![[試乗インプレッション]スバル・インプレッサSPORT 2.0i-S EyeSight [試乗インプレッション]スバル・インプレッサSPORT 2.0i-S EyeSight](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/039/084/383/39084383/p1m.jpg?ct=6b5f5fb032de)
短時間だったが、今年の日本カーオブザイヤーを受賞した新型「インプレッサ」をテストする事が出来た。個人的な本命は遅れて登場予定の「XV」だと思っているが、スバルが胸を張る次世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM」の出来栄えも気になるところだ。
早いもので「インプレッサ」は5代目となった。当初はセダン/ステーションワゴンの体制だったが、3代目からハッチバック/セダンへ移行。「インプレッサ」のイメージリーダーだった「WRX」は今や別車種として「インプレッサ」から独立。現在の「インプレッサ」はスバルのエントリーモデルとして量販を期待される存在である。
今回テストしたモデルは「インプレッサSPORT」の「2.0i-S EyeSight」でAWDモデルである。価格は259.2万円。追加のメーカーOPは装着されていないとの説明だった。
写真で見るより実物はサイズ感があり、デザインは「レヴォーグ」に似ていると感じた。コンセプトは先代モデルからの正常進化と理解すべきだろう。
ボディサイズは全長4460全幅1775全高1480(mm)で車重は1400kgにも達するから、コンパクトカーと表現するには躊躇がある。北米重視も結構だが、もう少し国内市場にも配慮が欲しい。スバル謹製の5ナンバーサイズ・コンパクトがあれば「デミオ」「スイフト」と共に人気モデルとなりそうだが...。スバルの製造能力を考えるとそれは難しいのだろうが、いつまでも北米市場が好調だとも限らない。あまり偏った北米市場依存はチト心配。
新型「インプレッサ」に乗り込んでまず驚くのが倒れ込んだAピラー。従来のスバル車は車内からの視界確保に強いこだわりがあり、Aピラーを立て気味にするのが特徴であったが、もはやその面影は失われた。デザイン・空力面で色々な葛藤があるのだろうが、個人的にAピラーが倒れ気味のクルマは好みではない。フロントサイドガラスに無意味な分割線を入れる必要があるのかも疑問だ。
新型「インプレッサ」が各方面から絶賛を浴びるインテリアは確かにソフトパッドの採用面積が広く、これまでのスバル車共通の弱点と言われた部分なだけに、大幅な進化を感じさせるもの。但し、弱点を改善したのは事実だが、強みと言えるほどに進化したかと言えば微妙。真正面にカーナビ設置を前提とした2DINスペースに加え、その上部にマルチファンクションディスプレイが積み重なる。もう少しスマートに各ディスプレイをレイアウト出来れば良かったと感じる。メーター内にもマルチインフォメーションディスプレイが備わるから、視線が忙しい。圧迫感がある縦長インパネのレイアウトは少し古臭く感じた。
エンジンを始動すると、静粛性がかなり高いことに気付く。一昔前のスバル車とは隔世の感がある。(
そういう意味で、マツダ車は静粛性に改善すべきポイントがありそうだ。)
電動パーキングブレーキを解除し、いよいよ公道を走り出す。直ぐに気づくのは改良が進んだリニアトロニック(CVT)。それと言われなければCVTと気づかないものに仕上がっていた。私の知る限りCVTの中で最良の出来と言えるだろう。但し、ガラパゴス化したCVTの中で最良かもしれないが、やはり最新の多段ATと比べてしまうと反応の鈍さやダイレクト感に欠けるフィーリングが惜しい。やはり、次世代プラットフォームの開発に際し、ミッションの改革が含まれなかったことが悔やまれる。スバルがプレミアムな存在を真剣に目指すのであれば避けられない問題だ。
今となって技術的に特に語るべき部分がないFB20型の水平対向4気筒の2.0L(NA)エンジンだが、154ps/6000rpm 20.0kg-m/4000rpmを発揮するから、アウトプットに不足はない。個性を主張しない実用型ユニットとして淡々と仕事をこなす。但し、メーター内の燃費計は9km/L台を示していた。試乗車と言う特殊な環境下を考慮しても、やはり大きな課題であり、スバル車共通の弱み。ガソリンが安い北米では問題にならないかもしれないが...。
短時間のテストだったので、コーナリング性能を語ることは出来ない。最近のスバル車に共通した穏やかな乗り心地と、AWD特有のビシッとした直進安定性は実用車として正しい選択をしていると感じる。特に長距離を走る場合や、雪道を走る際には頼もしく感じるだろう。
そろそろ結論を。新型「インプレッサ」は先代モデルのベクトルを受け継ぎ、正常進化に成功している。正直、次世代プラットフォームの実力を明確に体感するには至らなかったが、静粛性や剛性感を感じさせつつも、穏やかな乗り心地を実現しているあたりに貢献を感じる。
一方で、ミッションや燃費の改善には依然として問題を抱えているのも事実。毎年のように改善を重ねていくスバルだが、エンジン・ミッションには根本的なモデルチェンジが必要な時期に来ていることを改めて感じた次第。「XV」が追加されたら改めてテストしてみたい。



Posted at 2016/12/30 13:20:45 | |
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