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2007年08月11日 イイね!

ラフテレーン(ラフター)クレーン

ラフテレーン(ラフター)クレーン今日のニュースに、このようなものがありました。

●クレーン車 : ブレーキ利かず暴走衝突 6人けが 北九州
MSN毎日インタラクティブ(毎日新聞)  2007年8月11日 21時09分

日中の市街地でブレーキトラブルが発生したと思われる大型クレーン車が暴走し、車や建物などに次々と衝突しては大きな損害を与え、最終的に6人が負傷したという事故。
記事にある写真を見ても、その"破壊力"が凄まじかったことがわかりますが、死者が出なかったのは不幸中の幸いでしょうか。

今回、事故を引き起こしたクレーン車は「ラフテレーン(ラフター)クレーン」というタイプのクレーン車です。
掲載する写真は今回の事故とは全く関係ない車種ですが、参考資料として"このようなカタチの車"という意味合いでの掲載であることをご理解ください。


俗に「クレーン車」と呼ばれるものは、まず2種類に大別できます。

ひとつは今回の事故原因ともなった「ラフテレーン(ラフター)クレーン」というもので、走行のための運転席とクレーン操作席が同一です。
荒れた土地での作業・走行性能を確保するために大型のタイヤを装着しており、基本的に駆動方式は4WD。さらに4WSが装着されており同位相/逆位相それぞれを巧く活用することで狭い場所での取り回し性能に優れています。
今では50トン以下の移動式クレーンの95%以上がこのタイプであり、みなさんも街中で見かけたことがあるかと思います。

もうひとつは「トラッククレーン」と呼ばれるもので、こちらは更に「車両積載型」「オールテレーン(オルター)クレーン)」に細別できます。
車両積載型には、通常のトラックに荷役装置としてキャビンと荷台の間などにクレーン装置を取り付けたタイプと、荷台部分にクレーン装置のみを備えたものの2種類が存在します。
前者は自らのクレーンで吊った荷物を、自らの荷台に積み下ろしして運ぶための車。後者はあくまでもクレーン機能のみを有するもので、大型のものは専用のシャーシにクレーン装置を架装しています。

「オールテレーン(オルター)クレーン」とは前述のトラッククレーンの後者の仲間ともいえますが、不整路での走行や作業に対応するために総輪駆動が採用され、ほぼ全ての車軸にステア機能を有するもの。
大型のラフテレーンクレーンという感じの役割です。
ただしオールテレーンクレーンもトラッククレーンの後者も、ラフテレーンクレーンとの決定的な違いは、走行するための運転席とクレーン操作席が別々になっていることです。


さて、このようにいくつか種類のあるクレーン車ですが、それぞれの役割分担がある程度は存在しています。

まずトラッククレーンの中で荷台を有する車両にクレーンを取り付けたものは、物流分野での荷役性向上が目的。自ら運ぶ荷物を容易に積み下ろしするためのクレーンです。

次にラフテレーン(ラフター)クレーンは、現在のクレーン車の主流。
建設現場などで活躍している姿を見かける機会は多いことでしょう。

専用シャーシにクレーンを架装したトラッククレーンやオールテレーンクレーンは、ラフテレーンクレーンの範疇を超えた大型重量物を扱うことが多いタイプ。国内を自走移動できる最大のタイプでは実に800トン吊りというものも存在しています。
またラフテレーンに比べて移動のための走行性能が高く、長距離走行にはこちらが適しています。

さてクレーン車の走行についてですが、車両制限令という規則で定められたサイズを超えている車両の場合は、道路管理者の「特殊車両通行許可」を得て公道を走行することが出来ます。
この場合、いくつかの条件を付される場合があり、時折街中で超大型の車(クレーン車に限らず)が前後に誘導車両を従えて走行しているのも、こうした付帯条件によるものです。

また大型のクレーン車(主に80トン吊り以上のトラッククレーン)は分解搬送式となっており、道路を走行するときにはクレーン装置の一部を分解して、別にトレーラーなどで運ぶようにされています。
これは道路を走行するには余りにも重量があり過ぎるため、分解して重さを軽減することによって移動中の道路施設への影響や、事故が起こる可能性を減らすための対応です。


ところで最後に、ラフテレーン(ラフター)クレーンと、トラッククレーンの大きな違いを紹介しておきましょう。
それは各車のナンバープレートを見ればわかります。

トラッククレーンは自らが荷台を有するタイプの場合、サイズなどに応じて大型貨物(1ナンバー)、または小型貨物(4ナンバー)となります。
同じトラッククレーンでも専用シャーシにクレーン装備を架装したものは特種用途自動車(8ナンバー)。車体の形状・構造要件の中に「クレーン車」「クレーン用台車」という規定が設けられています。
8ナンバーということで、トラック系ではタンクローリーやコンクリートミキサー車などの仲間。定められた特種な用途のための自動車ということであり、クレーンという特種な用途のための装置を備えたトラック、という表現が出来るかと思います。

一方、ラフテレーンクレーンは大型特殊自動車(9ナンバー)。
こちらは特殊な形状をした車両ということで、ロードローラやモーターグレーダ、フォークリフトなどの仲間。
トラッククレーンの運転は大型免許で可能であるのに対して、こちらは大型特殊免許が必要になります。
また最高速度については製造業界の自主規制によって49km/h以下とされてます。


さて、このように似て非なる存在であるラフテレーンクレーンとトラッククレーン。
大型特殊自動車(9ナンバー)と特種自動車(8ナンバー)という点が法律上の大きな違いですが、これが実はラフテレーンクレーンが圧倒的に台数が多いひとつの理由であるかもしれません。

それは、大型特殊は自動車税や自動車重量税が免除されているのです。
但し、かかる税金には固定資産税があります。

これ、普通の感覚では何となく納得いかない物を感じませんか?
例えば同じ大型特殊でもロードローラやフォークリフトはそうそう頻繁に道路を走りませんし、移動の際は積載車両が使われるケースが大半でしょう。
しかし、ラフテレーンクレーンは自ら作業現場へ移動するケースがほとんど。
つまり、それだけ公共の道路を使い、その恩恵を受けているのです。
そしてあの巨体であるにも関わらず、自動車税はおろか、自動車重量税が免除されている。
議論がある中ではありますが、道路整備のための目的税として設けられている自動車重量税を、比較的頻繁に道路を走っているあの巨体が免除されているという事実、どのように感じられますでしょうか?

こうした大型特殊や建設機械への課税免除(特にラフテレーンクレーン)については、今は亡き大物の名前も聞こえてくる政治的な背景もあったようですが・・・。
Posted at 2007/08/12 12:44:44 | コメント(1) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記

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