2」・「スイフトスポーツ」・「ルノー・ルーテシア(6EDC)」等のライバルと比較し「ヤリス」が勝っていると評価するには至らなかった。
恐らく、ライバル同様に6速~8速ATを搭載したら物凄く良いクルマになるのは確実。もうカタログ燃費はハイブリッドに任せ、ガソリンはCVT辞めませんかね...。
そういう意味で「ヤリス」の6MT車は(もしかしたら)すごく良いクルマなのかも。試乗・レンタカー共に絶望的だから、テストする術が無いけれど。
足回りがゴツゴツと硬い印象だった部分については、ハイブリッドモデルより約60kg程も軽量である事が要因かもしれない。
一方ハイブリッドモデルだが、ガソリンモデルと比較して格段の高レスポンスとスムーズで伸びのある加速。そして静粛性も上回っていたように感じる。
例えば、上り坂のカーブ等で、減速しつつカーブに進入し、出口で加速しながら登っていくようなシーンでは、圧倒的にハイブリッドモデルがパワフル。更にちょっと驚くほどレスポンスが鋭く、"待ち"とか"溜め"の様な間が無いまま"スイー"と加速体制に入れるのはトルク溢れるモーターが主役として活躍する証拠だろう。
「ヤリス」が採用するフロントモーターは80ps/14.4kg-mを発揮する1NM型。実は型式こそ現行「プリウス」と同様だが、あちらは72ps/16.6kg-m。更に言えば車重が280kgも軽量だから、ダッシュ力が鋭くて当然ということか。
※「ヤリス」がシステム出力116psで車重1180kgに対し、「プリウス」はシステム出力122psで車重1460kg(共にAWD車の場合)。
いわゆる古典的なスポーツモデルの様に血眼になってコーナーを攻めるようなクルマでは勿論無いが、モーター駆動力をスポーツ走行の方向でもキッチリと使いこなす様は、従来トヨタ車では感じられなかった現象だと思う。
また山道ではドライブモードスイッチを「パワーモード」にして走行したが、クルマ側でも気持ちアクセルレスポンスを鋭くしたり、減速時にエンジンブレーキを併用するような制御が効いていた様に感じた。
残念ながら「ヤリス」にはパドルシフトやシーケンシャルシフト機能が装備されず、シフトレバーを「D」→「B」に落とすしか選択肢がないのだが、前述した「パワーモード」を使用すると結構テンポ良く走れた。この機能は走り好きな人がセッティングしたのかも。
メーターのエネルギーモニターを確認すると、乾燥する平坦路でもゼロ発進時はリヤモーター(5.3ps)が駆動するようだが、15km/h付近でリヤモーターは停止していたから、やはり基本は発進補助用途と見るべきだろう。
AWDモデルはFFに対し+約20万円となり、その投資効果は悩ましいところだが、マニア的にはリヤサスがダブルウイッシュボーンに格上げされる事を考慮すると「安い」とすら思う。
混雑する市街地を走る限り、ダブルウイッシュボーンに期待する"滑らかな足捌き"にはもう少しの熟成を期待したいが、山道をある程度ハイペースで走るとその効果は覿面。同クラスの平均をサクッと凌駕する身体能力を有したのは間違いなさそう。
面白いことに「ヤリス」はコーナリングが得意で、山道で本領発揮するキャラクターだったことはチト意外だったが、やはりラリーの血筋ということか....。
市街地に戻ると前回報告でも指摘した、ロードノイズの侵入が気になる。併せてインテリアの質感も上昇した価格帯を納得させるには力不足。このあたりが後期モデルで対策されると一気に完成度は高まりそうだ。
まぁ細かい不満はあるものの、総じて完成度が高く、スポーティなハイブリッドパワートレーンには驚いた。正直なところ、初めてトヨタ車をマイカーに迎えようかと脳内シミュレーションが走った程だ。
「ヤリス」のハイブリッドモデルは+4.4万円でAC100V(1500W)コンセントを装着出来る事も評価したい。台風や地震で大規模災害が頻発する昨今。非常用電源が確保されている安心感は絶大だ。他メーカーも電動車には積極的に採用すべきと思うが、何故かオプション設定すらしないのは何故だろうか。
ここのところ「ヤリス」に乗ることが多かったので、随分と肌に馴染んできたような気がする(笑)。次回は「GRヤリス」にも乗ってみたい。
↓①"HYBRID G (AWD)"。コーラルクリスタルシャイン/ブラックの2トーン。

