JC08モードでもまだまだ甘い:
カタログ燃費と実燃費の差をなくせ! 欧州が燃費計測の世界標準策定に動く
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1206/28/news008.html
 自動車のカタログ燃費よりも、その自動車を実際に運転して走行する際の実燃費が下回っていることは周知の事実だ。この問題を解決するため、日本でも2012年4月からJC08モード燃費を導入し、より実燃費に近いカタログ燃費が使用されるようになった。しかし欧州は、燃費計測方法の世界標準の策定など、さらに先進的な取り組みを進めようとしている。
 新車が発表される際に、最も注目される性能の1つが燃費である。燃費は、一定の容量の燃料を消費して走行できる距離として表わされることが多い。例えば、日本と欧州の場は、1l(リットル)当たりの燃料で走行できる距離をkm単位で示す、km/lが使用されている。一方米国では、1ガロン(約3.8l)当たりの燃料で走行できる距離をマイル(1マイルは約1.6km)単位で表すMPG(マイル/ガロン、1MPGは約0.43km/lに相当)を用いている。
 日米欧とも、燃費は数値が高いほど良い。一般的に燃費が良い場合には「低燃費」と表現することが多いが、これは燃費の語源である燃料消費率、すなわち一定の距離を走行するのに必要な燃料の量として考えた場合、数値が低い方が効率が良いことから使用されている。
 さて、車両の性能としてカタログに掲載されている「カタログ燃費」と比べて、一般ユーザーが運転して走行する場合の「実燃費」が下回っていることが多い。MONOistに掲載した、
『「最新ガソリン車の実燃費はHEVと同等」、内燃機関車の研究団体が発表』という記事では、公道を走行して計測した実燃費は、ハイブリッド車の「フィット ハイブリッド」であれ、最新ガソリンエンジン車であるマツダの新型「デミオ」であれ、カタログ燃費を下回っている。
シャシーダイナモメーターを使った燃費計測のイメージ。出典;明電舎
 これはカタログ燃費が、各国や地域が決めた一定の走行パターン(テストサイクル)に基づいて計測していることに原因がある。日本のテストサイクルとしては、2012年3月まで用いられていた10・15モードや、移行期間を経て2012年4月から正式に採用されたJC08モードが知られている。欧州はNEDC(New European Driving Cycle:新欧州ドライビングサイクル)を、米国では米環境保護局(EPA)が定めるテストサイクルを使用している。
 国や地域でテストサイクルは異なるものの、一定の走行距離の中で、市街地での走行パータンや、高速道路での走行パターンを繰り返して燃費を計測するという意味では同じである。これらのテストサイクルに従って、燃費計測専門のテストドライバーが、路上の走行状態を模擬するシャシーダイナモメーターという巨大なローラーの上を走行することにより、車両の燃費を計測するのだ。テストドライバー並みの走行技術を持たない一般ユーザーが、気候や渋滞などの影響を受けながら走行する際の燃費である実燃費が、カタログ燃費に及ばないのは当然のことだろう。
カタログ燃費と実燃費を近付ける
 カタログ燃費と実燃費に乖離(かいり)が存在することは、自動車ユーザーの中では当たり前のように受け止められている。しかし、カタログ燃費をできるだけ実燃費に近付けるための取り組みが進められていないわけではない。
 日本では、燃費計測に用いるテストサイクルを、市街地の走行パターンだけを反映した「10モード」から、郊外の走行パターンを追加した「10・15モード」へ、1991年に変更している。そして2012年4月から本格導入されたJC08モードは、エンジンが暖気されていない状態から始めるコールドスタートを走行パターンに追加したり、最高速度を毎時70kmから毎時80km以上に引き上げたりするなど、10・15モードよりも実走行の状態に近づけている。このため同じ車両で見ると、JC08モード燃費が、10・15モード燃費よりも10~15%小さくなっている。例えば、2011年6月に発表されたマツダの「デミオ」の10・15モード燃費は30.0km/lだが、JC08モード燃費は25.0km/lに下がっている。
 米国のEPAも、2007年から新たなテストサイクルを導入している。それまで使用していた、市街地用の走行パターン「FTP-75」と、高速道路用の走行パターン「US06」を改定するとともに、空調を使用しながら走行する「SC03」を追加するなどして、実走行の状態に近付けたのだ。
