ボクスターのライバルになる(であろう)クルマを試乗してみようと思い立ち、まずリストアップに着手。ボクスターはミッドシップレイアウトの2シーターかつオープンボディであり、明確なライバルというのもそうあるものではない。しかし、ミッドシップの2シーターやオープンカーが必須条件ではなく、今回は「ドライビングが楽しいクルマ」である事。それが唯一の条件であるため、エンジンレイアウト等にはこだわらない事にした。逆に今回、後輪駆動(FR/MR)でMTミッションである事という条件を追加した。地元の北海道に戻ってしまうと積雪のため、なかなか後輪駆動のクルマには乗りづらい事情もあって、私の車歴の中では「スズキ・カプチーノ」以来かなり久し振りの後輪駆動となる。また、ミッションについては「運転を楽しむ」のであればやはりMT。ここ最近DSGなどの次世代ミッションが登場しており、コンベンショナルな3ペダル方式のクルマに乗る事もそろそろ最後かも...という思いもある。ガソリンを燃焼しながら走るMTミッションの後輪駆動車。言ってみればなんとも古典的・オーソドックスなレイアウトであるが、クルマ離れ・ガソリン高騰のご時世を考えると、今のうちに乗っておく事は個人的にとても価値のある事に思えてきた。(次回買うクルマはディーゼルかハイブリッドになる可能性が高い気がする)そこで、ボクスターのライバルとしてリストアップされた車種はBMW320iクーペ・BMW135iクーペ、日産スカイラインクーペ、マツダRX-8、ホンダS2000の5台である。正直、BMW・ホンダのクルマが候補として挙がるというのは過去には無かった(どちらかというと嫌いなメーカー)事なので個人的にはとても興味深い。

まず、真っ先に試乗出来たのはBMWの320iクーペ。320iクーペのMTモデルは残念ながら左ハンドルしか用意されない。また、紹介された国内の在庫車は全て430万円(6MT)の車両本体に「M-Sport パッケージ」(メーカーOP +42万円)がセットされている事が悩ましい問題だったが、「M-Sport パッケージ」装着車のネガティブ要素(サスの堅さ、ステアリングの重さ、薄いタイヤ...による乗り心地の悪さ)はこのクルマではあまり感じられなかったのは幸い。また、6MTの出来の良さはさすが。スコッと自分から吸い込まれるように入るMTミッションはこれだけでもこのクルマを買わせる魅力があると思った。逆に2.0L 直4エンジン(バルブトロニック)はパワー的に不足は感じないものの、事務的なサウンドやモッサリとした回転フィールが物足りなかった。山道ではシャシーが完全にエンジンに勝っているような印象。6AT仕様(右ハンドル)にも試乗したが、やはり走りの楽しさではMTモデルの勝ち。個人的には日本でクルマを運転するのならば、右ハンドルで乗るべきだと考えているのでボクスター同様、左ハンドルを許容するか否か...。このクルマはここが最大の問題だ。

次に同じBMWの135iクーペ(6MT)。このモデルは追加されたばかりで、雑誌などでも「マルニの再来」等と頻繁に取り上げられていた時期だったから、試乗車の手配も大変だったようだ。320iクーペとは違い、右ハンドル+6MTの組み合わせがあることも加点要素。135iクーペ(6MT)は538万円と320iの「M-Sport パッケージ」装着車よりも更に+66万円の価格になるが、Mスポパッケージや本革シート、カーナビ、ETCなどがすべて標準で装着される事と、3.0L 直列6気筒DOHC(N54B30A型)エンジンは直噴でかつツインターボ。最高出力は306ps/5800rpm 最大トルク 40.8kg-m/5000rpmを発揮する事を考えればバーゲンプライスか。ネックは早くても年末(?)と言われるバックオーダー状態だろうか。試乗してみた感想としては、トルクフルなターボエンジンのお陰で超低回転域からモリモリとトルクが溢れる。しかし、それが必ずしも操る楽しさやBMWが言うところの「駆け抜ける歓び」が感じられるかといえば難しいところ。フラットトルクのエンジンにMTを組み合わせても、狭いトルクバンドを外さないようにギアを駆使して走る...。そんな必要が無いので結局散漫な運転になってしまいがち。贅沢な話だが、135iクーペの走りに私はあまり面白さを感じなかった。もっとも残念な事は右ハンドル化によるペダルレイアウトのオフセット感が強かった事。これは最後まで気になった。135iクーペは2ペダルの方が好ましいのではないか。<つづく>
Posted at 2008/07/23 20:38:05 | |
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