↓②④の"HYBRID G (AWD)"。センシュアルレッドマイカ。


↓③1.5Lガソリン"Z(AWD/CVT)"。アバンギャルドブロンズメタリック。


↓⑤HYBRID G (AWD)" ホワイトパールクリスタル

↓インテリア。もう少し質の感向上を期待したい。
Posted at 2021/06/29 23:46:53 | コメント(0) | トラックバック(0) | 試乗インプレッション | クルマ
2021年06月23日 イイね!

[試乗インプレッション]マツダ「MAZDA3」ファストバック 15S(AWD/6AT)

[試乗インプレッション]マツダ「MAZDA3」ファストバック 15S(AWD/6AT)レンタカーでマツダ「MAZDA3」に乗ったのでレポートしておく。
今最も好きなクルマの1つである「MAZDA3」に乗れるチャンスが巡って来たのだから、テンションUP!!(^o^)。しかもこの日は晴天。写真撮影にも力が入るというもの。
今回のグレードはファストバックのエントリーモデル「15S」(AWD/6AT)。価格は245.7万円(税込)。有料色のスノーフレイクホワイトパールに加え、メーカーOPの「UVカットガラス+CD/DVDプレーヤー」と「360°セーフティパッケージ」が装着されていたから+169,380円。合計で262.7万円のクルマ。
一昔前なら国産Cセグメントのエントリーモデルが250万円超え??と驚くだろうが、現在の相場ではかなり良心的。他社ならメーカーOP扱いになりそうなADAS(先進安全装備)やカーナビ関連も標準装備だから、乗り出し価格を比較するとそのお買い得さが際立つ。
既に「MAZDA3」の1.5L(AWD/6AT)モデルは、昨年9月にセダンの15Cでインプレッションを書いている。基本的に走りはセダンと同様の傾向だから、今回は流麗で美しいデザインのファストバックをどう写真撮影するかに注力した。
折角の機会なので、最近レンタカーを中心にBセグメントモデルのテストが続いていたから、そのあたりとの違いについて簡単に書いておきたい。

↓最近テストしたBセグメントのコンパクトカー達。
トヨタ「ヤリス」HYBRID G (AWD)
トヨタ「ライズ」X“S” (4WD/CVT) 
スズキ「スイフト」XGリミテッド(AWD/CVT)
マツダ「MAZDA2」15S Smart Edition(AWD/6AT)
スズキ「スイフトスポーツ(2WD/6MT)
ルノー「ルーテシア」インテンス テックパック(2WD/6EDC)
日産「ノート e-POWER」X FOUR(2モーターAWD)
プジョー「208」Allure(2WD/8AT)....まだインプレ書いてません。

最近各社からBセグメントの新型車が多数投入され、そのどれもが気合の入った力作ばかり。特に昨年は「ヤリス」と「フィット」がほぼ同時にモデルチェンジを実施し大いに話題となったのは記憶に新しい。
結構長いこと、国内市場は軽自動車のスーパーハイトワゴン(N-BOXとか)が売れ筋でコンパクトカーは元気が無かった。まぁ流石にスーパーハイトワゴンにもそろそろ飽きが来るタイミングなのかも。
一方、モデルチェンジしたBセグメントモデルの価格上昇が顕著。以前ならセカンドカー的存在だったクラスだが、今は完全にファーストカーである。
Cセグメントに属する「MAZDA3」の1.5Lモデルは価格設定が良心的で、Bセグメントとガチの競合も多々あるだろうから、あながち間違った比較でもない。なにせ私自身の次期マイカー検討においてもB/Cセグメントに垣根はない。

