![[フルモデルチェンジ]トヨタ・ヴィッツ 何のためのモデルチェンジなのか。 [フルモデルチェンジ]トヨタ・ヴィッツ 何のためのモデルチェンジなのか。](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/020/917/045/20917045/p1m.jpg?ct=8f2346b3668e)
トヨタは主力の小型車「ヴィッツ」をフルモデルチェンジした。「ヴィッツ」は「スターレット」の後継として1999年の初代発売以来、欧州をはじめ世界70カ国以上で販売し、累計販売台数350万台を突破。国内でも累計販売が140万台を超すトヨタブランドの基幹モデルとなっている。今回3代目となる新型「ヴィッツ」では、コンパクトカーに対する多様なニーズを捉えるべく「コンパクトカーのあるべき姿」を再定義し開発を進めてきたと言う。これまで以上に国内需要よりもワールドワイドでの販売を重視し、日産・マーチにも同様の傾向が感じられるが、スタイリングは丸みを帯びていてファニーなルックスから精悍さを強調したスタイルへ。インテリアもセンターメーターを諦め、普通のデザインになった。
新型「ヴィッツ」のボディサイズは全長3885mm全幅1695mm全高1500mmホイルベース2510mm。先代よりも全長が+100mm。全高は-20mm。ホイルベースは+50mmとなっている。1.3L車の搭載するエンジンはiQから新採用された「1NR-FE型」エンジンで95ps/6000rpm 12.3kg-m/4000rpmを発揮する。1.0Lは先代からキャリーオーバーの「1KR-FE型」でダイハツ製の3気筒エンジンだ。69ps/6000rpm 9.4kg-m/3600rpmを発揮するが、このエンジンは正直、あまり良いエンジンではない。「iQ」がコケた要因の中に、このエンジンに起因する安っぽい音やフィーリングがある。「ヴィッツ」は4気筒の1.3Lを選ぶべきだろう。価格も同グレードで約10万円の価格差しかない。
話題は新開発のアイドリングストップ機能を搭載した「SMART STOP パッケージ」を1.3L・2WDの「F」に設定した事。燃費は26.5km/L(10.15モード値)を実現。正直、1.3Lは全車アイドリングストップ機能を標準設定にしてしまえば良いのに。「SMART STOP パッケージ」はVSC(横滑り防止装置)を標準装備する(おそらくマツダ同様にヒルホールド機能でVSCを使うからだろう)にも関わらず、ベースグレードとの価格差は+6万円に留まる。6万円程度の追加コストでアイドリングストップとVSC(横滑り防止装置)が付いて来るならこれを選ばない手は無い。むしろ、上級グレードの「U」や女性向け(?)の「ジュエラ」の1.3Lには「SMART STOP パッケージ」の選択肢は無い。当然、VSC(横滑り防止装置)はメーカーOPでも選択する事が出来なくなる。まぁもういい加減言い飽きているのだが、「ヴィッツ」は欧州で「ヤリス」として量販を期待されているクルマ。あちらの市場では標準にしている安全装備を国内向けは「わざわざ」省いてしまう事の恐ろしさ。そんな手抜きのクルマを日本人は求めているだろうか。そろそろ「それなりのクルマ」にはコストを払うと言う意識も日本人には必要な時代だろう。それは安易に安価だが安全性が疑われる輸入食品に手を出してしまう構図に良く似ている。
新型「ヴィッツ」については、発売直後から実車を見てきたり色々と検証を進めてきたつもりで有るが、正直フルモデルチェンジの意味・意義が感じられない。トヨタにとってはコストダウンによる利益率向上という大きなテーマが有るのだろうが、ユーザー目線に立って考えると、新型「ヴィッツ」を購入するメリットがまるで感じられない。新型車なのに10年位前から売っていたとしても全然不思議ではないようなクルマ。少なくとも、初代「ヴィッツ」(写真一番下)には大きな衝撃を受けた記憶が強く残っているだけに、残念。こんな無意味なモデルチェンジなら旧型を継続販売する方がエコだろうに。
最後に、このクルマもやはりと言うか予想通りユーザーとの約束を破った。先代モデルは2007年8月のマイナーチェンジ以降のモデルについてはSRSサイド+カーテンシールドエアバッグを全グレードに標準装備したのだが、今回のモデルチェンジを機にメーカーOPへ格下げされた。
この話はラクティスの記事で詳しく取り上げたので御一読下さい。しかし、この「ラクティス」も先日、発売から12月21日までの1ヶ月間で、月販目標台数4,500台に対し
3倍の約14,000台の受注があったとリリースが出ていた。これでトヨタの人間は「ほら、日本人は約束を破ってコストのかかるエアバッグを省いたって全然気にしないで買ってくれる」と喜んでいるだろうね。「ラクティス」も「ヴィッツ」も各部をコストダウンした上に、エアバッグ等の安全装備を省いたコストを値下げに回す事も無く、むしろ値上げしているのにドンドン買ってくれるんだから。やはり消費者はもっと賢くならなければいけない。残念だが、日本の自動車メーカーは「日本人の幸せ」なんてちっとも考えてくれないのだから。新型「ヴィッツ」を見ていると、間もなく2011年を迎えようとするこの時期にこんなクルマを新車で買うくらいなら中古車で先代「ヴィッツ」や「ファンカーゴ」を50万円前後で買っても対して変わらないと思えてくる。まぁそれでも新型「ヴィッツ」を購入するならば、1.3Lの「F"SMART STOP パッケージ"」135万円にSRSサイド+カーテンシールドエアバッグ(+42,000円)とフロントフォグランプ(+10,500円)にHIDヘッドランプ(+55,650円)とスマートエントリーセット(+45,150円)。以上の4点をメーカーOPで追加オーダーすると合計150.3万円になる。まぁ現実的には「ヴィッツ」にこの金額を出すなら、間違いなくスズキ・スイフトの「XS」を買う。どうせクルマを運転するならば気分良く走りたいですからね。

↓初代(後期)ヴィッツ。新型よりこのモデルの方が良かったと思う。
Posted at 2010/12/29 16:26:45 | |
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