![[試乗インプレッション]VW NewBeetle Prime Edition 日本最終モデル [試乗インプレッション]VW NewBeetle Prime Edition 日本最終モデル](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/020/652/881/20652881/p1m.jpg?ct=56d2499f01ad)
今回取り上げるのは「ニュービートル」の日本最終モデルとなった特別仕様車「ニュービートルプライム エディション」。既にメーカー公式ページから「ニュービートル」の情報は削除されており、事実上の新車販売は終了している。あとは極僅かな流通在庫が存在している程度と聞いている。もし最後の「ニュービートル」を買いたいと言う方がいたら急いだ方が良いだろう。
少し昔話を。「ニュービートル」のルーツは1994年のデトロイトショーで発表された「コンセプト1」まで遡る。その後、1995年の東京モーターショーで市販化へ向けて発展した「コンセプト1(生産型)」が発表された。そして、1998年3月北米で販売開始。日本では1999年9月から正式な販売が開始されている。当時24歳で社会人2年目だった私も「ニュービートル」の発売を心待ちにしていた一人。発表と同時期に開催された第33回東京モーターショーの会場で実車と初対面。その翌週末には数万円の予約金を支払い「右ハンドル」「イエロー」「ベースグレード」のニュービートル(239万円)をオーダーした。発売当初に納車されたクルマの大半が左ハンドルであり、「右ハンドル」に拘った事で、
私のクルマは翌2000年の3月まで納車を待たされる事となった。当時は物凄い注目度で、どこへ行っても質問攻めにあった事を覚えている。妻と出会ったのもこの頃だった。あれから既に11年もの月日が流れた。日本では累計約82,000台以上を販売したヒットモデルとなった。
今年の3月に日本でもニュービートルの生産中止と、最終モデルとなる
特別仕様車「ニュービートルプライム エディション」がリリースされた。もしかしたら「ニュービートル」も初代「空冷ビートル(TypeI)」と同様に何十年も生産され続けるのではないかと勝手に(?)信じていたから、「ニュービートル」が生産中止になり、過去のクルマになってしまうと言う現実が私にはとても寂しく感じられた。もちろん、現代のクルマは電子部品が多数使われ、安全・環境性能など最新のテクノロジーをキャッチアップしていく為にはマイナーチェンジでは対応出来ず、フルモデルチェンジが必要となるのは理解しているが、それくらい私の中で「ニュービートル」と言う不思議なクルマは「別格」な存在である。
さて「日本最終モデル」である特別仕様車「ニュービートルプライム エディション」のおさらいを。ベースモデルは1.6Lの「EZ」だ。「EZ」は2004年9月に追加されたエントリーモデル。特別装備として、エクステリアには16インチアルミと、ダークティンテッドガラス。インテリアには、レザー巻きのステアリングとハンドブレーキグリップ、シフトノブを採用。さらに、前席シートヒーターとパークディスタンスコントロールを装備。価格はベースモデル+4万円に抑えた249万円。最後を飾るのは豪華装備のお買い得モデルとなった。ボディサイズは全長4130mm全幅1735mm全高1500mmホイルベース2515mmで車両重量は1250kg。エンジンは1.6L(NA)の直列4気筒SOHC。102ps/5600rpm 15.1kg-m/3800rpmを発揮し、組み合わされるミッションは6段AT。10.15モード値は11.6km/Lである。
久し振りにニュービートルの運転席に座って気が付くのは、座面の低さと低く広大なダッシュボード。そして車両の中央付近にドライバーが座っていることだろうか。最近のVW車はせり立つようなインパネを好んで採用しているから、その差は大きい。カーナビが常識となった今では時代遅れのレイアウトだが、デザイン面では今も新鮮味を失っていないと思う。ステアリングは最新のゴルフに比べて大径で少し細身。もちろんチルト・テレスコが可能。シートもタップリとしたサイズで調整幅も広いから、好みのポジションがスパッと決まる。