さて。「MAZDA3」で走り出してすぐ「やはり、これはイイクルマだ~」としみじみ感心してしまう。表現が難しいが、全体的に調律が取れていて非常に精度の高いクルマだと否が応でも感じさせてしまう凄さが有る。
ドイツ車ほど無機質(事務的)ではなく、イタフラ系ほど強い癖があるわけでもない。さりとて、従来の日本車のような軽薄さとも違う穏やかな深み。
私もある程度歳を重ね、色々なクルマに触れてきたからこそ、こういう類のクルマに惹かれるのかもしれない。「MAZDA3」の開発陣はマニアックなクルマ好きが多いのだろうなと勝手に想像してしまう。
「MAZDA3」と前述したBセグメントモデルと比較し、最も大きな違いは「静粛性」だろうか。日産「ノート」あたりはパワーユニット関連の静粛性に結構気を配ったが、やはりロードノイズは盛大に侵入し興醒め。(先日発表された「ノート・オーラ」はそのあたりも対策されたらしい)
その他のBセグメントモデルについても、メモ帳を見返すとすべて「静粛性が課題」と記している。「静粛性」はそのクルマに乗る限りずっとつきまとう故、なかなか悩ましい問題。
次に、ステアリングフィールの緻密・精密感(より工作精度の高いピニオンギアが精緻に動いているかの様な感覚)や6ATの滑らかな変速フィールにも大きな違いを感じてしまう。
また、最近のマツダがこだわり続ける自然なドライビングポジションも影響が大きい。無意識に感じる「イイクルマ感」とはこんな基本・基礎的な部分にこそ宿るのかもしれない。
正直なところ、エンジンパワーは必要最低限だ。1400kg(AWD)にも達する車重に対し、1.5L(NA)のガソリンエンジン「SKYACTIV-G」は111ps/6000rpm 14.9kg-m/3500rpmのアウトプットに留まるから、単純計算でパワーウエイトレシオは12.6kg/ps。
山道を積極的に走るようなシーンではモアパワーを望みたくなるのだが、シーケンシャルシフト〈+/-〉を駆使しエンジンを遠慮なくぶん回す楽しみがある事にも注目したい。
またその際、ちょっと驚く程の快音を発しながら爽快に高回転まで綺麗に吹け上がってしまうのがこのエンジンの隠れた実力。いや、最大の魅力。
惜しいのは、1.5Lモデル全車にパドルシフトを省いたのは理解に苦しむ。最も必要なグレードなのに。せめてOP設定すべきだろう。
Bセグメントモデルにここまで個性的なエンジンを有するクルマは無い。強いて言えば、意外にもトヨタ「ヤリス」が頑張っている様に思う。
※「MAZDA2」には同型の1.5Lガソリンエンジンが搭載されるが、一部印象が異なるのが不思議。やはり静粛性やバイブレーションが要因かも。
逆に「MAZDA3」最大の弱点はボディサイズと車量だろう。流麗なスタイリングに加え、こだわりのパワーユニット(SKYACTIV-Xとか)を収めつつ、ドラポジにも妥協しないとなれば、これくらいの寸法が必要になるのは充分理解しているつもりだが、やはり普段遣いにはオーバーサイズと感じる。(次期シビックはもっと大きいが)
個人的に、現在使用している駐車スペース枠の寸法と、そこへ至るアプローチが狭いため、ボディサイズ(特に最小回転半径)がリアルに影響を与える。やはり5ナンバー枠に収まるクルマは何かと気楽。次期「MAZDA2」が「MAZDA3」にも負けない魅力的なデザインを纏っていたら次期マイカーとして即購入なんだけどね。
そろそろ結論を。
「MAZDA3」の1.5Lモデルは価格が手頃にも関わらず、Bセグメントモデルとは一線を画す品質感を備えており、「いい買い物をした」と満足出来る事は間違いない。
また2020年「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した「MAZDA3」のデザインはやはり凄い。今回もカメラを構えながらその奥深さに唸らされた。
異論を恐れずマニア目線で言えば、「MAZDA3」真のベストバイは1.5Lガソリンの「2WD/6MT」で決まりだろう。試乗車が用意されないのでテストする術がないのだが、今回のAWDモデルより-80kgの1320kgに留まることや、限られたエンジンパワーを隅々まで使い切るには6MTが最適だ。
私が「MAZDA3」を買うとすれば、やはりファストバックの「15Sツーリング」(2WD/6MT)だろうね。ボディカラーはしばらく悩むだろうが。
今後マツダに限らず、クルマの環境対応や電動化が進むのは確実。純然たるガソリンエンジンをMTでコキコキしながら駆る楽しさを「普通」に楽しめるのはあと少し。うーん。考えるほど「MAZDA3」は貴重な存在だな...と思う。
そんな事を考えながら夜は更けていく.....。




