![[ニューモデル]スズキ・バレーノ インド生産のスイフト上級モデル [ニューモデル]スズキ・バレーノ インド生産のスイフト上級モデル](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/037/509/081/37509081/p1m.jpg?ct=51bcb0b4cea5)
スズキは新規車種となる「バレーノ」を日本市場でも販売を開始する。昨年の東京モーターショーでひっそりと展示されていたモデル。生産は全世界分をインドの「マルチ・スズキ・インディア」で行い、輸入車として販売される。現行「SX4 S-CROSS」や「エスクード」はハンガリーの「マジャールスズキ」で生産し輸入されているから、もはや驚くべきことではない。大切なのは価格と性能・品質が両立されていれば良いわけで、三菱「ミラージュ」や日産「マーチ」の様に、タイで生産される新興国向けの低価格モデルを日本国内向けにチョロっと化粧直しをした程度で割高なプライスを掲げるインチキな商売とは根本が違うクルマと感じている。(タイ生産が悪いのではなく、安普請なクルマを誤魔化して高い価格で売ろうと言う姿勢が問題。)ただ、そうは言っても消費者は概して保守的なものであり、聞き慣れないインド生産車が簡単にヒットするとも思えない部分もあり、今後のセールス状況には興味を持っていきたい。イタリア語で「閃光」の意味を持つ「バレーノ」は、コンパクトカー「iK-2」としてデビューし、インドから世界各地に輸出されるスズキのグローバルモデル。既にインドでは昨年から販売が開始され、ヒットモデルになっているとか。
「アルト」や「ソリオ」「イグニス」に続く、新開発のBセグメント用プラットフォームを採用することで、軽量かつ堅牢なボディを実現している。ボディサイズは全長3995mm全幅1745mm全高1470mmと、全長は4m未満に抑えたが、全幅が1.7mを超えて3ナンバーサイズとなる少し特異なサイズ。インドでは全長が4mを超えるクルマには高額な税金が課せられる事が影響しているのだろう。ホイルベースは2520mmとなり、最小回転半径は4.9mに留まる。重量は910kg~950kgと全車1トン未満。現行「スイフト」のXG-DJE(2WD/CVT)が1000kgだから、かなり軽量に仕上がっているのが判る。
注目のパワートレーンは二つ。スズキお得意の1.2L・4気筒「デュアルジェットエンジン」に副変速機構付きCVTの組み合わせと、新開発1.0L 3気筒直噴ターボの「ブースタージェットエンジン」に6速ATをあわせた期待の新ユニットである。残念ながら、どちらもアイドリングストップやマイルドハイブリッド(S-エネチャージ)は用意されない。インド生産の制約だろうか。当然ながら、1.0Lの3気筒ターボに興味があるが、ハイオク指定に加え、燃費が20.0km/L(JC08モード値)に留まるのが惜しい。恐らく、最新低燃費テクノロジーとの融合は次期「スイフト」までお預けか。まぁ今後更なる伸びシロがあると前向きに解釈しておこう。
足回りはフロント:ストラット・リヤ:トーションビームで前後スタビライザーも奢られる。どうせなら、MT車を設定してくれれば喜ぶ鈴菌感染者も多いのに。販売目標台数が年間6,000台と小規模な商いが前提の輸入車なんだから、マニアに支持されるクルマを目指すのもアリではないか。その点、最近のマツダは判っているから熱く支持されているのだと思う。
「バレーノ」の価格は1.2L 4気筒の「XG」が141.4万円。1.0L 3気筒ターボの「XT」が161.7万円~172.8万円(セットOP装着車)となり、3ナンバーサイズのBセグメント車としてはソコソコお買い得な価格設定と感じる。(イマドキ安い3ナンバー車だと喜ぶ人もいないだろうが)
スズキの悪い癖でSRSサイド・カーテンエアバッグが設定されなかった事を含め、メーカーオプションを一切設定せず、選択肢を減らすことで輸入車の販売効率を上げようとするのはイマイチ。まぁインド生産のコスト削減効果は「スイフト」の「XG-DJE(2WD/CVT)」が143.7万円であるのに対し、「バレーノ」の「XG(2WD/CVT」が141.4万円に設定されたことで判る。スイフトには無いミリ波レーダーを利用した衝突被害軽減システム「レーダーブレーキサポートII(RBSII)」や約40~100km/hで動作するアダプティブクルーズコントロール(ACC)を全車で標準装備している事を考慮すると更にお買い得感がある。一方で、期待の1.0L 3気筒直噴ターボ+6ATモデルは160万円を超えてしまい、正直存在感が薄い。残念ながらリセールも弱いだろうから「バレーノ」を買うならお買い得な「XG」を乗り潰すのが得策。数年後に程度の良い中古車で買うのが一番美味しいクルマかもしれない。
クルマ好きとして「バレーノ」の新エンジン+6ATの走りや、セールス動向が非常に気になる訳だが、「バレーノ」が自身のリアルなマイカー候補(新車購入)になるかと言えば「NO」。妙に分厚く見えるフロントマスクのデザインは正直好みではないし、やはり日本ではボディサイズが中途半端な上に、燃費、安全装備がイマイチでスッキリしない。スイフトの上級モデルとして期待していただけに消化不良な感が否めない。「マーチ」や「ミラージュ」の様な駄作とは違い、今後の熟成次第では大化けしそうなポテンシャルを感じるだけに期待したい。
現行の輸入スズキ車3台「SX4 S-CROSS」・「エスクード」・「バレーノ」に共通して感じることだが、3ナンバーサイズのクルマを作り慣れていない事もあるだろうが、コンセプト・デザイン共に弱い。近年軽自動車~Aセグメント車(ソリオやイグニス)であんなにキレの良いクルマを連発している会社の作品とは思えないのが惜しいところ。まぁどこの会社にも得意・不得意はありますよね。「バレーノ」のカタログを読んでいたら、ふと「カルタス・クレセント」を思い出しました。どこか共通点がある様な....。

↓懐かしい「カルタス・クレセントワゴン」 平成8年登場。 知り合いも乗ってました。

Posted at 2016/03/14 18:34:19 | |
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