![[試乗インプレッション]ホンダ・シビック TypeR EURO 最後のTypeR.... [試乗インプレッション]ホンダ・シビック TypeR EURO 最後のTypeR....](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/024/210/890/24210890/p1m.jpg?ct=438cadc87c4e)
現行ホンダ・ラインナップの中で、最後のTypeRとなってしまった英国製の「シビックTypeR EURO」をテストすることが出来た。既に
S2000やセダンベースの
日本版シビックTypeRも生産中止となり、イマイチ「ピリッ」としないCR-Zを除けば、新車で超高回転型のホンダVTECエンジンをMTで駆る楽しみを味わえるのは「シビックTypeR EURO」がラストチャンス。ご存知の通り、在庫限りのクルマである。
いつまでも昔は良かったと回顧主義に走るつもりは無いが、私の様にアテも無く、ただ気の済むまでクルマと対話していたい...と言うような趣味人が少数派になっている事は重々承知。まぁ毎度このブログを読んでいるような方も、潜在的には同士だろう。現在、どの様なカーライフを送っていたとしてもだ。ただ、いつまでも選択肢が有るとは限らない。最近痛感している事である。私もしがないサラリーマンだから、全てを買う事など到底出来るわけも無いが、こうして一泊二日程度であっても、体験出来たと言う事に大きな意味があると思う。
さて、英国製の「シビックTypeR EURO」だか最後の「TypeR」であると同時に最後の「シビック」でもある。北米や欧州にはフルモデルチェンジされた新型シビックが投入されているが、日本での販売は無い。フィット兄弟(フリード等)で充分との判断だろう。まぁ欧州版のシビックが再び限定車の扱いで輸入される事はあるかもしれないが。ただ、個人的に面白いと思うことは、トヨタ・カムリがハイブリッド専用車種となってフルモデルチェンジした事により、まあまあヒットしていると言う。落ち目のインサイトをMCするよりも、シビックをハイブリッド専用車にする選択肢も有る様な気がする。世代によってシビックには色々と思い出があるだろうが、私の場合は1991年に発売された5代目「スポーツ・シビック」だろう。スポーツモデルを「SiR」を呼んだ時代...。
話が逸れてしまったが、「シビックTypeR EURO」のスタイリングはなかなかに斬新で存在感がある。既に欧州では旧型になってしまったが、近年のホンダデザインでは成功した部類だろう。まぁ内外装含め、手を入れ過ぎの感があるのだが。宇宙船タイプのコックピックに乗り込んでみても、斬新なデザインながら、違和感や安っぽさも無く面白い空間。しかし「TypeR」と言う記号性を考えるともう少し緊張感が欲しい。おそらく、フィット由来のセンタータンクレイアウトを採用するお陰で、シートの座面が高い。これはスポーツモデルとして大いに減点要素だ。
ボディサイズは全長4270mm全幅1785mm全高1445mmホイルベース2635mmで車重は1320kg。エンジンはK20A型で2.0L(VTEC) 201ps/7800rpm 19.7kg-m/5600rpmを発揮する。英国製であるから、当然の様にハイオクガソリン仕様である。価格は税込300万円で右の6MTのみとなる。1500台の限定で2010年10月より2度目の輸入販売が開始されたが、約1年が経過した現在も「それなり」に売れ残りがあるらしい。欲しいと思っている方はお早めに....。
今や、シビックTypeRと言えども気難しい様な事も無く、自動車学校を卒業したばかりの方であっても普通に乗りこなせるだけの懐の深さは充分に有る。クラッチ操作で冷や汗をかくなんて既に前世紀的現象だ。しかしこのクルマは「TypeR」である。意識的にアクセルをグイグイと踏み込まなければ、購入する意味が無い。
流石、欧州のグランドツーリング市場で磨かれた「TypeR」である。少なくとも、日本版シビックTypeR(セダン)より乗り心地はマイルドだし、パワートレーンの味付けも高速道路向きになっている。エンジンサウンドも「TypeR」のイメージから言えば遮音が効いており、結構快適に走れる。エンジンも直線的な加速度で綺麗にレッドゾーンまで回る。かなり意識的に走らない限り、VTECの高回転側カムに切り替わる瞬間は判らないほどスムーズ。しかし、これらの特性はマニア的に言えば「物足りなく」感じる事も有ろう。ある意味、乗って見ない限り判らない問題である。
私が一番気になったのは、リヤサスが安物の車軸式(トーションビーム)になる事が要因だろうが、高速道路のレーンチェンジや山道などで後輪が渋い感じで落ち着かない。フロントはヘリカルLSDも入れられているから、かなりググッと切れ込んで行くのだが、後輪が着いて来ないイメージ。残念ながら、前述したシート座面高や高速クルージング向けのギア比等も含め、私の期待する「TypeR」レベルではない....そんな印象が拭えなかった。
300万円(税込)という価格も正直高いと思う。このクルマは「シビック ユーロR」もしくは「RS」と名乗るべきだったのかもしれないね。そうと勝手に理解すると、このクルマの味付けにも納得が行く。
今回は1泊2日で約200km程のテストだったが、燃費は車載の燃費計ベースで10~11km/L程度。カタログ燃費が11.6km/L(10.15モード値)だから、そんなものだろう。パフォーマンスを考えれば、リーズナブルと言える。「シビックTypeR EURO」はスポーツタイプを求めつつも、毎日長距離のクルマ通勤をしている方や、頻繁に高速道路で移動する様なタイプのユーザーに適していると思う。「TypeR」にしては....と言う評価軸のため、一般的には「堅くて」「ウルサイ」クルマである。おまけに3ドアだから、後席へのアクセスもそんなに良くは無い。やはりパーソナルなモデルだ。
残念ながら、自分自身のマイカーとしては中途半端な印象。事前の期待が大きかったので残念。抽象的な表現で恐縮だが、どうにもこのクルマとシンクロが出来ず、随分と距離感を感じたというのが素直な印象だ。
今回より新たに投入した
Panasonic「GF2」にてエンジンサウンド及び、マフラーサウンドの動画を掲載。まだ慣れないのでイマイチな品質ですが、何か参考になれば幸いです。今回は友人の最終型S2000(typeS)のサウンドも同時収録。是非聴き比べて下さい。
Posted at 2011/10/18 23:34:47 | |
トラックバック(0) |
試乗インプレッション | クルマ