Posted at 2021/06/23 23:23:03 | コメント(0) | トラックバック(0) | 試乗インプレッション | クルマ
2021年06月06日 イイね!

[試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」HYBRID G (AWD) トヨタの本気度

[試乗インプレッション]トヨタ「ヤリス」HYBRID G (AWD) トヨタの本気度レンタカーでトヨタ「ヤリス」に乗れたので、簡単にレポートを残しておく。
2020年2月に発売されたトヨタ「ヤリス」。既に「ヤリスクロス」のテストは終えているが、本家「ヤリス」は初めて。ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したトヨタの本気モデルなだけに期待は高まる。
テスト車は中間グレード"HYBRID G"のAWDモデル。本体価格は233.8万円(税込)。更にメーカーOPの有料色(赤✕黒2トーン 77,000円)、LEDヘッドランプ(82,500円)・パノラミックビューモニター(33,000円)を装着。寒冷地仕様(25,300円)と合わせ合計255.5万円(税込)。最低限の販売店OPを選定し、諸費用を計上した乗り出し価格は約280万円にも達する。
「ヴィッツ」後継と考えると、かなり高価な印象を受けるが、海外(VWポロ/プジョー208/ルノー・ルーテシア等)・国内(日産ノート/ホンダフィット/マツダ2等)のBセグメントを見渡せば「ヤリス」の価格はまぁ平均的なレンジとも言える。
もはやBセグメントもこれくらいの価格帯になったと理解すべきだろうね。(なぜ価格上昇しているのかは別問題として....)
正直なところ、これまでBセグメントモデルを評価する際、自然と欧州車と国産車は別々の尺度で評価していた。その主要因は価格。以前ならば、簡単に80~100万円位の価格差があったから、ソレをハンデとして飲み込んでいた。
しかし昨今の価格上昇により、そんなハンデは不要になるだろう。もちろん「ヤリス」も同様である。
「ヤリス」のサイズは全長3940mm全幅1695mm全高1515mmでホイルベースは2550mm。最低地上高は160mm(4WD)。車重は1170kg。
エンジンは1.5Lの3気筒(NA)。ハイブリッド専用のミラーサイクルエンジンで91ps/5500rpm ・12.2kg-m/3800-4800rpmを発揮。モーターはフロント80ps/リヤ5.3ps。システム総合出力は116ps。
雪国待望のハイブリッドAWDだが、リヤモーターは僅か5.3psの低出力だから、低ミュー路の発進補助程度に考えておくべきだろうか。一方、興味深いポイントとして、AWDモデルはリヤサスが贅沢なダブルウィッシュボーンとなる。ざっくりAWDモデルは+20万円。カーマニア的にリヤサスのダブルウィッシュボーン代金だけでも充分お得かも。
発進した瞬間に判ることとして、非常にガッチリしたボディ剛性(感)。特にステアリング周辺のガッチリ感は特筆すべきポイント。やはりWRCを戦うGRヤリス派生も見据えた恩恵だろうか。コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用したメリットが光る。
個人的にトヨタ方式のハイブリッドはずっと毛嫌いしてきたのだが、その主要因は「鈍いアクセルレスポンス」「モサッとした加速フィール」「モワモワ聴こえるパワートレーンノイズ」等だが、「ヤリス」の新世代パワートレーンはかなり改善されていた。
特に、アクセルレスポンスは俊敏で、全体的にスッキリした加速フィールが爽快だった。これだけキビキビと走れるならば高価なハイブリッドシステムを購入する価値もありそう。次回はガソリンモデルにも乗ってみたい。
