![[試乗インプレッション]ホンダ「プレリュード」e:HEV 617.9万円 [試乗インプレッション]ホンダ「プレリュード」e:HEV 617.9万円](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/048/641/294/48641294/p1m.jpg?ct=a930e4305ccf)
発売されたばかりのホンダ「プレリュード」に短時間だが試乗させて頂いたのでインプレッションを書いておく。
約24年ぶりに復活を遂げたホンダ「プレリュード」の歴史を振り返ると、初代モデルは1978年に登場している。リトラクタブルベッドライトを採用し、国内で大ヒットした"デートカー"「プレリュード」は2代目(1982年登場)・3代目(1987年登場)だろう。特に3代目プレリュードは4WSの採用や、低いボンネット、固定式ヘッドライトの派生車種「プレリュードインクス」の追加等、何かと話題の多いクルマだったと記憶している。巷の評価では「シルビア」の登場で人気を失ったと書かれることが多いが、北海道では降雪路に強いFF駆動が支持されたのか、街中での遭遇は「プレリュード」の方が多かったのでは??と思っている。
4代目プレリュードは1991年の登場。従来のデートカー路線とは決別し、VTECエンジンを搭載したスポーツクーペに変貌。ボディサイズもワイド化され3ナンバー化されエンジン排気量も2200ccとなった。この世代から海外市場を重視した印象が有り、国内市場での販売は振るわなくなる。
5代目プレリュードは1996年の登場。スポーツに振り過ぎた先代の反省からか、スペシャリティ路線に回帰したが、バブル崩壊後の不景気なご時世も有り、人気は低迷。2001年6月販売を終了した。個人的に5代目プレリュードはあまり路上でも見かけた記憶が無い。
それから約24年の歳月が流れ、令和の2025年にホンダ「プレリュード」が復活。国内で大ヒットした2代目・3代目プレリュードを新車で購入した世代は、現在60歳を超えているはずだ。
私の免許取得は1994年。一世を風靡した3代目「プレリュード」の前期型が5~7年落ち位の中古車で格安(50万円以下)に流通していたので、私の周囲では結構中古車のプレリュードに乗っている友人が沢山居た。ガングリップタイプのシフトレバー・物凄く軽いステアリング・4WSの車庫入れが難しいなど、色々懐かしい限りである。そういう意味で、私の中では一番身近な「プレリュード」は3代目だったのかもしれない。
新型「プレリュード」のデザインはこの大ヒットした2代目・3代目ではなく、4代目のオマージュの様に見える。車名ロゴも4代目の筆記体風デザインに似ているから偶然では無いだろう。開発の中心メンバーが4代目世代なのだろうか。
いよいよ新型ホンダ「プレリュード」にご対面。事前に写真で見ていたイメージよりも、ボディがワイドな印象を受けた。全長4520mm/全幅1880mm/全高1355mm/ホイルベース2605mmで車重は1460kg。シビックTypeRの全幅が1890mmだから、わずか10mmの差でしかない。そりゃデカいはずだ。
パワートレーンについてはYoutube等の解説が詳しいが、SPORTS e:HEVと名乗る2.0L直噴エンジンに2つのモーターの組み合わせる。新型「プレリュード」の目玉はドライバーに呼応する変速フィールが新感覚の操る喜びをもたらす「Honda S+ Shift」の搭載。本来シームレスなモーター駆動だが、まるで有段変速のような回転数の変化と変速フィールを加え、ドライバーとクルマがシンクロする操る喜びを体感させるもの。更には、シビックTypeR譲りのフロント:デュアルアクシス・ストラット リア:マルチリンクのサスペンションや、アダプティブ・ダンパー・システム(電子制御ダンパー)の採用、Brembo社製フロント大径ベンチレーテッド2ピースディスクブレーキなど、贅沢な機構が目白押しだ。
インテリアもシビック以降のモデルに採用されるスッキリした水平基調のインストルメントパネルを採用する。