実走行状態でNOx排出量が5倍に
 最近になって、燃費計測に用いるテストサイクル改定の動きを加速させているのが、欧州である。
 欧州におけるテストサイクル改定のアプローチは2つある。1つは、国際連合欧州経済員会の排出ガス・エネルギー専門家会議(GRPE)によって策定が進められている、燃費と排気ガスを計測するための統一テストサイクル「WLTC(World Harmonized Light Duty Test Procedure)」である。
 WLTCは、乗用車の燃費や排気ガスの排出量を実走行状態にできる限り近い状態で計測するために策定されているテストサイクルの世界標準である。現在、欧州連合(EU)、日本、米国、中国、インド、韓国が参加しており、これらの国・地域が提出した道路状況データを用いてテストサイクルを策定しているところだ。EUは、2013年に策定が完了した後、2014年から現在使用しているNEDCに替えてWLTCを採用する予定である。
 もう1つのアプローチは、EUの欧州委員会が進めているものだ。EUにおけるテストサイクルの策定は、燃費計測よりも、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)、微粒子(PM)などの排気ガスの排出量を正確に計測することに重点を置いている。例えば、EUに導入されている排気ガス規制「Euro6」では、新車のCO2排出量を130g/km以下に義務付けており、2020年の導入を目指しているEuro6の次の規制では、CO2排出量は95g/km以下にすることを目標にしている。
 このように排気ガスを厳しく規制しているEUにとって、NEDCを使って計測した排気ガスの排出量と、実走行状態で計測したものの間に大きな差があると、規制の存在意義そのものが疑われかねない。しかし、EU技術研究所(JRC)が、Euro6以前の規制である「Euro5」をNEDCベースの計測でクリアした車両の排気ガスを計測したところ、NOxの排出量が規制の2~5倍に達したのである。
 この結果を受けて欧州員会は、「RDE(Real Driving Emissions)」と呼ぶ新たな計測方法の検討を開始した。この新たな計測方法とは、公道走行により計測を行う「PEMS(Portable Emission Measurement System)」や、シャシーダイナモメーター上での計測をあらかじめ決められた走行パターンではなくランダムなもので行う「RTC(Random Test Cycle)」などである。
 WLTCとRDEが適用されれば、カタログ燃費と実燃費の差がさらに小さくなる可能性は高い。
パワートレイン開発の方向性にも影響
(写真)ボッシュの伊藤悟氏
 欧州で新しいテストサイクルが導入されれば、自動車システム、特にパワートレイン開発の方向性にも影響が出る。
 例えば、大手ティア1サプライヤのRobert Boschは、新しいテストサイクルの導入により、排出ガス内のNOxを低減するシステム(DeNOxシステム)に変更を加える必要があると見ている。日本法人ボッシュの常務執行役員で、ディーゼル・システム事業部開発部門長を務める伊藤悟氏は、「新しいテストサイクルでは、エンジンから出るNOx排出量の増加や、より激しく負荷が変動する運転モードの追加、排気ガスの温度が極端に低い状態と極端に高い状態などが想定される。これらに対応するため、DeNOxシステムを改良する必要が出てくるだろう」と述べている。
新しいテストサイクルの導入によるDeNOxシステム開発への影響。DOCは酸化触媒、DPFはディーゼル微粒子捕集フィルター、NSCはNOx吸蔵触媒、SCRは尿素選択触媒還元システムを指す。出典:ボッシュ
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ぜひテストモードの見直しは日本でもやって欲しいな。
今のモードの加速はゆっくり過ぎだし、MTでの回転数も高過ぎ。
AT/CVT車が燃費が良くなるように作られたモードってのはおかしいよね。
 
				  Posted at 2012/06/28 23:54:05 |  | 
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