一昨日、一寸訳あって、170系について調べていて、ネットで画像検索して居ったのですが、
その際にこんな画像を見付けました。
なんじゃこりゃ?
ポントン用のテールランプなんかが組み込まれているし、
わりとキチンと造られているっぽく見えたので
ヴェンドラー辺りでボディを架装された170なのかしら???と思って
元画像のあるページに飛んでみました。
飛んだ先のページはシアトルの車屋さんの物だったのですが、
車は現時点でそのお店の売り物として載せられているものでした。
で、顔付はこんな感じでした。
W187の220風ですね。
でもね、それと決定的に違うのはフロントフェンダー後部の処理でして、
こんな風に、、、
フェンダーのラインがのドア下方まで続いて消えるという、
300S系(W188)っぽい処理になっているのですよね。
何気にドアも前ヒンジになっているし。
300系(W186/189)でも同様にそのラインがドアに達してはいますが、
その場合はラインが下端まで行かずに
フロントドアの後半で溶け込んで消えるデザインになっているので、
この車の作成者は300S系のデザインをかなり意識してこれを作ったのだろうなと思います。
W187の220はシャシーが170Sb及び170DS(W191)とほぼ共通でスカットルから後ろのボディも共通。
ホイールベースは全く同じですが全長が55mm延びており(セダン同士の比較です)、
その分だけフロントのオーバーハングが延びている感じになっています。
んで、W187はW191のシャシーに6気筒を載せる為にグリルの位置を前進させて
行き場の無くなったヘッドランプをフェンダーに収める形になったわけなんですけれども、
この車の場合はボンネットはそのままでフェンダーの上方だけ前進していると思われるので、
真横から見た時には300S系に近いバランスでフェンダーに対して
グリルが奥まった位置に鎮座するようになっているように見えます。
なので前から見た顔つきもW187に似てはいるけれど、
それとは一寸雰囲気が違うのですよね。
恐らくヘッドライトの位置がW187より高いと思われ、その影響が強いのかも知れませんが、
実は私は最初にこの車の前側を見た時、W187というよりはW189の300dっぽく感じました。
因みに、上で『フェンダーの上方だけ前進』という書き方をしたのは
W187と比べるとホイールアーチ前端からフェンダー前端までの距離が
短いように見え、そこに寸詰まり感があるからで、
その点からして多分元の170DSの全長を保ったままこの車は作られているのでしょうね。
しかし、腰高な事もあって、真横からの見え方は微妙かもしれませんが、
一番上の画像のような斜め後ろからの姿はなかなか好い感じだなぁと思います。
クローズアップしてみても、、、
恐らくトランクリッドとそのごく周辺部は170DSそのままだろうと思うのですが、
細かく見た仕上がりはともかくとして(笑)、
低めのリアフェンダーとの間のライン構成を上手いことやっているよなと思います。
芸が細かいなと思うのはバンパーを受ける為にボディパネル側を一段縊っている所で、
バンパーに対してその溝が一寸大きすぎるのはご愛敬って感じではありますが、
手の込んだ事をやっているなぁと思います。
300S系がバンパーを出来るだけボディ側に密着させるデザインを採っているので、
これもそれを意識しての事なのかも知れませんね。
でね、170DSってこちら側の割と低めの位置に給油口がある筈なんですが、
この画像ではそれが見えず、
どこにやっちゃったかな?と思ったのですが、ここにありました。
トランクの中に持ってくるとは考えましたな(笑)。
このライン構成の中に給油口を織り交ぜたくなくてこうしたんでしょうね。
実用性はいくらか犠牲になってしまっていますが、なかなか素敵なこだわりだと思います。
ホイールキャップ。
いつもは全く塗っていないホイールキャップを非難するぽおるさんでありますが、
これは逆にちと塗りすぎ(笑)。
お星さまの枠と次に見えているクロームの輪っかの間は塗装しないのが正解なんですよね。
因みに上掲の真横からの画像を見てもらうと判りますが、
フロントは同じようにボディ色で塗ってはいるものの、
うちの220君にも使われているタイプのキャップになっていますね。
実は左フロントも同様になっているのですが、
2個ずつあるなら、片側すつ同じ物で統一すれば、
同じ物が4つ揃っていない事がバレにくかったろうになぁと思いました(爆)。
まぁ、前は前、後ろは後ろで統一したかったんでしょうね。
外から見たダッシュボード。
ダッシュボードの表面や窓廻りに合皮を張り巡らしてあるようですが、
基本的構成は170系そのままのものですね。
三角窓の下のぶっといクロームはデザインとしては一寸雑だなと思う所ですが、
実は裏ではこんな感じに、、、
他の車の三角窓を流用する為に嵩上げをしてあるんですよね。
恐らくとしか言いようがないのですけれども、三角窓とフロントウインドウとその枠がセットで
他の車から流用された物だと思われるのですが、
ボンネットの高さから決められてしまうフロントウインドウの高さに合わせて
三角窓の高さも決められてしまう為に
その辻褄合わせにこうした事が必要となったのでしょうね。
ただ、このドアが仮にオリジナルのドアをベースに作られたものだとして、
多分段付きのあった部分から上がカットされているんだと思うのですが、
それをカットしなければ、ここ迄の嵩上げをしなくて済んだろうと思う所なので、
何故このようにしたのかが一寸謎ですね。
なんとなくではありますが、あまりウエストラインを高くしたくなくて
上を切っちゃった所までは良かったけれども、いざフロントウインドウを設置したら
辻褄が合わなくなる事に気付いたって所のような気はしますね。
しかし、そのつじつま合わせの為にドア後ろにもこの流れを受けたクローム部があるのに
敢えてそこまで繋げずにドアの途中でスッパリとラインを切ってしまっているのも
よく判りませんです。
前後シート。
オリジナルという訳でもなく、
かといって外装に比べるとスペシャル感もない感じなのが一寸残念ですね。
フロントは恐らくオリジナルがベースになっているんだろうなとは思いますが、
2枚目の画像に映り込んでいる背もたれ表面の湾曲具合が
この時代のそれっぽく感じられないのですよね。
やっぱり一寸でもスポーティに見せようって気持ちが働いているのかしら?
