![[試乗インプレッション]マツダ・アクセラスポーツ 20S ロングテスト!! [試乗インプレッション]マツダ・アクセラスポーツ 20S ロングテスト!!](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/015/886/460/15886460/p1m.jpg?ct=679e7e4df283)
マツダ・アクセラのi-Stop(アイドリングストップ機能つき)を装備したエコスポーツモデル「20S」をロングドライブへ連れ出すことが出来た。先日、新型ポロのロングテストをした直後でもあり頭が暖かいうちに比較をしておきたいと思っていた。ポロとアクセラを直接の比較対象とするのは違和感があるかもしれないが、日本国内においては価格の面でかなりガチンコ。ポロが203万円であるのに対し、アクセラは214万円(20S)。11万円ほどアクセラが高価なのだが、昨今のエコカー減税のおかげでアクセラは自動車取得税と重量税が75%軽減される。その減税額は約11万円。もうお分かりと思うが、現状ではポロとアクセラは乗り出し価格でいえばほぼ同額。もしくは値引額を加味すればアクセラのほうが安いかもしれないのダ。
別の面からも比較してみると、ポロ(1.4L)の10.15モード値は17.0km/Lであるのに対し、アクセラ(2.0L)は16.4km/Lとこれも肉薄。ボディサイズはかなり違う(ポロ:全長3995mm全幅1685mm全高1475mm)(アクセラ:全長4490mm全幅1755mm全高1465mm)が、この2車を比較検討する人がいても私はおかしくないと思っている。(もちろん本来はゴルフと比較すべきでしょう)
既に新型アクセラには二回程試乗をさせて貰っているが、いずれも市街地を中心とした20~30分程度のチョイ乗りであり、私としては念願のロングドライブである。コースは比較のためにも新型ポロで走ったコースを出来る限りトレース。約160km程走りこんだ。
ポロとのボディサイズの違いについては、全長で495mmもロングなボディなのだから当然だが、決して些細な差ではない。一方、ポロでは一番の違和感となっていたミッション(DSG)について、アクセラはコンベンショナルな5ATであり全く不満がない。20Sにはパドルシフトも奢られるが、これの反応が速くて面白い。パドルシフトがATのポジションに関わらず使えることも朗報だ。これまで私はあまりパドルシフトが好きではなかったが、これなら積極的に使いたいと思った。
ポロの最高出力は85ps/5000rpm 最大トルク13.5kg-m/3800rpmで車重は1080kgであるから、パワーウエイトレシオは12.7kg/psとなる。一方、アクセラは150ps/6200rpm 19.0kg-m/4500rpmを発揮し、車重は1340kg。パワーウエイトレシオは8.9kg/psとなる。この数値の差以上に、体感的にはアクセラのスポーティな走りが印象的。最近はエコカーブームのおかげで、走る楽しさを語ることすらタブーという雰囲気であるが、正直アクセラの爽快かつ安定感のある走りには驚いてしまった。
アクセラの魅力としては出来の良いシートもあるだろう。これまで、日本車のシートには常に落胆させられてきたが、初めてといっても良いくらい不満のないシート。シートが良ければクルマのインプレッションなんて最初から合格しているようなものなのだ。更に、しっとりとしたステアリングもフィーリングに富み文句なし。(個人的な好みからいえばもう少し重くても良いが)こだわって電動油圧パワステを採用したことが功を奏している。そしてなんといっても、足回り。テスト車はメーカーOPのツーリングコンフォートPKGをメーカーOPで装着していたため205/50R17を履くが、持て余すこともなく履きこなしている。コーナーでは少しのロールを許すが、ジワーと粘るように切れ込んでいく。これがとても爽快。VW車は全般的に初期ロールが早く、グラッと来た後にグッと踏ん張るようなコーナリングであるから、フィーリングは随分と異なる。好き嫌いが出そうだが、アクセラのセッティングはひとつの回答になっていると思う。これに前述したパドルシフトが加わるからコーナーが面白い。一瞬、山道をもう1往復して来ようかと思ったほどだ。
さて、エコカー的な事はすっかり忘れてアクセラを楽しんでしまったわけだが、アイドリングストップ機能についても触れておきたい。季節柄エアコンは大半の区間でOFFだったからか、信号待ちなどの時はかなりの確実でエンジン停止していた。言葉では表し難いが、少しブレーキを強めに踏んで停止すると上手くエンジン停止できるようだ。逆に、発進ギリギリまでエンジン停止していると、再始動と発進が同時になり、ワンテンポ発進が遅れることもある。早めにブレーキを緩めることで意図的にエンジンを再始動させることもテクニックだろう。約4.5時間のテストドライブ中に約30分ほどのエンジン停止があった。約11%の停止時間というわけだ。個人的にはこれによって節約されたガソリンの量よりも、無駄な排気ガスを出していないという精神的負担の少なさが魅力に思えた。しかし、もう少しだけエンジン再始動時の振動は封じ込めたい。時が解決する問題だとは思うが。
燃費については全区間トータルで14.0km/L(左上の写真は寒かったのでアイドリングしながら写真を撮っていたら13.9km/Lに悪化したもの)を記録。同コースを走ったポロの燃費記録17.7km/Lに比べると物足りなく感じるかもしれないが、ポロはハイオクでアクセラはレギュラーガスであることも考慮すべき。燃料の価格差を約8%と仮定すれば、アクセラの14.0km/Lは15.4km/Lに相当する。ポロの17.7km/Lに対し、87%の達成率である。歴然とした走りの楽しさをこの差分に当てはめたとすれば、これくらいは喜んで投資したい。しかし、時間帯や通行量など厳密な意味ではアクセラの方に有利な道路状況であったことを報告しておく。
結論になるが、これまで幾度となく口惜しく思ってきた「欧州車とは文化が違う」「コストの問題で...」「日本のユーザーは求めていない」という言い訳を正当化するように価格は安いが、走りや安全装備には手を抜いていた日本車の中で、アクセラは劣等感を感じずに乗れるクルマがようやく出てきたと思っている。20Sについていえば、214万円の価格にSRSサイド+カーテンエアバッグやDSC(横滑り防止装置)が標準で装着されるだけでなく、後席ヘッドレスト+3点式シートベルトも3名分用意。スポーツシートも秀逸の出来栄えであり、マツダの英断には拍手喝采を送りたい。アクセラのライバルとしてポロは残念だが力不足。やはりVWゴルフ「TSI Highline(312万円・最高出力160ps/5800rpm 最大トルク24.5kg-m/1500-4500rpm)」位のパフォーマンスが必要かもしれない。
久しぶりに心底「これはイイクルマだなぁ~」と関心感激した。もっと走りたいと離れがたいクルマ。そんなクルマがこの価格で買える幸せをもう少し日本のユーザーは気づくべきだ。
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◎これまでの2代目アクセラ試乗インプレッション◎
[試乗インプレッション]マツダ・アクセラスポーツ 15C
[試乗インプレッション]マツダ・アクセラ 20S i-Stop

Posted at 2009/11/24 23:19:15 | |
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