足回りは割と硬め。最近フワッとしなやかな味付けが流行中だが、「ヤリス」はドイツ志向で歯応えがある。個人的に嫌いな方向ではないが、従来のトヨタ信者には結構辛口かも。リヤサスに奢られたダブルウィッシュボーンだが、状態の悪い路面での"いなし"はもう一息。今後の熟成に期待。
主にリヤのタイヤ付近から侵入するロードノイズは結構騒々しい。これは要改善。相対的にエンジンノイズはあまり気にならなかった。エンジン始動時の振動もかなり抑えられていた。正直、かなり意地悪に観察しなければモーター駆動とエンジン駆動の違いは感じられない。
走行ルートが山道になっても、パワー不足は感じなかった。剛性感の高いステアリングがスッキリした走りに大きく貢献している。
ブレーキのフィーリングは違和感こそ少ないが、やや頼りない印象が惜しい。制動力に不足は無いのだが、もう少し信頼感が増すと有り難い。
パドルやシーケンシャルシフト的な装備がなく、エンジンブレーキ相当のシフトダウン操作はシフトセレクターを「B」に入れるしか無く興醒め。先日テストしたトヨタ「ライズ」はシフトレバーで「+/-」のシーケンシャルシフトが可能だったのにね。
個人的に「ヤリス」最大の課題はインテリアの質感。これが全車100万円台程度のエントリーモデルなら妥協の範囲...と思うが、250万円以上にも達する立派なクルマとしては物足りない。これは「ヤリスクロス」にも言えるから、トヨタは早急にインテリアのアップデートを検討すべき。まぁそれでもガンガン売れているから「勝てば官軍」なんだろうけど。昔のトヨタ車は中身こそ平凡でも見た目は高級(風)だったものだが。
そろそろ結論を。
トヨタの本気モデル「ヤリス」。少なくとも手抜きの塊だった「ヴィッツ」の名を捨てた事は正解。良い意味で「ヤリス」の出来栄えは事前の期待を軽々と超える仕上がりだった事は素直に評価したい。ライバル会社は戦々恐々としているのではないか。
一方、価格がグーンと上昇し「安いから仕方がない」と消費者に妥協を求めることが難しくなった故の課題が散見される。
特に遮音(主にロードノイズ)と質感(インテリア)は価格に対する許容範囲を超えており、少なくとも「今すぐマイカーとして新車が欲しい」と商談を開始するには躊躇を感じた。もちろんレンタカーとしては申し分ないが、それがトヨタの狙うところではないだろう。
難しい注文かもしれないが「絶対ヤリスが欲しい」「ヤリスじゃないとダメ」と思わせる特色・キャラクター・味・癖....。欧州のライバル達とガチで戦うには、トヨタもそろそろ真剣に考えるべきタイミングではないか。
以前テストした「ヤリスクロス」も1.5Lハイブリッドのパワートレーンを共用するが、「ヤリス」程に好印象ではなかったと記憶しており、車重やタイヤサイズの違いが影響しているのだろうか。(こちらも改めてテストしてみたい)
正直リセールは断然「ヤリスクロス」だろうが、私が選ぶなら迷わず「ヤリス」と感じている。
「ヤリス」としては変化球かもしれないが、1.5L(ガソリン/FF)の6MTモデルが用意されている事に注目している。中間グレードのG(6MT)なら今回のテスト車と同等内容でも200万円位で買える。近いうちに1.5Lのガソリンモデルをテストしてみたい。
実はGRヤリスの1.5L(FF/CVT)「RS」がかなりお買い得なのでは...??と思っている。何故1.5L(FF)の6MTモデルを用意しなかったか理解に苦しむのだが、こちらも機会があれば是非テストしたい。


Posted at 2021/06/06 20:19:30 | コメント(1) | トラックバック(0) | 試乗インプレッション | クルマ
2021年05月22日 イイね!

