![[生産・販売終了間近]ホンダ・インサイト 落ち武者は静かに....。 [生産・販売終了間近]ホンダ・インサイト 落ち武者は静かに....。](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/032/640/159/32640159/p1m.jpg?ct=c4c5653578d6)
ホンダは近日中にインサイトの生産・販売を終了するようだ。既に
公式サイトにおいて「※一部のタイプ・ボディカラーがお選びいただけない場合がございます。詳しくは販売会社にお問い合わせください。」と表記されている。ホンダの場合、この表記が出たモデルは近日中にモデル廃止か、マイナーチェンジが実施されるのが通例。インサイトの場合は前者であろう。
現行型の「インサイト」は2009年2月に発売されているから、早いもので登場から5年が経過したことになる。発売当初は200万円を切る189万円~の本格的なハイブリッドカーがホンダから発売されたと言う事で、大いに話題となったモデルである事は記憶に新しい。しかし、同年5月にはトヨタから三代目「プリウス」が発売され、インサイトを意識した大幅な価格引き下げ(205万円~)と、二代目プリウスを「プリウスEX」としてリメイクし、インサイトと同価格の189万円に設定する徹底的なインサイト潰しを展開されたことで人気は失速。そのまま販売は低迷期に入り今日に至るまで持ち直す事はなかった。「ストロング・ハイブリッド」と言う言葉が編み出されたのもインサイトの比較のためだったと記憶している。また、プリウスはインサイトの息の根を止める事に成功した事を確認した後、2011年末に価格を10万円以上も値上げし、217万円~となっている。
言うなれば、インサイトは鳴り物入りで登場した若武者であったが、プリウスとの戦いに敗れ、落ち武者となり離れ小島へ流れ....再起を図ることもなく静かに息を引き取った。後年になって歴史の教科書にはそう書かれそうな気もするが、インサイトはそこまでダメなクルマだったのだろうか。今一度考えてみたい。
既に、ホンダもインサイトで採用してたIMA方式(インテグレーテッド・モーター・アシスト)のハイブリッドシステムを卒業し、新型「フィット」から「SPORT HYBRID i-DCD」に移行しているから、IMA方式に限界が有ったことに疑いはないが、
e燃費の実効燃費データを見れば、「インサイト」は18.07km/Lに対し、三代目プリウスは18.98km/Lと市場の予想・期待に反してその差は大きなモノではない。(数値は2014.03.22現在)既に相応の期間と台数によって蓄積された数値であるから、インチキなカタログデータよりもずっと信憑性がある。この程度の差であれば、プリウスの方が優れたクルマであると断言するには弱いと思う。
日本人のダメなところとして多様性を認めない部分が有ると思う。ハイブリッドカーだって、トヨタ方式が全てではないし、クルマの価値はカタログ燃費だけではない。しかし陰湿なイジメ体質の日本では、価格とカタログ燃費だけでしかクルマは判断されず、プリウスは記録的な大ヒットを飛ばし、インサイトは無残にも販売低迷を余儀なくされた。多様な価値を認めるということは、選択肢を増やす事でもある。事実、街中には決してスタイリッシュと言えない三代目「プリウス」が大繁殖。おまけにタマ数が多い=供給過剰と言う事で「プリウス」のリセールは爆発的な新車人気に比較して強いと言えない。既にトヨタ純正中古でも100万円ソコソコで現行プリウスが探せる状態である。結局のところ、自分たちの首を絞めていることにそろそろ気がつくべきだろう。そういう意味で、リコール等で苦戦しているとはいえ、新型「フィット」が「プリウス」「アクア」を上回るヒットを飛ばしているというニュースを聞き、ハイブリッドカーの多様性が認められて来たのではないかと感じている。
さて、個人的に現行「インサイト」のデザインは嫌いではない。プリウスの影響をモロに受けてしまい、おにぎり型の三角ルーフにしてしまった事は大失敗だったが、スポーティなフロントフェイスを含め良く出来たデザインだと思う。宇宙船の様なインテリアはやり過ぎだったが、貴重な5ナンバーサイズのパーソナルカーとして悪くはなかった。もしインサイトのルーフが後ろ下がりではなく、そのまま水平にリヤエンドまで引かれていたとしたら、手頃なシューティング・ブレークとしてもう少しは売れたかもしれない。まぁ結果論だが。
インサイトの中古相場は、ホンダの純正中古車が80万円台から探せる状態であるが、あと数年したら50万円くらいで買える様になるだろう。その頃になったらつまみ食いしてみようかな....ハイブリッドカーとしてではなく、5ナンバーサイズの4ドアクーペとして。そういう意味では、CR-ZのMT+ハイブリッドのパワートレーンがインサイトにも搭載されなかったことが悔やまれる。落ち武者は武士として再起するだけが道ではない。俳人・茶人として後世に名を残した例もある。今は静かにインサイトの最後を見守りたい。お疲れ様。

Posted at 2014/03/22 00:43:45 | |
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