新型「プレリュード」を「スペシャリティクーペ」もしくは「スポーツクーペ」のどちらだと理解すべきか悩むところだが、「スペシャリティクーペ」ならもう少しインテリアのデザインや素材の他、シートベンチレーション等の快適装備が奢られても良いのでは無いかと思う。一方「スポーツクーペ」ならば、もう少しシートやステアリングなどにスポーティな演出が有っても良い。ちょっとどちらにも振り切れていないのが、ある意味「プレリュード」らしいのかも知れないね。
早速販売店を出発して札幌の幹線道路を走り出す。約15分程度の平坦なショートコースだから、表面的な事しかわからないが参考程度に。
走行モードは「Honda S+ Shift」を起動し、走行モードはGTモード(ノーマル)に設定している。予想よりも静粛性が高く、スムーズに走り出す。このあたりは先日
チョイ乗りさせて頂いたアコードにも通じるもの。ハイブリッドモデルの滑らかさや動的質感はホンダ方式が一番好き。トヨタの様なストレスが無いのが嬉しい。「Honda S+ Shift」が演出する、まるで有段変速のような回転数の変化と変速フィールは良く出来たDCTミッションのような雰囲気だ。
そもそも「演出」なんて邪道と言う意見もあるだろうが、やはり慣れ親しんだガソリンエンジン+有段変速のフィーリングは心地良いものだ。
次にSPORTモードに変更してアクセルをガツンと踏めば、ちょっと甲高いエンジンサウンドを聴きながら高回転域までエンジンをぶん回している様な感覚が味わえるのは新鮮で面白い。まぁ色々な難しさもあるのだろうが、感覚的に1.5L前後の小型スポーツエンジンが元気に回っている様な印象が有るのだが、「プレリュード」の車格には少しビジーな印象もある。このあたり有償でも良いから、色々な味付けが楽しめると更に面白くなるかも。
最後にCOMFORTを選択すると、アダプティブ・ダンパーやステアリング特性がソフトな乗り味を提供する。混雑する市街地を走るならコレくらい穏やかなセッティングの方がリラックス出来るかもしれないね。
こんな感じで、色々試しているうちに約15分程度の試乗はあっという間に終了となった。いよいよハードウェアよりソフトウェアが主役のスポーツクーペが出たという意味でエポックメイキングなクルマだと思うが、今すぐに商談に突入。契約書にサイン!!!とガンガン盛り上がる感じでは無かったことが残念だった。機会があれば、レンタカー等でいつもの評価コースをトレースしてみたい。
ホンダは新型「プレリュード」をソフトウェアの味付け次第で「スペシャリティクーペ」にも「スポーツクーペ」にもして見せると意気込んだ意欲作なのだろうが、現時点ではどっちつかずな印象が否めなかった。
個人的に約24年間も途絶えていた「プレリュード」の名称を復活させるのであれば、同門に「シビックTypeR」が存在しているのだから、もっと贅沢で大人向けの「スペシャリティクーペ」を目指して欲しかったが、ある程度の台数を売るためには「スポーツ路線」も目指さない訳にいかないというのも理解するところだ。
それともう一点残念なのは「プレリュード」なのにサンルーフの設定が無いこと。プレリュード=サンルーフの印象が有るのだが。
最後に。SNSや動画を拝見していると、「プレリュード」は価格に対する不満が多い印象を受ける。本体価格は617.9万円(税込)。確かにお安いクルマではないが、
ホンダのグローバル量販車種である「シビック」e:HEVが400万円を超え、「アコード」が560万円を超えるのだから、販売台数が少ない「プレリュード」が600万円を超えても驚かない。まぁ500万円を切るくらいの戦略的な値付けであれば、もう少し話題性も有っただろうが、それだけ日本の経済力が落ちたという事。「プレリュード」が高いのではなく、価格上昇に所得が追い付いていないことが問題。
プレリュードの月販目標は僅か300台。一部の愛好家が買うことしか想定されていない少量生産車。頑張って買うか、諦めるか。文句を言っても何も変わらないでしょうに。

↓2代目プレリュード 1982年11月

↓3代目プレリュード 1987年04月

↓4代目プレリュード 1991年09月

↓5代目プレリュード 1996年11月

Posted at 2025/09/08 23:52:30 | |
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