他車種で初期型探索をしてみた後は、自分の車のそれも気になってくるというもので(笑)、
一寸調べてみる事にしました。
しかし、220SEbクーペでそれをやるのに当たって非常に厄介なのが、
230SLのように車体番号下6桁の製造番号が単独処理ではなく、
220SEb3車種の合算である事でして、
しかもその本格生産開始時期がセダンが1959年の8月、クーペが1961年の2月、
カブリオレが1961年の9月というようにバラバラになっている事なのですよね。
因みに終わりに関してはセダンと2枚扉ではズレがある為に、
2枚扉の終了の下6桁が082990である事だけは判っており、
また上6桁がクーペ、カブリオレのそれぞれで220SEbと同じである、250SEでは
それが082991から始まっている事も判っております。
そして、220SEb全体の生産台数が82988台なので
000001から082990までの間に欠番が2つある、、、
というところまでは分かっている訳でありました。
それで話は戻って、220SEbクーペのスタートの車体番号についてなのですけれども、
1959年の8月から1960年の終わりまでに生産された220SEbセダンの台数は10826台、
1960年に製造された220SEbクーペ(プロトタイプ?)が2台なので、
1961年の頭の車両の車体番号下6桁は欠番を加味して010829~010831ってところで、
220SEbクーペの通常生産は2月からですから、
そこに1961年の220SEbセダンの年間の生産台数を12で割った物をプラスした辺りが
通常生産車両の頭と考えられる所なので
当初、大体011726近辺なのでは?という予想だけは立てていたのですよね。
ただ、EPCによると、
クーペでは私が年式無視で採用している(笑)クロームメッキの空調レバーが011486まで
プラスチック製のそれが011487からという事になっていまして、
その変更時期にセダンとはズレがある(セダンは011781までと011782から)ことから、
少なくともその011486、011487の何れかはクーペの車体番号だと思われますし、
年生産1万台以上の車両(セダンの事です)の、ある月の生産台数に
その年の平均から240~250台程度の落ち込みがあるのは
考えられない事ではないだろうと思われるので、
まぁ、ざっくりと011400番台の後半辺りがクーペのスタート時期だと考えるのが
妥当な所なのだろうなァと私的には思っています。
そうした前提の中で、表記の内容についての証拠が示されていないので、
資料として完全に信用する事は出来ませんけれども
今回、スウェーデンのW111.seというサイトに220台の220SEbクーペの登録があって
そこにそのほぼ全ての車体番号が記録されているのを見付けたのですよね。
その中で一番古い車両の下6桁は010881という事になっていました。
その車、2008年現在で現役車両だったようですけど、
先程の1961年の220SEbセダンの最初の車体番号から考えると、
そこからほぼ50台後というのは、なんか一寸怪しいかもと思っております(笑)。
しかも初年度登録が1963年の7月って書いてありますからねぇ。
ひょっとすると040881の誤植かもしれないなァって思います。
んで、その次に番号が古いのが012316なのですが、
この辺りだったらあり得る所かなぁという所ですね。
これだと恐らく工場出荷は恐らく2月中か、行っても3月辺りかと思われるのですが、
初年度登録は1961年の5月5日らしいです。
因みにさらにその次に古いのが012389なのですが、
この車は何故かそれより初年度登録が早くて、1961年の4月10日という事になっています。
012316の方に何らかの事情があって登録が遅れたという事なのでしょうが、
この辺りからしても予想はそう大きく外れていないだろうと思うのですよね。
この012316も2008年の時点では現役だったようですので、
今後、ネットの何処かで見掛けられる機会があったら嬉しいのだけれど、、、