スポーティと言えば、ミッションがフロアシフト化されています。
170DSの時代は有無を言わせずコラムシフトですし、
170Vaまでのフロアシフトは先だっての300Sロードスターの時に書いたように
奥の方から長いレバーを使用するダイレクト式な筈ですから、
ひょっとするとこの車、MB以外のミッションが載っている可能性があるのでは?
と思っています。
エンジン。
あれれ?これ、確かに170系に搭載されていたエンジンではありますが、
ディーゼルじゃないですね。
説明文によると1767ccのM136(つまりガソリンエンジン⇒そのディーゼル版はOM636)が
載っているとの事でした。
んでね、ボチボチこれをアップする事にした一番の理由に触れたいと思うのですけど、
こんな画像を見付けたんですよね。
これって、(多分)USSの出品表じゃん(汗)。
え~っ、日本にあった車なの?って思いました。
後から読んだ説明文にも確かにそう書いてありました。
んで、目ざとい方なら上掲の画像の中で
見切れているのに気付かれていた可能性もあるかと思いますが、
定期点検ステッカーや、、、
車検のステッカーが
フロントガラスに残っていました。
説明文には『Last licensed in Japan in 1985 (Showa 58)』なんて書いてあるのですけど、
それ以降の事について触れられていない所を見ると、
結構最近まで日本にあってUSSで売られてアメリカに渡ったんだろうなと思います。
日本にあったという前提で改めて上掲の画像を見てみると、
シフトレバーの画像に映り込んでいる燃焼式ヒーターやクラリオンの8トラ?デッキなんかも
それを思わせる物だったりしますよね。
こうして元々日本にあった事か判ってみると、
気になるのはこれがどこの国でこのボディに架装されたのか?って事で
どうにかしてそれが判らんものかなぁと一寸考えてみました。
で、これがディーラー物であれば、ほぼ間違いなく国内で架装されたと見て好いだろうな、、、
と思いました。
色々考えてみた結果、ディーラー物であったらしい証拠を見付けましたよ(笑)。
これです。
1箇所が微妙なので確実な形で見付けられたのは3箇所になってしまいましたが、
赤矢印の所にネジの付いていた跡があるのですよね。
そこにプレートが付いていたらしい形跡も見受けられるので、
ほぼ間違いなくここにウエスタンのプレートが付いていたものと思われるのですよね(笑)。
他のウエスタン物の170DSで確認してみましたが、
その車もこの位置にプレートがあったのでほぼ間違いないでしょう(笑)。
でね、ふと、さっきの出品表を見てみたのですが、
型式欄に1706Sって書かれていて、
これ、ウエスタンお得意の(?)誤字申請なのか、
あえてこうして申請した物なのかは判りませんけれども、
220SEbでも型式が220SE6になっている車もあるようですので、
多分、170dsの意味で1706Sと申請された、車検証上の型式が
ここに記入されているんじゃないかとも思われたのですよね。
古い世代のMBがタイプ名を型式としている事はあまり一般に知られていないでしょうし、
当然、出品者は車検証に書かれたままを書いているでしょうから、
これもディーラー車である事を示していると考えても良さそうですよね。
てぇ事はほぼ間違いなく新車で国内に入った車を
何時の時点でかは判らないけれど、国内で架装していると考えてよいと思うのですよね。
国内での架装である、もうひとつの証拠になりそうなのは上の三角窓の画像で、
三角窓のロックも日本車のそれっぽいし、
画像を拡大するとそのガラスにJISマークらしき物が見えているのですが
そうして日本車の部品を流用したと思われる所からも
可能性は高いだろうと思うのですよね。
いやはや、国内でここまでの事をやろうと思う人が居られ
且つここ迄のカタチを作り出す業者さんが居られたとは…って感じです。
説明文によるとこの車、
『新しい燃料、フィルター、油脂、バッテリーで走る』とあるので、
是非アメリカの好事家の方に買って頂いて、
雰囲気好くレストアして乗り回してほしいなぁと思います(笑)。
因みにお値段の方は14500ドル、今のレートで215万円くらいですね。
29500ドルに線が引っ張ってあって14500ドルとなっているのですが、
最初の金額もかなり強気だけれど、下げた値段でもまだ強気かなぁという気も(笑)。
こういうのがバシッとなってどの位の価値が見込まれる物か検討も付きませんけれども、
ヴェントラー辺りのコーチビルドならばともかくとして、
その辺りがハッキリしない物件ですからねぇ。
なんにしてもなかなか面白い物を見せて頂きました(笑)。