![[試乗インプレッション]ホンダ・フィット13G 必要充分だが無味乾燥 [試乗インプレッション]ホンダ・フィット13G 必要充分だが無味乾燥](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/024/917/462/24917462/p1m.jpg?ct=b84b7f174f29)
先日、MC後のホンダ・フィットをレンタカーでじっくりと乗る事が出来たのでレポートする。結論から言ってしまえば「無味乾燥」。まぁ日本の路上を走る上で性能的な不足は無く、価格が123万円~である事を考えれば必要充分と言えるもの。しかし、私には何の味わいも感じられず、ただ眠くなるだけの退屈なクルマだった。本当に市場はこんなクルマを求めているのだろうか。価格が安く・燃費が良く・室内が広い。クルマを選ぶポイントがその3点に集約されてしまったこの国ではこんなクルマが量産されてしまう恐ろしさを感じる。
先日、沖縄を訪れた際にレンタカーを手配した。私は毎度「マツダレンタカー」を利用する事にしている。それはデミオやアクセラを借りたいからという意味でもあるし、折角の旅なのにヴィッツやフィットみたいな退屈なクルマをあてがわれる事で不愉快な思いをすることを回避したいという意味でも有る。しかし、今回は「マツダレンタカー」でフィットが待っていた(笑)。まぁマツダレンタカーは「マツダ」と名乗ってはいるものの、既にマツダは株式を手放しており、パーク24株式会社が親会社である。そのため、マツダ車を使う義理も無く仕方がないのだが。先方にしてみれば、新車のフィットを割り当てたのに不満げな顔をする私のほうが可笑しな客に見えただろうね。
さて、そんなこんなで2泊3日の旅路を共にする事となったフィットは今年登録されたばかりのクルマで走行距離も5000km弱と程度も良かった。MC後のフィットをテストするのは初めてである。グレードは当然の様に一番ベーシックな「13G」のCVTでパッケージOPの「Fパッケージ」が装着されていた。価格は129万円のモデルである。恐らく、ハイブリッドを除けばこの仕様がフィットの売れ筋だろう。
このクルマを「運転していて退屈なクルマ」とバッサリ切り捨てるのは簡単な事だが、実用車として求められる居住性や積載性との兼ね合いも考えなくてはならない。確かに、私が気に入っているデミオやスイフトでは後席や荷室容量が物足りない方もいるだろう。まぁ本当にそれだけの容量が必要なのかどうかは再考が必要とは思うが...。それにしても、フィットには不満が多い。まずはシートが小振りですぐに腰が痛くなる。そして電動パワーステアリングが曖昧なフィーリングで遊びも多い。慣れれば良いのだろうが、私はコーナリングの度に感じる嫌な感触が不快だった。恐らく、燃費指向のタイヤ(175/65R14)がもう少しマトモなグリップを発揮してくれればかなり改善されるのではないか。リヤスタビライザーと「RS」相当の185/55R16位のタイヤを履かせればかなりシャキッとしそうだ。初代フィットに感じた後アシの渋さの様なドタバタ感は感じなかった。燃費重視のセッティングを施されたCVTも違和感があって嫌だった。結局のところ、タイヤ・CVT・電動パワステ。どれも、燃費を良くするために肝心の走りを切り捨ててしまった部分が悪さをしているのではないだろうか。
また、フィットの内装はあまりにも安っぽいし、ウネウネと子供っぽいデザインだから、運転していて目障りで不快なのも困りものだ。低価格なクルマだから、チープな素材に頼らざるを得ないのは理解するとしても、デザインでいくらでもカバー出来るはずだ。スイフトやデミオと比べても、フィットのインテリアは見た目・触感ともに悪い。
色々考えてみても、やはり私の価値・基準ではフィットはダメなクルマだ。しかし、現実にはフィットやヴィッツは順調なセールスを続けている。きっと世間では私の基準のほうがおかしいのだろう。しかし、フィットやヴィッツが売れるほどに、日本人からクルマに対する興味や愛着が失われているような気がしてならない。一度失われた興味や情熱を取り戻すのは簡単ではない。例えるならば、4000円の床屋から1000円の10分カット店(QBハウス等)へ流れ「これで充分じゃないの?」と感じた客が、再び4000円の床屋に戻るだろうか。そろそろ日本の自動車メーカーは真剣にこのテーマについて考えなければならないのではないか。
2泊3日で約300km程走行し、燃費は17.4km/Lを記録した。確かに、ノロノロと走る沖縄の交通事情を考えれば立派な数字だと思う。理論的に言えば、低価格・低燃費で車内が広いクルマと言うセールストークに嘘は無い。しかし乗る度、運転する事に嫌気を感じるクルマ。それが日本人が求めているクルマの姿なのだろうか。
まぁ私は次回マツダレンタカーを利用する際は「デミオに限る」と強くお願いする事にしよう。

↓そう言えば、なんでMCでフロントフェイスを改悪したんだろうか。そこも不思議。

Posted at 2011/12/24 01:36:48 | |
トラックバック(0) |
試乗インプレッション | クルマ