過剰な風力発電で停電の危険性 備蓄できぬ再生可能エネルギー
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121117/mcb1211170503013-n1.htm
(写真)ドイツ北部のバルト海に面した港湾都市、ロストック近郊に設置された風力発電用タービン
http://www.sankeibiz.jp/macro/photos/121117/mcb1211170503013-p1.htm
中東欧諸国は、この冬の風の強い間は、ドイツからの送電を遮断することを検討している。強風になるとドイツの風力発電所から電力があふれるように押し寄せてくるからだ。
再生可能エネルギーは、世界中で問題の種となっている。石油とは異なり備蓄ができないため、常に発電のため消費しなければならず、場合によっては送電網の崩壊を招きかねない。電力会社が利用者にお金を払って電力を使ってもらうことさえある。
限界に近付く電力網
チェコ共和国のパベル・ソルク産業貿易副大臣は「ドイツはこの問題を認識しているが、問題を解決するに足る政治的意思を有していない。従って、事故やシステムの崩壊を避けるために一方的な防衛策を講じざるを得ないのだ」と語った。
チェコの電力網を管理するCEPS(チェコエネルギー送電システム)によると、旧共産圏諸国の電力網は限界に近付いているため、ドイツ北部やバルト海にある風力タービンからの出力量が急増すれば、負荷に耐えられず送電不能となり停電を招く可能性がある。
同国は年末までに保安設備を国境付近に設け、過負荷を回避するために自国の送電網を切り離せるようにする計画だ。
問題は、送電網が未整備のままに過去8年間で、4600億ドル(約37兆3200億円)規模の風力発電所が世界中の原野や丘陵、海上に建設されてしまったということだ。ドイツの送電事業者によると、国内のシステムの容量と技術的な面を改善するだけで、少なくとも320億ユーロ(約3兆3200億円)が必要になるという。
ドイツは2007年以降、北部を中心に8885メガワット規模を超える風力発電所を建設し、現在、化学品メーカーのワッカー・ケミーや総合電機メーカーのシーメンスなどの工場が何百と集まる南部の工業地帯へ送電設備の構築方法を検討している。ドイツの送電線が余剰電力を持て余すと、その電力は送電網が接続しているチェコやポーランドに流れていく。
北部と南部の接続が不十分なため、ドイツの送電網は昨年2月、崩壊寸前に陥った。バルト海での強風により発電量が送電能力の限界近くに達し、チェコとポーランドは自国の送電網の切り離しをする決断を迫られた。ドイツのレスラー経済相は「この冬は危険かもしれない」と語った。
メルケル独首相は、昨年の東京電力福島第1原子力発電所での事故をきっかけに、老朽化した原子力発電所の停止と2022年までの脱原発を決定したが、これにより電力の不均衡が悪化した。ドイツはかつてないほどまでに北部の風力発電に頼らざるを得なくなるだろう。
独電力会社、50ヘルツ・トランスミッションのスポークスマン、ヴォルカー・カム氏は「チェコとポーランドの電力会社が市場やシステムの安全確保を心配するのも無理はない。建設的な解決策を模索している」と打ち明けた。
チェコ・プラハのチェコ電力(CEZ)やポーランド国営電力会社のPGEは、両国内の石炭火力発電所からの送電停止を余儀なくされることがある。ドイツから流れ込む過剰な電力が原因だ。
ポーランドの電力事業者、PSEの幹部であるジェルツィ・ダドジク氏は「現行の対策はコストがかかり、十分でないこともある」と説明。PGEは、ドルナオドラおよびトゥロー両発電所の発電計画の調整を強いられた。
ポーランド、チェコ両国は、ドイツとの国境地域に移相変圧器を設置して電力潮流を管理し、送電網を保護する予定だ。チェコ側はいまなおドイツと短期的な解決策を交渉しているが、すでに2017年までに変圧器を4基設置する計画がある。
不利な立場のチェコ
CEPSの役員、ズビニェク・ボルディス氏は「ドイツ側はわれわれのインフラを乱用している。現時点では、ただ食事をごちそうになっている状態だ」と苦言を呈した。
チェコ、ポーランド両国はさらに、ドイツとオーストリアとの共同電力市場により不利な立場に置かれている。この2カ国間での取引が原因で、チェコやポーランドは変圧器の容量を小さくしなければならず、自国の電力網の保護のコストが高くなってしまうのだ。
ドイツ南部は電力需要のピーク時、オーストリアのアルプス山脈にある揚水式水力発電所から電力を輸入している。ここでもチェコの電力網を利用するが、この取引からチェコが恩恵を受けることはない。
ボルディス氏は「両国の共同圏では、業者は近隣諸国の容量を入札する必要もなく目いっぱい使っている。差別だ」と語った。
ドイツ・オーストリア共同市場の物理的な送電容量は、両国間での取扱量に一致していない。従って、チェコやポーランド、スロバキア、ハンガリーの電力網を使うことになるため、この4カ国はドイツとオーストリアに対し、電力の流れを反映した電力取引を行うことを要望している。
ボルディス氏は「物理の法則に従って、電力は電力網で最も抵抗が小さい経路を通る。その結果、われわれの送電系統が過剰になり、安全が脅かされることになる」と説明した。
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風車や太陽電池がいっぱい有れば良い、ってもんじゃないんです。本来なら電力供給が過剰になった時には捨てるか停めるかしなきゃならない。でも電力会社は停めると言う選択肢は封じられてるし、捨てると株主代表訴訟とかになりかねないし、捨てるための機器なんてものは世の中に存在しないから、知らん振りして系統に送出するしかない。なので受電側が過負荷になってしまう。
再生可能エネルギーからの電力が供給過剰な時には全家庭に通達して電力を無駄に使ってもらう、とかするしか無いな。でもその電力を安くする事は出来無いんだぜぇ。(笑)
日本では停めも捨てもせずに済む容量しか再生可能エネルギーを受け入れてないけど、それを責めるのは電源を不安定にしても良いと言う覚悟が有ってのものではないと思うな。以前程、もの作りの品質が電源品位に依存する部分は少なくなったから少々の不安定は許容しても良いかも知れないけど、古い医療器とかが不安定になると、これまた訴訟になり兼ねないな。
再生エネルギーでどうにでもなる、と思っている人は、その辺りの事を十分に考えているのかな。99%の電気器具はインバーターや安定化電源で電力会社の電源品位の変動を許容出来るかも知れないけど、残りの1%で事故が起きたときにどうすのさ。それも電力会社の責任だと言うのだろうな。
それともオンデマンドで無駄な電力使用を推奨したりするのかな。FITの高額電力料金のまんまで無駄使いって誰もやら無いと思うぞぉ。
Posted at 2012/11/17 18:54:29 | |
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