
当時流行し始めた角型ヘッドランプの特集。
記事要約:
その昔、大きなグリルがアイデンティティを主張していた時代には、角型ヘッドランプで変化を付けようとする例ほぼ皆無であったが、クルマのフロントマスクを「顔」とすればヘッドランプは「眼」とも言える重要なポイントであるが故、30年代の流線型の時代にはリンカーン・ゼファーに代表されるような変形ヘッドランプを用いた例も増えている。
しかし・・・
記事抜粋:
『アメリカのデザイナーたちは、長い間 丸型ヘッドランプ・・・それもわずか2種の・・・を使わざるを得なかった。広い国土と膨大な数のクルマ、そして幅広いユーザーの層を背景とするアメリカの自動車工業。部品の標準化、そして大量生産は、その基本的な体質となっている。
それはヘッドランプにしても例外ではない。丸型の2灯式と4灯式、2種類のシールドビームが規格化され、すべてのクルマはこれを使うことを義務付けられていた。変形ランプを持つヨーロッパからの輸入車にしても、オリジナルのランプを規格品のシールドビームに変えられてしまうのだ。逆にシールドビームは大量生産しなければそのメリットは生かせない。
たった2種の丸型ランプに縛られ続けていたデザイナーのジレンマは想像するに余りある。固定化してしまった顔の表情を変えようにも、選択の余地はわずかしかないのだから。
2灯式にするか4灯式にするか、あるいは
リトラクタブルにして、ライトそのものの存在を隠してしまうか・・・。』
『さらに1970年代のスタイリングの趨勢は、コークボトル・ラインに代表される丸みを帯びたものから、贅肉を削ぎ落とした いわゆる"シアー・ルック" へと移っていった。直線的なボディライン、そのフロントには縦型のグリル、こうしたデザインの傾向に合わすべく、スクエアなヘッドランプが要求されたのは当然の成り行きだったのかも知れない。』
『こうした中で、角型ヘッドランプの使用を認めさせるべく動き出したのはGMだった。まず、SAE規格に角型シールドビームを加えたものの、その根拠が曖昧だとしてNHTSA(道路交通安全庁)では認められなかった。しかしGMは空力面でのメリットなどを主張、NHTSAを押し切って、1974年MVSS(連邦安全基準)108に追加させる事に成功した。
傘下にランプ類を専門とするガイド(Guide)・ディビジョンを擁する、世界最大の自動車メーカーなればこそ、これだけの強引さで押し切れたものと言えるだろう。
そしてまたビル・ミッチェル
師率いるGMデザインの、角型ヘッドランプを求める声がいかに強かったかが伺える。』
『それまでの数年間、ヘッドライトのベゼルを角型にしてお茶を濁していたGMデザインは、ようやく手に入れた角型ヘッドランプを、
まず'75モデルのフルサイズ各車に与えた。』
お茶を濁していた・・・と言うのはまさにこれでしょうね。
当時の輸入車、例えば
ベンツW116などの丸型4灯ヘッドランプ、W126の角型2灯ヘッドランプ仕様車は北米仕様=並行輸入の香り漂ういかがわしいオーラを発散していましたね。
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書籍 | クルマ
Posted at
2012/02/15 05:25:17