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カタログコレクションの第11弾。
今回はダイハツ「アプローズ」。超マニアックなクルマだが、悲運なクルマとも言うべきダイハツのフラッグシップである。
「アプローズ」は1989年7月に発売された「5ドア」セダン。
写真(一番下)の様に、一見オーソドックスな4ドアセダン風だが、リヤウィンドウも一体でガバッと開く5ドアハッチ。何故こんな奇怪(奇抜)な機構を選択したかは不明だが、ダイハツは「スーパーリッド」と命名。
アイディアの源はトヨタ「スプリンターシエロ」かプジョー「309」あたりだろうか...。国内市場で5ドアハッチバックはマニア向け物件の領域であり、量販は期待出来ないジャンル。トヨタ車と直接競合を避けるため忖度した結果なのかもね。
(三菱も同時期に「ランサー」や「エテルナ」を5ドアハッチバック化し苦戦している)
「アプローズ」の前身はトヨタ「カローラ」ベースの「シャルマン」。ダイハツにとってお下がりのトヨタ車を改造した「シャルマン」をフラッグシップに据えるのはプライドが許さなかったのだろう。
「アプローズ」はダイハツ待望の独自開発によるフラッグシップモデルである。開発に相応の気合が入ったことは想像に難くない。
しかし「アプローズ」は発売から数カ月の間に複数のリコールを届出することになる。更には車両火災が発生し、朝日新聞が大々的に「欠陥車」と報じたことで販売急落。その後販売が回復することはなかった。
1990年10月に車名を「アプローズ・シータ」に変更するも、1992年7月に再び「アプローズ」に戻す迷走劇からも苦労が偲ばれる。
1997年9月の大規模改良では内外装の大幅リフレッシュを実施。今回取り上げたカタログはこのタイミングで発行されたものである。
2000年3月に生産終了。販売実績は約11年間で2.2万台である。
後継車は独自開発を諦め、
トヨタ「カムリ」のOEMモデル「アルティス」。現在も販売されている。
「アプローズ」はリコール問題を抜きにしても、大ヒットモデルに成長したとは思えない。しかし、欧州の実用車を意識した玄人好みのコンセプトが一定数のクルマ好きから支持を集めていれば、その後のダイハツ車が少しは違う姿になっていたのではないかと妄想してしまう。少なくとも「ブーン」や「トール」みたいなスカスカなクルマでは無いと思いたい。
「アプローズ」は1997年の大規模改良で何故か時代錯誤気味の「ド演歌調」和風セダンに仕立て直された衝撃を今でも鮮明に記憶している。
既に登場から8年が経過した不人気モデルに大幅な追加投資をした事も驚きではあるが、自社開発のフラッグシップをなんとか延命させようとしたダイハツの心意気は大いに評価したいところだ。
なんだろう...そういう目で見ると、この最終型「アプローズ」がどうにも愛おしく見えてくる。もはや試乗することも叶わぬクルマだろう。せめて何処かですれ違う日を楽しみにしたい。

Posted at 2020/05/15 19:12:26 | |
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