![[試乗インプレッション]BMW X1 xDrive25i [試乗インプレッション]BMW X1 xDrive25i](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/018/657/748/18657748/p1m.jpg?ct=2801560046bc)
近年のBMW車には正直、首を傾げたくなるクルマが多かった中で久々に興味を持っているのが「X1」。日本でも持て余さずに乗りこなせるギリギリのサイズと、サラリーマンでもなんとか手の届きそうな価格帯という事もあって、以前から試乗出来る機会を伺っていた。
今回テストする事が出来たのは上級グレードの「X1 xDrive25i」。3.0Lの直列6気筒エンジンを搭載するAWD駆動車。価格は480万円である。同じBMWの3シリーズ・ツーリング(ステーションワゴン)だと一番ベーシックな2.0L・直列4気筒の「320iツーリング」(FR)でも465万円だから、BMW=直列6気筒を連想してしまう人にとっては結構リーズナブル。おまけにAWDなのだ。レクサスのRX350(AWD)が485万円。日産スカイラインクロスオーバーの「370GT FOUR」が447.3万円である事を加味しても「X1」は日本車と同じ土俵で比較検討出来る珍しいBMW車と言えるかもしれない。まぁそれでも絶対的に「お安いクルマ」とは言えない価格帯。やはり価格面から2.0L・直列4気筒で2WDの「X1 sDrive18i」363万円に話題が集中してしまうのも無理は無い。しかし、雪国育ちの私には「クロスオーバーモデルの2WD(特にFR)」って言うのは物足りないというか、ピンと来ない。悪く言えば「見かけ倒し」。まぁ堅苦しい事を言わず、ファッションで乗るクルマなんだろうけどね。
さていよいよ「X1」実車と御対面。全長4470mm全幅1800mm全高1545mmホイルベース2760mmのボディはスッキリとしていてSUVの中ではかなりコンパクトにも見える。私の現愛車であるゴルフⅥヴァリアントが全長4545mm全幅1785mm全高1530mmホイルベース2575mmと比較しても"まぁ似たようなモノ"だ。ただ、車重は1710kgと結構重い。私のゴルフは1370kgだから何と340kgも重い。ちなみに、2WDの「X1 sDrive18i」は1560kgである。
全高が立体式の駐車場にも入庫が可能な1545mmに抑えられている事もあり、SUVと言うよりは「少しいかつい」ステーションワゴンの様だ。スバル・レガシィのアウトバック(現行)の方が土臭いと思う。
シートに収まっても、視界は乗用車的な高さになっているので、違和感を感じることなく走り出した。エンジン音は比較的元気良く(?)透過して来る。ステアリングは(重めが好きな私には)適切な重さであり、最近では贅沢装備になりつつある「油圧式」のパワステを採用する事もあって文句なし。何故か1シリーズ(ハッチバック)のパワステは馬鹿みたいに重いのが嫌いなのでチト心配していた。聞けば、今回のマイナーで直噴エンジンに換装された1シリーズはパワステも相当軽くなったらしい。
N52B30A型の3.0L(NA)直列6気筒エンジンは218ps/6100rpm 28.6kg-m/2500-3500rpmを発揮し、6ATと組み合わされる。正直1710kgのボディには充分なパワーであるが、有り余るパワーを楽しむタイプでもないし、意外な事にエンジンの吹け上がりがドラマチックな訳でもない。比較的地味で事務的なフィーリングに終始する。「BMWの6気筒エンジンはシルキーシックスと言って」.....と特別なフィーリングを期待している人にとっては肩透かしを食らうかもしれないネ。やはり普段アイドリング+αの回転域からドバドバ図太いトルクを発生するTSIエンジンに乗っているからか、排気量が3.0Lもある割には低回転域のトルクが物足りない。本当はこのクルマにはディーゼルエンジンがハマリ役だろう。
あくまで街乗りの感想という前提になるが、乗り心地は悪くない。嫌なロールやピッチングも抑えられているし、ブレーキのフィーリングも自然だ。しかし、BMWと言うブランドに対する期待値からすればやや平凡な印象は拭えない。しかし、これはあくまで乗用車を評価する観点で「X1」を見た場合であり、SUVとして見れば望外に心地良いクルマとも言える。「X1」の評価はこのクルマをどの様に理解するかによって変わってくる様な気がする。
残念なのは、インテリアの質感。BMWは全般的に質感の面ではイマイチな印象があるが、残念ながら「X1」のインテリアは価格相応とは言いがたい。造形こそ最新のBMW流儀ではあるが....。VWのインテリアを見慣れているから採点が多少辛口かもしれないが。
そろそろ総括を。「X1」は乗用車とSUVの中間点を行く正に「クロスオーバー」。惜しいのは価格を優先したのか、パワートレーンに最新の直噴エンジン(先日1/3シリーズには搭載された)が与えられず「必要充分」レベルに留まる事で、モヤモヤ感が残ることか。恐らく、日産スカイラインクロスオーバーの方が走りの面では優位だろう。ただ、BMWのエントリーモデルとしては面白い選択肢になりそう。モデル末期の1シリーズよりリセールも期待出来るだろうし。機会があれば2WDの「X1 sDrive18i」も試してみたい。

Posted at 2010/06/27 00:52:59 | |
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