![[マイナーチェンジ]トヨタ・プロボックス/サクシード 統合・整理の先に [マイナーチェンジ]トヨタ・プロボックス/サクシード 統合・整理の先に](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/033/758/934/33758934/p1m.jpg?ct=154788b31742)
トヨタは「プロボックス/サクシード」をマイナーチェンジした。2002年7月にそれまでの「カローラ/スプリンターバン(→プロボックス)」及び、「カルディナバン(→サクシード)」の後継として、乗用モデルをベースに持たない商用車専用設計のコマーシャルバンとして開発された。以来、約12年間に渡り細かな改良は施しつつも、日本のビジネスカーにおけるスタンダードとして売れ続けてきた。もはや空気の様な存在のクルマであるが、街中をじっくり見渡せばかなりの台数の「プロボックス/サクシード」が走っている事に気付くだろう。それだけに、今回のマイナーチェンジには注目をしている。
異論を恐れずに言えば、今回のMCで「サクシード」は事実上「プロボックス」に統合された。前述の通り、「サクシード」は「カルディナ・バン」の後継と言う位置づけであり、「カローラ/スプリンター・バン」の後継であった「プロボックス」よりも全長で105mm、荷室長も20mm長かった。スタイリングも「プロボックス」に比べて重厚な雰囲気に仕立てられている等、微妙な違いながらも車格に差を設けていた。しかし、MC後モデルは完全にボディは共通となった。コマーシャルバンに販売チャネルの違いによる車格差は不要とトヨタが判断したのだろう。まぁ本来「サクシード」は「プロボックス」との差別化が弱かったのかも知れぬ。荷室や後席の居住性で明確な差を出せなかったのが惜しい。MC後モデルでも、1.3Lエンジンは「プロボックス」専用になる等の仕様差が存在するが、ボディを共通化したのであれば、選択肢も同様にすべきだったのでは無いか。但し、燃費は何故か1.5Lの方が1.3Lよりも優れており、1.3Lは低価格仕様という位置づけである。
その他の変更点は、1.3L車に「1NR-FEエンジン」を新搭載、1.5L車とともにトランスミッションを「Super CVT-i」に統一し、燃費を向上させ全車「エコカー減税」の対象とした。残念ながら5MTはこのタイミングで消滅した。さらにVSC(横滑り防止装置)&TRCやヒルスタートアシストコントロールを全車標準装備するなど、環境・安全への配慮を一段と高めた。また、主に前半部のプラットフォーム改良(1NR-FEエンジンとSuper CVT-iを搭載するため、最新のヴィッツ相当へ)によりサスペンションの構造を見直した。高い操縦安定性と乗り心地の良さを追求した。一方で、ボディ後半部分である広い荷室空間はそのままキャリーオーバーした。
インパネ部はガラリと刷新された。一見すると、
ポルテに近い印象を受けるが、運転席から手の届くところに、ビジネスアイテムを収納できるスペースを追求。1L紙パック飲料も収納可能なセンタートレイ(ドリンクホルダー+照明付)、A4サイズのノートパソコンや弁当も置ける大型のインパネテーブル、スマートフォンなど情報機器の収納場所として活用できるマルチホルダー等をセンタークラスターに集約。運転席のすぐ横にビジネスバッグが置けるセンターコンソールトレイ(カップホルダー付)を設置。A4バインダーを収納できるトレイをインストルメントパネルに設置した。車内で食事をしたり、事務処理をする事の多いユーザーの実態に即した改良と言える。惜しいのは、スマートフォンの充電に必要なUSBポートが用意されていない事か。メーカーOPでアクセサリーコンセント(AC100V・100W)は選択出来るのだが、最近はUSBポートから充電するアイテムが多くなっている。残された課題は昼寝の際にエンジンをかけたままにしなくても快適に過ごせる対策か....。
外観では、フロントバンパー&グリル、ヘッドランプ、リヤコンビネーションランプなどの意匠変更によってシンプル&クリーンのイメージだったMC前よりもタフさを強調したイメージへ変貌。外板色には、新規設定色2色(ライトグリーンメタリック、ボルドーマイカメタリック)を含む、全6色を設定した。まぁ見た目の変化が欲しいのは理解するが、12年振りのマイナーチェンジとしてはお粗末なフロントフェイスという印象。やはりオリジナルの完成度が高かった証拠だろうか。
既に5ナンバーモデルの「プロボックス/サクシード」は廃止されており、今回のMCで復活を期待していたが、現実は残酷である。加えて5MTモデルも廃止され、選択肢は狭まる一方。しかし、一番驚いているのはMC後モデルの価格が随分と高くなった事か。2012年04月に一部改良された際のMC前モデルのベースモデル「プロボックス(1.3L/4AT/FF)」”DX”は117.7万円(税込)であった。一方、MC後モデルのベースモデル「プロボックス(1.3L/CVT/FF)」"DX"は131.7万円(税込)と消費税の増分(5→8%)を差し引いても、約10万円の値上である。前述の安全装備等が追加された事もあり、ある程度の値上げはやむを得ないとしても減価償却が進んだ長期生産モデルとしてもう少し値上幅を圧縮出来ないものかと思う。
トヨタ内部で競合する「カローラ・フィールダー」の売れ筋グレード「1.5X(1.5L/CVT/FF)」が164.0万円~。プロボックスのトップグレード「F(1.5L/CVT/FF)」が158.3万円とほぼ同価格帯。装備レベルはカローラ・フィールダーの方が充実しているが、やはりビジネス利用に特化した「プロボックス」にも選ばれる理由がある。但し、現時点でもカローラ・フィールダーには「5MT」が残されているから、個人的にはカローラを推したいと思う。そういう意味で、MC前の「プロボックス/サクシード」で2007年頃まで存在した1.4Lのディーゼルターボ+5MTモデルは貴重だった(135.2万円~)。借金してでも買っておくべきだったなぁ...。

MC前のプロボックス。やはりデザインの完成度はコッチの方が高いよね。

Posted at 2014/08/08 17:00:29 | |
トラックバック(0) |
クルマ | クルマ