ここのところ連日の様に米国ではビックスリーに政府の支援をすべきなのか否かと言うニュースが伝えられ、日本ではトヨタが赤字になりそうだとか、期間従業員や派遣労働者を解雇したという暗いニュースが続いている。こうもネガティブな話題ばかり聞かされれば、とりあえず不況のあおりを受けていない消費者だってクルマを買おうかな...という購入意欲が削がれるのも無理はない。日本の年間自動車販売台数は500~600万台位だと言われているが、仮に新車を検討している人が10人いたとして、折からの不況ムードに飲まれ「今回は車検を取るか..」と2人が新車購入を断念すると、あっという間に年間で100~120万台の新車販売が落ちてしまう。これは極端な表現ではあるが、必ずしも消費者は必要に迫られて買い替えているわけではなく、世の中のムードに乗っている面もあろう。結構短期でクルマを買い替える方だと自負している私でさえ、クルマの買い換えにどことなく後ろめたさのようなモノを感じているのだから。まぁ元々アメリカ人のように借金に借金を重ねて消費に走る(住宅価格の値上がり分を担保に、追加の借金をしてクルマを買うなど。ホームエクイティローン?)のは正にバブルとしか言いようがないだけに、暫くは自動車の需要そのものが萎むのは免れまい。(ローン審査も相当厳しくなっているようだし)しかし、私はここ数年日本のメーカーにも危うさを感じていた。北米重視、売れる市場へ売れるモノを供給する。経済の原理から言えば正しい行動なのかも知れないが、どんどんボディサイズは拡大し、エンジンの排気量も拡大の一途。しまいには従来アメリカメーカーが得意としていたフルサイズピックアップまで作り始めた。先日、グアムへ行ったときもトヨタや日産のバッヂをつけた恐竜のようなトラックがよく走っていた。私はブログ上でも常に日本のメーカーに対し、北米重視でボディサイズと排気量を無闇に拡大していくことに懸念を表明してきたつもりであるが、トヨタやホンダの苦境を伝えるニュースを聞く度に、彼らの社内で日本では売り物にならないような巨大なクルマを生産し続けることに問題意識はなかったのだろうかと思っている。以前、V36スカイラインの発表会へ招待されたときに、折角のチャンスだからと開発主管の方へ「ライバルがBMWの3シリーズだとすればもう少しボディは小さくて軽量、エンジンだって4気筒の2.0L位から用意した方が宜しいのでは?」と直接質問をしたことがあるが、彼は私の質問がもの凄く意外だったようで「4気筒エンジンは考えたことがない」「3シリーズの価格で5シリーズ並みの商品を提供したい」「日本の市場を忘れていないからこのボディサイズに留まっている」「北米で売れているからここまで開発費がかけられる」と自信満々で答えていた。裏を返せば、同じ価格なら大きくて排気量が大きいクルマを好む北米市場を重視しているという意味だし、北米で売れなくなれば自ずとスカイラインは無くなるんですよと受け取ることも出来よう。スカイラインはタイミング悪く(?)先日のマイナーチェンジでエンジンを3.5L→3.7Lへ換装している。気がつけば、トヨタ・日産・ホンダに3.5L前後の排気量を持つクルマが多くなっている事に驚く。ボディサイズも全幅1800mmを超えるクルマが珍しくない。これら全てが悪だとは言わないが、安易に北米で売れる商品を開発してきたツケを払わされていると言うことは間違いないと思っている。個人的には北米の価値観はグローバルスタンダードではないと思っている。純粋な北米ブランドのクルマがグローバルで評価されているわけではないことからも明らかだ。少なくとも、新年の賀詞交換会を辞めるのが大切な訳ではなく、偏った商品の開発思想を改めるときではないだろうか。何故、BMWの3シリーズはグローバルで評価され、スカイラインやシビックは自分の国で人気が低迷しているのか。この不況を機会として、売らんがための安易な商品開発姿勢が改められる事を祈りたい。
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急転のクルマ選び〈続編〉 カテゴリ:その他(カテゴリ未設定) 2025/09/02 07:53:25 |
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