と思ったりしております(笑)。
うわ、前置きだけで随分長くなりました(苦笑)。
では完全に信頼しても良さそうな車両の紹介に行きましょう(笑)。
先ずは車体番号のプレートの画像は無いのですが、
とりあえず画像がある中で一番古いと思われる車両から。
Bonhamsオークションに2度(2004年の10月と2010年の4月)出品された経歴のある車両です。
残念ながらその2度のオークションの記録に残っている画像が1枚ずつしかなく、
証拠の車体番号画像がないのですが、
まぁ、オークション会社が言う事なら、車体番号は信用しても良いだろうと思ったので採用しました。
その下6桁は014332でした。
それからすると、私の予想では1961年の4月頃の車両ではなかろうかと言う所であります。
でも、説明文の中で法螺だなァと思ったのは4MTがオプションだと書いてある事で
更に『 floor-mounted』のギヤチェンジレバーを備えた4ATが標準装備だと書いてあるんですよねぇ。
再三、このブログでも言っている通り、220SEbクーペ/カブリオレには
EPCを見る限りではフロア4ATは存在しない筈で
それは250SEの時代から始まった装備だと思われるのですよねぇ。
また、4MTがオプションというのは300SEクーペ/カブリオレと勘違いしているのでしょうね。
因みにそれは減額オプションでした(笑)。
しかし、有名なオークション会社も結構いい加減なものですねぇ(笑)。
続いてはコチラ。
レストアベースなんだか部品取りなんだか良く判らない状態ですが(笑)、
とにかく古いという事だけは間違いありません。
証拠のプレート。
これによると下6桁は015652となっていますね。
予想では1961年5月頃の車両だろうと思われます。
しかし何でしょう、このプレート。
初めて見ました。
この画像だとこれが付いている場所も良く判りません。
カロッセリープレート。
これによると、元色は黒だったようですね。
お次は結構新しくなってしまいますが、コチラ。
バンパーが108用になっているのが私的に一寸残念な所であります。
ミラーが1963年以降の位置に移動してしまっていますが、正真正銘の1961年式です。
この車、US仕様なのですが、何故かヘッドランプユニットとグリルの間に
釣鐘型のウインカーがありません。
ひょっとしてこの時期の車両ではそれが付いていないなんて事があったりするのでしょうかねぇ?
で、証拠のプレートがコチラ。
下6桁が018795とあります。
私の予想では1961年の8月頃の車両ではないかと思います。
ボディナンバーの打刻。
あらら、カロッセリープレートは紛失しちゃったのね、、、
と思いきや、
おろっ?別の場所にあるじゃない!
これは一体…。
そういや、プレートが付いている筈と思った場所には
元々そこに付いていたのならばプレートを固定する為に空けてある筈の穴がないので、
これは最初からこの場所に付いているのだろうと想像する事が出来ました。
これの場所については次の車両で解決させます(笑)。
エンジンプレート及びエンジンナンバーの打刻。
先の230SLの話の中でエンジンナンバーの下6桁は
製造番号のそれよりやや多い事が朧げに判明していますので、
この時点で左ハンドルのMTの220SEbクーペは1200台近くは作られているのでしょうね。
MTとATの割合、又左右ハンドルの割合がどの程度か判りませんが、
この年に2枚扉の220SEbが2537台造られている事を考えると、
8月辺りでその位の台数の左ハンドルMT車が作られていると考えるのには
そこそこ妥当な線であるような気がするところであります。
結構前のブログに書いた通り、
自社製ATが装備出来るようになったのは1961年の4月10日からという感じらしく、
デリバリー開始からは一寸出遅れていますし、
先程のスウェーデンのサイトのデータでも1961年式の車両では
AT車が極端に少ないのですよね。
一寸脱線しますが、この車、ベッカーのカセットデッキ付き。
データカードの画像もあったので、メーカーオプションで付けられたものでは?
