終わってみればあっという間の出来事だった。吉川晃司が歌い、布袋寅泰が弾く。あの「COMPLEX」が21年ぶりの復活を遂げた。大震災の復興支援チャリティーを目的に急遽決定した復活プロジェクトだった訳だが、当時「COMPLEX」のライブに足を運ぶ年齢に達していなかった世代の私としては、正に夢の様なイベントだった。何せ、21年間も延々と繰り返し聴き続けて来た「COMPLEX」サウンドを生で体験する機会に恵まれたのだから。当然の様に気合タップリで参加。ライブの余韻を楽しみたくて都心にホテルも確保した。
予想に反して(?)二人の固い握手で幕を開けたライブ。余計な演出は要らない。それだけで会場のボルテージはMAXに。そして1曲目は誰もが想像していたであろう「BE MY BABY」。吉川の歌声がかき消されるくらいにオーディエンスの合唱が響く。それにしても、吉川のボーカルは年齢を感じさせないボリュームと切れ味。おそらく、この日のためにトレーニングを重ねたのだろう。もちろん、歌う事から開放された布袋のギターは絶好調に鳴り響く。新曲が無く、全ての楽曲が20年以上経過しているのに、全く古さを感じさせないのはさすが。むしろ、古いCDから聞こえていた当時のサウンドよりも、最新のデジタルサウンドで構成される21世紀の「COMPLEX」は切れ味が増し、よりパワフルなサウンドになっていた。11月にローソン限定でライブDVDが発売される様だが、私は音声のみでも聞き応えのある内容だと思う。
本編後半戦の「PROPAGANDA」→「IMAGINE HEROES」→「GOOD SAVAGE」→「恋をとめないで」の流れは完全燃焼でしたね。そして本編ラストはやはり「MAJESTIC BABY」。
アンコール1曲目も予想通り「1990」。アンコールは「RAMBLING MAN」→「AFTER THE RAIN」と続く。これはもうお約束の展開。
このパワーとクオリティが出せるなら、新作引っ下げて全国ツアーも出来るんじゃないかとさえ思ったしまったが、「夢」はこの位にしておいた方が良いだろう。私にとっては、吉川晃司や氷室京介の後ろでギターを弾く布袋よりも、ステージの中央で弾いて歌う布袋こそが生涯のヒーローだから。
さぁ次は9月19日からスタートする全国ツアー「MEMORIAL SUPER BEST TOUR」。当然の様に「BOØWY」 「COMPLEX」「GUITARHYTHM」の全てを含むGREATEST HITSツアー。布袋の30th ANNIVERSARYを精一杯お祝いしようじゃないか。
全ては復興支援の為。一夜限りで"COMPLEX"が復活する。たった2枚のシングルとオリジナルアルバムを生み出し、僅か2年間(1988-1990)の活動で嵐のような活動に終止符を打った"あの"ユニットが21年間の眠りから醒める。
7月30日(土)に場所は東京ドーム。そう21年前「19901108」で全ての"Complex"活動を終了した場所だ。(正式には無期限の活動休止だったかな....)
その前に"BOφWY"の話題にも触れておく。氷室京介は6月11日(土)に同じく東京ドームで復興支援を目的とした「KYOSUKE HIMURO GIG at TOKYO DOME "We Are Down But Never Give Up!!"」を開催。氷室のソロ公演なのだが、全編"BOφWY"の楽曲で演奏される事が話題となっている。しかし、メンバーである松井常松は「でも、少し寂しい。どうして、声を掛けてくれなかったのかと。」HOTEIは「大震災直後、被災地の皆さん、そして復興に向け力合わせる多くの皆さんに自分の持つ力を最大限に発揮し貢献できるとしたらそれはBOΦWYの再結成しかない、と考えましたが残念ながらそれは叶いませんでした。」とそれぞれの心境を綴っている。それだけBOφWYの再結成には今なお難しい問題が存在していると言う事を改めて証明した。恐らく、大多数のファンはたった一夜限りの「夢」であってもBOφWYの再結成を望んでいるだろう。しかし、私の様にHOTEIのコアなファン(もちろん氷室ファンでも)は案外、BOφWYの再結成を望んでいないのではないだろうか。夢は手が届かないから夢なのであり、現実となってしまったらただ消費されてしまうだけ。もちろん"BOφWY"の復活ライブは見てみたいが、その玉手箱は開けない方が良いのではないかとも思っている。
以前から、なんとなく復活するならば"BOφWY"より"COMPLEX"の可能性が高いと思っていた。本当に偶然だが、2月下旬に以前はレーザーディスク版で所有していたCOMPLEXのライブ映像「19901108」をDVDで買い直したばかりだった。まぁ今回の"COMPLEX"復活は氷室に刺激され、対抗意識が無いと言えばウソだろう。それは吉川晃司のコメント(4/28)からも伺う事が出来る。もしBOφWYの復活ライブが実施されていれば当然の様にCOMPLEX は無かっただろう。でも、それこそが「HOTEIエネルギー」の源だと思う。氷室に追いつき追い越したいと言うコンプレックス。いつも孤独と戦っている様な陰のあるパワーが私にとってHOTEIの魅力だ。それで良いんじゃない? せいぜい氷室よりパワーが有って盛り上がるライブにしようじゃないか。