
高校を卒業した僕は、大都市圏にある会社に就職し寮生活を送っていました。
当時の勤務先と社員寮とは目と鼻の先・・・通勤は徒歩で6~7分と言う距離。
そんな出勤時、いつも歩道橋の上ですれ違う可愛い娘が居まして
(あのコとお近づきになりたいなぁ)
なんて思ってたんです。
最初は僕が視線を送るだけでしたが、彼女もそれに気付き 段々とお互いに頷くようになって
「おはよっ!」
『おはようございます』
と挨拶するまでになったのです。
決してうぬぼれではなく、我ながら
(こういうのって通じるモンなんだなぁ)
と。
きっと僕の視線には(アナタ ノ コト キニ ナリマス)光線のようなモノが出ていたのでしょう・・・
長い人生、この「キニ ナリマス光線」を送ったり受けたり、無視されたり、全く気付かなかったり(笑
さて、話を元に戻しましょう。
朝一番に交わす歩道橋での挨拶・・・清々しい一日の始まり、何て素敵なんでしょ!
(今日も一日 頑張ろ~!)
毎朝 会社へ行くのも楽しくなる訳です。
彼女は、僕の会社の方向からやって来る訳ですが、会社の少し先には私鉄の駅がありましたから その駅まで電車を利用してたのかも知れません。
(名前は?歳は?何処に住んでるんだろう?自分と同じ地方出身者かな?)
でも、焦ることはありません・・・明日また会えるんですから!!
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Scene 1
そんな ある日、所用で先輩と外出。彼が運転するクルマで用を済ませましたが、直ぐには帰社せずに チョットだけ寄り道して仕事をサボることにしました・・・。
UCCロング缶を2本買い、社員寮の方向にある 公園に向かいました・・・当時は缶コーヒーと言えば激甘のロング缶でUCCかジョージアが定番でした。
どの辺に停めようか、と公園の周囲の道路 左側を低速で走ります。
その時
(あっ!)
何と言う偶然でしょう!!
スーツ姿のアノ娘と同僚らしき女性(彼女よりちょっと年上に見えたので先輩かも)が、歩道を歩いて こちらにやって来るではありませんか!!!
(スーツ姿のアノ娘も可愛いぃ~)
おっと!通り過ぎてしまう・・・僕は先輩に強い調子で「車を停めて下さい!」と叫ぶ。
「??」状態の先輩を尻目に助手席の窓を開け
「朝、いつも会うよね!これあげる。」
みたいな事言って、2本のUCCロング缶を彼女らに手渡したのです。
急にクルマを停めさせ、その上先輩の缶コーヒーも勝手に他人にあげてしまう1ベイカー11の身勝手さ!(笑
誰よりも困ったのは彼女でしょう、いきなり停車した車の窓が開いて缶コーヒーを差し出されるなんて・・・
そしてもう一人のコと、僕の先輩も立場的には似たようなもの・・
(何なの!?コイツ)
・・と。
固まるオンナ2人(爆
名前すら知らないけれど彼女とは挨拶する仲なので、僕としては その辺のナンパ車と同じに見られる心配も無い訳で、もうちょっと軽い反応を期待してたんですが。
缶コーヒーでナンパする軽薄なゲス野郎と思われたのか?
お互い同僚(先輩?)が居たからマズかったのか?
・・・いずれにしても軽率過ぎる行動だったと反省しています^^
その後は、朝の歩道橋で声を掛けても挨拶を返してくれなくなり、僕を避ける為 きっと通勤時間をずらしたのでしょうねぇ・・・いつしか歩道橋ですれ違う事もなくなりました。
ターゲットは彼女でしたが、何の罪も無い彼女の同僚と僕の先輩を巻き込んだ1ベイカー11の自爆テロ(笑
僕にとって、甘~いUCC缶コーヒーの苦~い想い出です・・・。
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少しずつ ゆっくりと、俺の手は下の方から登って行く。
目的地は帯の中央付近にある「開閉装置」だ。・・・いよいよ帯の高さまで到達、ゆっくりと中央へ。
(あれれっ!無い!!)
帯の中央付近にある筈の「開閉装置」は無かった。
(ここまで来たのに ど、どうしよう!)
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『ふふっ』
I が吹き出して、小さく肩で笑ってる。
(・・・)
I にしてみれば計画通り・・・
仕掛けた罠に俺がハマり、狼狽する様子も想定内だったに違いない。
前回、I はワイヤーなど芯の入っていない素材とデザインの「スポーティなヤツ」で俺を困惑させた。
それにも通常の「開閉装置」は無かったのだが、今回はそんなI の意地悪の2回目って訳。
「スポーティなヤツ」は前回以来、二人だけの呼称になっていて俺は「スポーティなヤツが気に入った」とI に告げていたので、今回も「スポーティなヤツ」で来るだろうと思い込んでいたのだ。
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Scene 2
I は自分で手早くブラウスの前ボタンを外して
『実は前で~す^^』
と、明るく笑っている。
(・・・何が『で~す』だよ!?もぅ・・・・・・・でも、かわいいよ)
いわゆるフロント・ドライブ・・じゃなかったフロント・ホックって言う厄介なヤツ(笑
『こう折って上下に分けると・・・ほら、ね?』
(・・・え~ っと・・・)
『真ん中をこう折って右側と左側を・・・ね?』
(ふむ ふむ・・・)
6つ年下だったI は何度も「つけては外し」を繰り返して説明し、今度は俺の手を取りまるで 何かのインストラクターの様な口調と態度でその「開閉装置」の取り扱いを教えてくれた。
取り扱いと言っても、俺には開いた「装置」を再び閉じる義務も必要も無いのだが(笑
非常にスリリングな関係だったI ・・・結局は傷付き合って辛く別れたが、楽しい思い出も沢山作ってくれた・・・。
しかし
彼女が教えてくれたこの「取り扱い方法」が、その後の俺の人生で役に立った覚えは無い。
Scene 1:既出、加筆修正済