と、一寸期待しましたけれども、撃沈でした(笑)。
しかしベッカーメキシコが装備されていた事を示すコード518はありましたので、
ダッシュボード上に付いているラジオに関しては新車当時からの装備品のようであります(笑)。
さて、今回ご紹介する最後の車両がコチラになります。
四角のフォグランプ、アウトサイドミラー、14インチホイールはオリジナルではありませんが、
なかなか雰囲気の好い一台であります。
そういや、当時の220SEbクーペのカタログにこんな色の車が出ていたような…。
上の画像をよく見ても判りますが、右ハンドルの英国仕様です。
で、肝心な車体番号はと言いますと、
右ハンドルMTなので20でそれに次いで016071となっています。
予想では1961年の5月頃の車両かと思われる所であります。
上のプレートは前の方の車両で初めて存在を知ったものと、同じ物で、
この画像により、右のサブフレームマウントの取り付けの為のサービスホールの前側に
それがあるのが判明。
画像中左に見えているのがサービスホールのメクラブタでありました。
下のプレートはUS仕様だけの物かと思っていたら、英国仕様にも付いていたのですね。
ただ、これと同じ物が写っていた、上のUS仕様では
これがラジエターコアサポート上に付いていましたが、
この車では下のプレートの脇を立ちあがる右のインナーフェンダー?の上方の
中央からやや前寄りに付いているようです。
肝心な年式の方は、予想では1961年の5月~6月位の車両かと思われます。
ボディナンバーの打刻。
やっぱりこの場所にカロッセリープレートは無く、
かつて何らかのプレートが付いていた事を示すような穴も開いていません。
で、結局、そのカロッセリープレートは
先の230SLの事からも想像された事ではありましたが、この場所にありました。
現状、いつまでなのかは判りませんけれども、初期型ではここに付くのですね。
因みに、これを見付けた後で、これとは関係なく、
1965年度版のオリジナルパーツリストを見ていましたら、
ちゃんと、ボディナンバーとカラーコードのプレート(つまり私の言うカロッセリープレート)が、
この場所かラジエターコアサポートに取り付けられている事が示されているイラストが
(対象はセダンでしたが)描かれているのを発見しました(笑)。
因みに1962年の9月版のそれでもやはり2箇所のどちらかという形になっていたので
それ以前の時期に切り替わったものと思われます。
エンジンルーム。
この画像を用意した時には気付きませんでしたが、
これで先程のサービスホール脇の小さなプレートと
インナーフェンダー上の長細いプレートの位置がハッキリと確認出来ますよね。
この画像を見ると、右ハンドルを設定する事を考えた時に、
マスターシリンダーとブースターが別体だったからこそ
採用出来た初期型インマニだった事が判りますよね(笑)。
なるほど、それらを一体化するに当たって、右ハンドルの事まで考えた上での
インマニ変更だったのか、、、と、納得させられました。
この車の新車当時のボディ色は
カロッセリープレートから516ミディアムレッドという事が判るので、
恐らく外観はリペイントはされているかもしれませんけれども、元色のままだと思うのですが、
それならそれで何故エンジンルームが黒塗りされているのかな?と思ったりしています。
前後シートの様子。
右フロントシートとリアシートのクッションの同じ場所に
残念なほつれはあるものの、
革自体は絶妙なヌメ感があって好い感じに時代が付いていますよね。
ワタクシ、汚れやすいからパーチメントは嫌、、、って、普段から言っていますけど、
これは古ぼけた見苦しさも皆無で、品の好い高級感が漂っていますし、
こんな感じに維持出来るなら、これもイイかなって思えますよね。
但し、並々ならぬ努力の結晶だろうと思われますけど…。
この車両、私好みの手動サンルーフが付いていました。
サンバイザーの間に一寸シミのようなものは見えますが、
ファブリック張りのヘッドライナーがそのまま残っていますねぇ。
ファブリック張りのヘッドライナーは021864までと021865からで2種類あるので、
これはその前期型という訳ですね。
生地の目が見えているので、そうでないようにも見えるのですが、
ひょっとしたら目の細かい起毛タイプなのかなぁという感じもします。
因みに私のは張り替えてしまっていますけど、元々は後期型の方で、
剥がしたその生地の一部を記念に(笑)、取ってありますが、
起毛という感じではない織物という感じの仕上げの物なのですよね。
で、今、張られている物は起毛タイプなのですけれども、
これとは全然雰囲気が違うのですよねぇ。
それも悪くはないけれども、やっぱりオリジナルがイイよなァ。
サンバイザーにも2種類あるのは判っていたのですが、
これは明らかに表面が起毛タイプの生地で張られていて、
こんなのあったのかなぁ、、、と思って調べてみたのですが、
左ハンドルとは境目が違うのですが、
右ハンドルでは050979までと050980からのやはり2種類しかなく、
という事は最初からイミテーションレザー張りのみの筈なので、
これは後から張り替えた物という判断をする事になります。
こうして初期型限定で見ていくのも興味深いものがありますよね。
カロッセリープレートの移動や車体番号の小プレートの存在など、
知らなかった事を知る事も出来たので嬉しかったです。
実はこの調査企画、先だっての230SLのブログを書き終わった後に
すぐに取り掛かっているのですけれども、
チェックしている間に一寸ずつ加筆したりしていって、
完成が延び延びになった上にこんな長文になってしまいました(苦笑)。
220君のトラブルの件で何処かのお陰で長々と悶々としつつ、
その220君自身もいつ戻って来るかも全く目処が立っていない最中なので、
こんな事しか気をまぎらす事の出来る楽しみがなかったりするのですよねぇ。
さてさて、次はどんな事を調査して遊ぼうかしら?