![[ありがとうS2000]納車から約1.5年。走行距離は約8300kmでした。 [ありがとうS2000]納車から約1.5年。走行距離は約8300kmでした。](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/016/734/443/16734443/p1m.jpg?ct=c8694dac11ab)
S2000を手放した。納車から丁度1年半。この間に約8300kmの距離をともに刻んできた。私としては、ほぼ予定通りの期間で売却となった。走行距離についても買い物や送迎などの日常利用ではもう一台のマツダ・ベリーサを使うので、ほぼ100%純粋なドライビングだけで刻んだ距離。自分では結構走ったナと思っている。きっと、将来自分の乗ってきたクルマ達を振り返る時に強く印象に残っている一台になるだろう。
私がS2000の商談を開始した2008年5月時点では生産中止に関する公式アナウンスは出ていなかった(発表は2009年1月)が、恐らく一年以内には生産中止になるだろうとの確信を持っており、タイミングとしては「これがラストチャンス」と思い契約した。納車された頃は丁度ガソリン価格が最も高騰していた時期で、リーマンショックの直前だったと記憶している。ハイオクガソリンが瞬間的とは言え200円/Lを超えた時はさすがに驚いた。
久し振りにスポーティなクルマに乗りたい。純粋にドライビングを楽しめるクルマを買う!!と決め、後輪駆動でMTの車種に限定。S2000の他、ボクスター・RX-8・スカイラインクーペ・3シリーズクーペ等を色々試乗させて頂きS2000に決めた。(当初本命視していたのはボクスターかスカイラインクーペ)結果として当初は候補車にも含まれていなかったS2000が一番楽しかったし、一番刺激的なクルマだったが、長年ホンダ車嫌いで通してきただけに、今更ホンダ車が買えるか....と1ヶ月悩んだ(笑)末の発注だった。
ガソリン高騰で新車販売が急激に落ち込んでいたからだろうか。実は購入条件もかなり良かった。恐らく昨年、最終モデルを駆け込みで発注した方は条件渋かったんじゃないかな。今回ホンダ車を得意とするお店に売却したのだが、かなりの高額査定。最後まで親孝行なクルマだった。次のオーナーにも大切にして貰えることを祈りたい。程度は良いはずです。
S2000を降りて、改めてこのクルマを振り返って見ると、巷では2.2Lにエンジンが変更された後期型(AP2)は前期型(AP1)に比べエンジンのレブリミットが(9000rpm→8000rpm)落ちた事が原因で人気はイマイチだという。しかし両方のモデルを乗り比べて判断した人がどれだけいるのか判らないが、(試乗車も満足に用意しなかったホンダにも責任はあろうが)サーキットにでも持ち込まない限りは最後の1000rpmよりも低回転域のトルクアップの方が絶対に有効であると私は思う。
実際に最高回転数が落ちたとは言え、8000rpmなんて超高回転ゾーンはそう簡単には使いこなせませんよ。むしろ、私はVTECの高回転側カムに切り替わるタイミングをもう少し低回転域(500rpm程度でも)に下ろしてくれたほうが素人は楽しめると思う。性能追求ではなく、演出でも良いからもう少し伸びを楽しみたいと思った。まぁスポーツカー(特に日本)はカタログスペックも重要なのは理解するところではあるが...。
良くも悪くもS2000はエンジンスペックで大半が語られるクルマだったと思う。しかし、実際には
専用設計のFRプラットホーム(ハイXボーンフレーム)に専用の縦置エンジンとダイレクトチェンジ式の6MTを贅沢に採用していた事の方が重要だっただろう。今後、300万円台の価格帯でこのような贅沢設計が許されるクルマが出てくることは無いのではないか。私がS2000の中で一番気に入っていたのはストロークが短くて手応えが良い。そしてカチッと決まる6MTだった。この一点だけでもS2000を所有して良かったと思っている。(逆に言えばスカイラインクーペはこの一点だけでも落選確定だった)チルトもテレスコも無く、ずっしりとした手応えの固定式ステアリングに、リフターの無いフロントシート。なかなか硬派な内容ではあるが、ポジションにはもう少し融通がほしかった。私のポジションではメーターの一部がハンドルに隠れてしまうのが常に気になっていた。
ホンダの開発者は「ロータス・スーパー7の様なネイキッドスポーツカーの楽しさをS2000で現代的に表現したかった」と言っているのを何かの雑誌インタビューで読んだ事がある。当時はあまりピンと来なかったが、今は少しその意図が理解出来る様な気がする。ロングノーズや盛り上がったフェンダーもスーパー7と見比べると案外共通点のようにも見えてくるから面白い。余計な装飾や快適装備を排し、走るための性能には妥協を許さない。初期型は時計も無かったし、リヤウインドはアクリルだった事もそんな精神の表れだったのだろうか。
個人的にはエンジン性能がもう少し普通でも、重量があと100kg程度軽く仕上がっていればもっと狙いが明確だったのではないかと思うが、エンジン屋のホンダはそんなクルマを作らないだろうね。(マツダ・ロードスターに近づくし...)
最近のホンダ車からはすっかり感じられなくなった「こだわりのホンダスピリット」。今後はそれをCR-Zが継承していくのだろうか。今の時点ではなんとも言えないが....。
20世紀に発展して来たガソリンエンジン技術の"ひとつの到達点"としてS2000を一時期でも所有することが出来たことはとても興味深く、刺激的な経験だった。たとえ細々とでも1999年の発売から10年間に渡ってこのクルマを作り続け、熟成させてきたホンダには敬意を表したい。そしてまた新しい手法でS2000を凌駕するクルマを生み出してほしい。
◎
S2000最後のフォトギャラリー その①
◎
S2000最後のフォトギャラリー その②
Posted at 2010/01/31 13:41:18 | |
トラックバック(0) |
S2000 | クルマ