[試乗インプレッション]トヨタ「ライズ」X“S” (4WD/CVT) 1台のかけそば

[試乗インプレッション]トヨタ「ライズ」X“S” (4WD/CVT) 1台のかけそば先日レンタカーでトヨタ「ライズ」に乗れたので、簡単なレポートを残しておく。
トヨタ「ライズ」/ダイハツ「ロッキー」は2019年11月発売。既に相当な台数が街中を走っているから、販売実績を見るまでもなく大ヒット車であると実感している。
コンパクトSUVセグメントの先駆者は2017年12月発売のスズキ「クロスビー」(2016年1月登場の「イグニス」もあるが...)だが、軽自動車「ハスラー」とデザインを似せてしまったことが敗因。残念ながらヒットモデルにはなれなかった。
その点、トヨタ「ライズ」/ダイハツ「ロッキー」は限られた5ナンバーサイズとコストの中、しっかりとSUVらしく見えるデザインにトライしたのは大正解だった。
レンタカーのトヨタ「ライズ」はグレードがX“S” (4WD/CVT)で、価格は198.4万円(税込)。最新のコンパクトカーとして備えるべき安全装備(ADAS系)も一通り揃う事実上のベースグレード。
エアコン操作部がマニュアル(ダイヤル式)だったり、メーターパネルが流行の7インチ液晶ではなく、オーソドックスな2眼メーターに格下げされるなど、見た目の差別化(コストダウン)が散見されるが、個人的にコッチのほうが好み(笑)。
ウレタンステアリングやシフトノブは販売店OPで本革巻タイプへ交換出来るから、まぁコレで充分と感じさせる潔さは評価したい。
ステアリングの調整が全車「チルト」のみで残念。やはりテレスコは必須だろう。そろそろ装着を義務化すべきなのだが、一般ユーザーは使わないのかな...。私の好むポジションよりは少しシートを前進させてドライブ開始である。
走り出して直ぐ感じたのは、スタートダッシュの力強さ。こう書くと褒めていると感じるかも知れないが、コレは明らかにやり過ぎ。
1.0Lの3気筒ターボでAWDとなれば、非力なのでは...??と不安になるユーザーを騙す(?) ため、必要以上にゼロ発進からの加速を鋭く演出し過ぎ。クルマのキャラクターを考慮すれば、もう少し穏やかなチューニングがお似合いと思うが、4名フル乗車みたいな高負荷シーンでは丁度良くなるのかも。(オーナーの皆さんどうですか??)
私はかなり重度のCVT嫌いだが、ダイハツ新開発の「D-CVT」はなかなかの力作とお見受けした。
説明によればCVTのベルト駆動に加え、高速側にギアを組み込み、CVTはより低速側に特化。更には遊星ギア式動力分割機構を盛り込んだ。(難しい細部まで理解したと思えないが、従来CVTの弱点をコンパクト筐体のまま克服する設計思想なのは理解)
実際に走行しても、嫌なラバーバンドフィールが露呈するタイミング(領域)はかなり狭い。また、パドルシフトこそ装備しないが、シフトノブでシーケンシャルシフトが出来る。山道ではCVTとして望外の絶妙な減速感が得られたのには驚いた。これなら山道・雪道の減速シーンにおいても積極的に使えそうな印象だ。
一方、ステアリングの中立付近が曖昧なのは気になる。感覚的に左右5度位は不感症ゾーンが有るように感じる。まぁ好意的に解釈すれば、もう少しサイズの大きなSUV風の鷹揚なフィールを醸したいセッティングかも知れないが、前述したゼロ発進加速が敏感なパワートレーンとのマッチングには課題を残す。
正直なところ、ベースグレードだから前後スタビライザーを省いたの??と一瞬疑ったが、スタビライザーは前後共に全車標準装備。もしかしたらレンタカー故、アライメントが狂っていたのかも。今度別の個体で再確認したい。
ダイハツ謹製の1.0L3気筒エンジンは低級な振動と、雑味の有るエンジンノイズが耳障りで嫌っていたが、最新世代のDNGA(Daihatsu New Global Architecture)となり、エンジンマウント系も進化したのだろうか、どちらもかなり影を潜めたのは評価したい。意地悪に見れば3気筒特有の振動は完璧に消せていないが、嫌になるほどではない。リーズナブルな実用車として上手い落とし所だろう。
5ナンバーサイズのコンパクトボディに、割と各ピラーが立っている造形だから、とにかく四方の視界が良い。そしてガラスエリアが最近のクルマとしては結構広いので車内が明るい。これなら初心者の方でも安心して乗れるのではないか。
レンタカーのトヨタ「ライズ」で郊外路をドライブしていたとき、フッと思ったのは初代マツダ「デミオ」が正常進化していたら、こんなクルマだったかもな...と。(多分褒め過ぎな気もするが....)
初代マツダ「デミオ」は経営危機だったマツダを救った程の大ヒット作だが、最も苦しい極貧の時期に開発されたモデルだから、正直メカニズム的に語れるポイントは皆無なクルマだった。
それでもバブル崩壊後の不景気に苦しむ国内市場において、クルマの選び方が「他人からどう見られるか」ではなく「自分はどう使いたいのか」を爽やかに表現した傑作だったと思う。
トヨタ「ライズ」/ダイハツ「ロッキー」にも初代「デミオ」に通じる良品廉価的ヒットモデルのポテンシャルを改めて感じた。言うなれば、「ブレッドandバター」。日本的に言えば「かけそば」みたいなクルマ。
もし私がマイカー通勤だったら、ダイハツ「ロッキー」のAWDモデルを購入しておけば冬季間の雪道も含め安心。間違いの無い選択だろう。
当面、レンタカーを借りる際はトヨタ「ライズ」/ダイハツ「ロッキー」を指名し、もう少し距離を重ねてみたいと思っている。






