![[試乗インプレッション]レクサス・CT200h F-SPORT [試乗インプレッション]レクサス・CT200h F-SPORT](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/021/914/913/21914913/p1m.jpg?ct=21c11bc9db3c)
レクサス初のハッチバックボディを与えられたエントリーモデル「CT200h」をテストした。これまでレクサスは"バカの一つ覚え"とセダンばかりをラインナップしてきたが、SUVの「RX」とハッチバックの「CT200h」が加わった事でようやく彩りが出てきた。個人的にはステーションワゴンと大人の似合うクーペがあればなぁと思う。
さて、今回テストした「CT200h」のグレードは一番スポーティな「F-SPORT」。価格は405万円で専用にチューニングされた足回りや、内外装が与えられている。しかし、パワートレーンはプリウス譲りの1.8Lアトキンソンサイクルエンジンにモーターの組み合わせ。システムとしてのトータル出力は136ps。パワーユニット部は「F-SPORT」専用にチューンされた箇所は無く、燃費に違いも無い。スポーツグレードとは言え過度な期待は禁物だろう。
デザインに関して言えば、ゴチャゴチャと無意味なラインを多用する小手先のトヨタ方式ど真ん中っていう感じ。オマケに天地の狭いリヤウィンドゥと太いCピラーのお陰で後方視界はかなり悪い。リヤカメラとバックソナーの装着が前提なのだろうが、個人的にこのクルマのデザインは全く惹かれない。(特にお尻がヒドイな。クルマは美尻が基本と思います)
インテリアは比較的低く座らせるポジションと多少古典的なT字型のインパネは品質感もあり、良く出来ている。シートも短時間のテスト中にはネガティブな感想は無かった。恐らく、BMWの1シリーズを相当意識したんじゃないかな。妙に握りの太いステアリングまで似ているのはどうかと思うが。ただ、もう少しスイッチ数を減らせないものだろうか。カーナビもマウス型のデバイスに慣れを要する。まぁ「HS250h」は内外装共に最悪のセンス。それに比べれば「CT200h」のインテリアは合格レベルに達していると思う。
プリウス同様、スタートスイッチを押してもエンジンは始動しない。モーターのみで走り出す事が可能。よく雑誌等でホンダのハイブリッド車について「EVモード(モーターだけで走る)が無い(もしくは少ない)からダメ」って言う評価を目にするが、それってそんなに大切な事だろうか疑問だ。「CT200h」は価格帯から期待するよりも、エンジンやモーターの音がキャビンに漏れ聞こえてくる。走り出しは電車のような音。そして途中からエンジンがあまりにも素っ気無い音を発してくるのが興醒め。少なくとも「F-SPORT」と呼ぶスポーツモデルならばもう少しサウンドにも配慮が欲しい。
「CT200h」のパワーは1400kgのボディを駆るには充分なもので、我慢を強いられるような事は無いだろう。10.15モード値で32.0km/Lだから、実効燃費でも20km/L前後は行くのではないか。レクサスといえども、このクルマはレギュラーガソリンで済むのも燃料費高騰の昨今、朗報だろう。
「F-SPORT」専用にチューニングされた足回りはプリウスとは違い、リヤにダブルウィッシュボーンを採用し、前後にパフォーマンスダンパーも装着される。パフォーマンスダンパー非装着の標準グレードを乗り比べていないので効果の程は不明だが、ゴツゴツと来る程にスパルタンな味付けではない。フワッとしたトヨタ式の乗り味に慣れた身には堅く感じられるかもしれないが。それでも嫌なバタつきは無く、タイヤサイズも215/45R17と欲張り過ぎていない事もあって好感が持てた。残念ながらプリウスでも感じた回生ブレーキの違和感は払拭出来なかったようだ。(これは違和感ではなくハイブリッド車の味と理解すべきなのだろうか.....。でもやはり気持ち悪い)標準モデルより重めの味付けと言うステアリングも私にはまだ軽い。これは重すぎるBMWの1シリーズとは違う部分。フィーリングも一昔前の電動パワステ。もっとインフォメーションが欲しい。400万円前後の価格帯を考えると、この程度の仕上がりではガッカリと言わざるを得ない。
最後にエコ→ノーマル→スポーツと走行モードを選択が出来る「ドライブモードセレクト」も一通り試してみた。スポーツモードにするとメーターパネルも赤い照明になり、エネルギーモニターがタコメーターに切り替わるなど視覚的な演出は面白いが、各モード間の差異が小幅に感じられた。特に「スポーツモード」はもう一味スパイシーな設定でも良かった気がする。最後まで「F-SPORT」という特別なスポーツモデルに乗っている高揚感を感じることが出来なかったのは残念だった。
そろそろ結論へ。ゴルフやアウディA3・BMW1シリーズのライバルとなり得る「CT200h」。個人的にもリアルに購入候補としてリストアップが出来そうなモデルだっただけに、期待が大き過ぎたのかもしれないが現時点では価格に見合うだけのオーラは感じられなかった。少し上等になった「プリウス」レベルに留まっていたのは残念。本来であれば、レクサスブランドのエントリーモデルとしてもっと骨太な完成度を期待していたのだが....。もっと言えば、現時点の「CT200h」位の仕上がりに「プリウス」が到達していて欲しいのだ。当然「CT200h」はもっと上を目指して欲しい。
まぁそれでも「カーナビ」や「バックカメラ」等も含め豪華装備が標準装備となり、レクサスの誇る「オーナーズデスク」や「ヘルプネット」等各種サービスが受けられる事も加味して考えれば、ハードウェアが60点でもサービスとの合わせ技でギリギリ合格ラインか。このクルマは一番安い355万円のベースモデルをサラッと肩に力を入れず乗るのがクレバーと思います。

Posted at 2011/03/30 00:59:15 | |
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