最新の「TSIエンジン」にすっかり慣れてしまった今、古臭い1.6Lエンジンに特筆すべきポイントはない。81.0mm×77.4mmのショートストロークエンジンだから、発進時には6段ATと言えども遠慮なく回転数を高めていく。静粛性に力を入れている最新のゴルフと比べてしまうと「かなり賑やかなクルマ」と表現するしかない。しかし、不思議な事にクルマを運転していると言う実感は最新のゴルフよりも幾分濃厚に感じられるからクルマは面白い。TSIエンジンは超低回転域からターボやS/Cの効果によって分厚いトルクをモリモリと発生し、ワイドレシオのDSGがそれをアシストする事で、エンジンを極力低回転域に留まらせるセッティング。それは当然ながら燃費に大きく貢献する。しかし、一方でドライバーはエンジンサウンドの高まりと共に速度も増していく事でクルマとのリズムや一体感を味わっているのも事実。ニュービートルの古臭いパワートレーンから最新のVW車(TSI+DSG)では感じにくくなっている「クルマを操っていると言う実感」を感じてしまうのは皮肉な話だと思った。最新のテクノロジーによって何かを得ると同時に何かを失っていると言う事だろうか。一方で、上り坂や追い越し加速時にTSIエンジンの湧き出る様な怒涛のトルク感は当然ながらニュービートルには無い。アクセルを深く踏み込み、エンジンが唸りを上げるしかない。当然ガソリンも多く消費しているだろう。しかし、永年に渡って染み付いた感覚と言うのはそう簡単に変わるものではない様で、騒々しいニュービートルの中で何故かほっこりしていた自分がいる。
私の記憶の中にある「ニュービートル」と今回の「ニュービートルプライム エディション」の走りは少し違っていた。おそらく、重量とタイヤ。そして各部の熟成だろうか。「プライム エディション」は1250kgだが、「ニュービートル・カブリオレ」は1390kgと140kgも重い上に、ボディ剛性はオープンカーの宿命でかなり劣る。特に「プライム エディション」は1.6Lエンジンだから鼻先が軽快に感じられることも大きい。更に、タイヤが最新のVW車に共通してコンチのスポーツコンタクト2を奢られていた。以前はミシュランのオールシーズン(MXV4)で、硬めでグリップもイマイチだった。さすが「スポーツコンタクト」は食いつきも良く、ビートルには贅沢なタイヤだろう。ロードノイズはそれなりに発生しているようだが。足回りも熟成が進んだのか、ゴルフ4世代のトーションビーム式リヤサスだが随分シットリと路面を掴むようになった。以前は初期にもう少し「グラッ」と深めのロールを許してから後半踏ん張るようなフィーリングだったと記憶している。ボディの剛性感は最新世代のVW車と比べてしまうとさすがに分が悪いが、最新の日本車と比較して特に劣っているとは思わない。2008年2月の改良以降、ベースモデルから全車6ATを採用している事もあり、商品力はまだまだ健在だろう。やはり生産中止が惜しい。
デザイン優先のシルエットだから、高速走行時には風切り音が高まって来るし、太いAピラーが多少右前方の視界を遮る。後席の居住性やラゲッジスペースなどにしわ寄せが来ているのも事実。張り出したフェンダーや独特の視界のお陰で車庫入れにも慣れを要するクルマ。色々とネガティブな要素も抱えるクルマで有るが、案外中身はしっかりしたクルマでもある。
さてさて、そろそろ種明かしを。実はこのクルマ、試乗車では無く私のクルマである。色々悩んだ末の結論では有るが、やはり「ニュービートル」の最終モデルを見逃す事が出来なかった。自分でも笑ってしまうが、以前から「ニュービートル」が生産中止になるときは最後のモデルを買おう...と考えていたので決断した。私のクルマは「プライム エディション」のボディ色「ハーベストムーンベージュ」では国内最後の1台である。既に「サンフラワー(イエロー)」と「サルサレッド」は完売していた。
来年には2代目の「ニュービートル」が北米で発表になる予定だと言う。日本では恐らく、来年末に東京ビッグサイトで開催される東京モーターショーで実車を見る事が出来るだろう。その時、1999年の自分と同じく2代目の「ニュービートル」を予約する事になるのか楽しみにしたい。
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Posted at 2010/12/05 21:38:02 | |
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