![[ニューモデル]スズキ・スペーシア(パレット改め) N BOXに勝てないゾ。 [ニューモデル]スズキ・スペーシア(パレット改め) N BOXに勝てないゾ。](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/029/476/066/29476066/p1m.jpg?ct=75c5302e4244)
スズキは新型軽自動車「スペーシア」を発売した。所謂「スーパーハイトワゴン系」と呼ばれるジャンルで、ダイハツ・タントやホンダN BOXがガチンコのライバルである。先代「パレット」はタントの大ヒットを食い止めるべく開発されたのだが、残念ながら力及ばず。むしろホンダ N BOXと言う更なる強敵まで出現してしまい「パレット」の存在感はジリ貧だった。「パレット」の名前を踏襲しなかったのはそんな事情ではないかと推察している。「パレット」は日産にもOEMされ、「ルークス」としてソコソコの台数を捌いていたが、今回日産へOEMは無い。日産と三菱自動車が共同で設立した軽自動車製造会社「NMKV」から、1年後を目処に「スーパーハイトワゴン系」モデルが登場する事となっている。(eKワゴンの後継は今年の6月に発売予定。日産版は「DAYZ」と言うらしい)
さて、そんな大人の事情も絡みつつ登場した「スペーシア」。個人的には非常に評価が難しいクルマである。昨年に新型へ移行した「ワゴンR」と同様にスズキ・グリーンテクノロジーを駆使し、29.0km/L(NA/2WD)の低燃費を実現した事は驚きに値する。このボリュームで車重を840~850kg(NA/2WD)に抑えたことも凄い。なにせ私の愛車「コペン」とほぼ同じ車重である。軽いことは走りも良くなるし、燃費も向上する。もちろん、軽いということは原材料も減るということでも有り、コスト削減にも貢献する。「スペーシア」のベースモデル「G」(NA/2WD)は122.8万円~である。もちろん、ターボエンジン搭載車も含め全車がエコカー減税「100%減税(免税)」の適用である。
「パレット」は真後ろから見た時、「跳び箱」の様にボディ上部を絞っていた事がマイナスだった。更に、リヤコンビランプがかなり上方に着いており、ヒョロっと細長い印象を助長していた。実際に「パレット」の走りは悪くなかったと思うが、ライバルと比較してどうにも不安定な印象が拭えなかった。
「スペーシア」は「パレット」の反省を生かし、改善されている。「跳び箱」は「路面電車」の様に四角い箱となり、リヤコンビランプもL字型となり、位置も随分低くなった。間違いなく「自動車らしい」と言う意味では「パレット」が正解だと思うが、このジャンルに「自動車らしさ」は求められていない。決められた枠内で最大限広い室内とそれを連想させるスタイリングが重要。ガラパゴスと揶揄されても、これが最新の「国民車」である事は間違いない。農民が稀にシルクハットを被って乗る事を想定したシトロエン「2CV」みたいなモノだと考えればよいかも。更にリーズナブルな価格と「低燃費」があればヒットは確実ということだろうか。
しかし「スペーシア」を手放しで褒められない事情がある。それは安全装備の欠如である。残念ながら、ホンダ「N BOX」に全車標準となったVSA(横滑り防止装置)やダイハツ「ムーヴ」にも採用されて話題の「スマートアシスト(衝突回避支援ブレーキ)」等はオプションでも一切用意されていない。これは失敗だった。このクラスこそ小さな子供を乗せるファミリーが多く購入し、昨今ではファーストカーとして利用されているだけに、安全性軽視の姿勢は時代遅れ。確かにコストや重量の面から言えばマイナス要因だろう。しかし、人命を軽視してまで燃費を良くする事にどれだけの意義があるだろうか。残念ながら、現時点「スペーシア」を褒める事は出来ない。恐らくホンダ「N BOX」の快進撃を止めることは難しいだろう。更に言えば、ダイハツ「タント」もそう遠くなくフルモデルチェンジを果たすだろうが、「ムーヴ」の「スマートアシスト(衝突回避支援ブレーキ)」が「タント」にも装着されるのは確実なだけに、スズキの周回遅れは確実である。
個人的にはスズキの軽自動車が好きなだけに、最近のパワーダウンは本当に残念。VWとの提携に失敗して以降のスズキ車は精彩を欠いている。スズキの屋台骨とも言うべき新型「ワゴンR」もセールスはイマイチの様子。スズキは「割り切る」のが上手いメーカーだと思うが、最近の「割り切り」は残念ながら市場ニーズとズレている気がする。そろそろ気がついて軌道修正して欲しいものだ。

↓先代「パレット」。悪い車ではなかったが、強力なライバルには及ばなかった。おそらく新型も。

Posted at 2013/03/17 23:38:49 | |
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