↓初代マツダ「デミオ」が正常進化していたら「ライズ/ロッキー」みたいだったかも。
Posted at 2021/05/22 00:25:55 | コメント(1) | トラックバック(0) | 試乗インプレッション | クルマ

プロフィール

「@(ご) 下取価格って愛車の通信簿みたいなものなので、低い評価をされると買い換える気が失せますね。更に言えば自社銘柄の価格提示としては低過ぎて残念です。私もヤフオク売却経験有ります(^o^)。」
何シテル?   06/21 23:22
クルマとカメラが大好きで布袋寅泰の音楽を愛聴するヤツです。 随分と長いこと転勤で各地を転戦しましたが、ようやく地元北海道に戻ってきました。 マイカーはマツダ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

愛車一覧

スズキ ジムニーノマド スズキ ジムニーノマド
39台目 ジムニーにロング5ドアが設定されたら買いたいと販売店にお願いしていた待望の「ジ ...
マツダ ロードスターRF マツダ ロードスターRF
27台目 ロードスターRFの30周年記念車。一度は落選になるも、次点(キャンセル分の繰上 ...
トヨタ GRカローラ トヨタ GRカローラ
40台目 2022年/2023年のメーカー抽選に落選し、いつかは買いたいと思い続けていた ...
トヨタ GRヤリス トヨタ GRヤリス
38台目 1年以上の長納期の末に納車された進化型「GRヤリス」。8速ATの「GR-DAT ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation