時計の針を数ヶ月戻す。
8月に数年ぶりに実家に車で帰省することになった。
それに備えてメンテを兼ねてDに伺う所から今回は始まる。
ボクの通うDは同じ市内とはいえ、片道40分くらいのところにある。
VOLVO直営店でなく加藤石油が運営する形。
購入時から担当が2回変わって現在は3代目。
初代はフランクで色々気の回るタイプでボクはすごく心地よい関係だった。
義弟のV60も彼から買った。
彼が同じ加藤石油のVWに移動になり、2代目が付いたが一度顔を合わせたくらいで家庭の事情で退職した。
今の3代目は車業界とは全く関係のない職種からの転職だが、真面目で礼儀正しく気持ち良い方。
担当が変わると不安になるけれど、ボクの中ではサービススタッフのリーダーのK玉さんがすごく良い空気を吸わせてくれて、安心して通えていた。
待ち時間、色んなボルボ車に試乗させてくれ自由に一人で乗り回すことが出来たのも
彼の差配だった。
前出のメンテ、カレンダーのメモによると8/9、いつも通りくだらない会話から趣味の話、彼の実家の話、PHEVの話と途切れなく話して帰ってきた。
無事に帰省から戻って暫くして義弟からLINEが来た。
「サービスのK玉さんが交通事故で亡くなった」と。
そう彼だ。
友人でもない、ただの客とスタッフの関係だけど、彼がいたから安心と書いたように
信頼しまくってただけに胸が痛くなった。
近く友人が亡くなることが続いていたので落ち込みは半端なかった。
時計の針を進めよう。11/18のこと。
車検が12/20満了になるのでDに予約の電話を入れた。
電話に出たのはあまり知らない女性の方。
「12/14で当営業所はクローズになります。詳しいアナウンスはボルボ・カージャパンから郵送されます。」
は??????
何故担当から連絡がない?Kさんが亡くなって不安だったところに泣きっ面に蜂というか、踏んだり蹴ったりというか踏まれたり蹴られまくったり。
同じ加藤石油系列なら所沢店、そうでなければ国立店か相模原店。
国立に行くより、相模原の方が近い。所沢も圏央道を使えばかかる時間は今と同じくらいか。
抗えない感じ。俎上の魚のよう。
代車の手配で軽なら出せます。と言われ唖然とする。
K玉さんが居たならそんなこと言われるはずないのに、関係値の無い方だとこうも事務的か。
なんとか代車にボルボ車を用意する約束を取り付けて予約を完了する。
少し声を荒げてしまったくらいに、不満と不安、不信感が重なってきた。
電話を切って義弟にLINEする。
「えー?????どうするの?この先のメンテは?」当然の返信。
12/1車検の為にDを訪ねる。
駐車場に着くとサービスのK島さんが駆け寄ってきた。
彼とも割と話をよくする。とても信頼できるスタッフだ。
駐車場で立ち話だがK玉さんが亡くなった経緯やクローズの先のことを話す。
傍には3代目担当も駆けつけていた。
「とりあえず、ショールームに」と促され担当といつもの坂を降る。
シュールームにて。
受付のMちゃんがいつものようにドリンクオーダーを聞きにきてくれた。
「Mちゃんはどうするの?」
「私はここから15分くらいに家があって、移動先に選ばれた所沢は遠いので退職です。」
そうなるよね…
担当と車検、冬足交換の話を終えて彼が切り出す。
「K玉さんのこと聞いてますよね…?」
「自分はまだショックで立ち直れてないです、とても良くしてもらったので…」
聞けば、彼の自宅がK玉さんの帰宅経路にあって、何度も乗せて貰って帰宅していたとか。
K玉さんの車はアルファロメオの旧車でパーツを探しながらメンテして乗ってたのは知ってる。
夏の間は止まりやすいから通勤はベスパにしていたところ、前の車が急停車して追突、後ろからの車に挟まれて潰されて即死だったそう。
8/29の話でボクが最後に会ってから20日しか経ってない。
翌朝、警察が訪ねてきて社員証を見せてこちらにこの方が在籍してますか?と
事故の様子を社員一同知らされたという。
毎日会うわけでないボクですらかなりのショックだったのだから、彼らの気持ちはもっと辛いもの。
この前、K玉さんに会った時に春前にお父さんが亡くなって墓のある輪島まで車で行ったと話してたから、お母さん一人になった。
担当の彼は何度かK玉さんの家に行ったことがあって、お母さんの顔も見てるだけに余計に辛いと話した。
ボクも話しながら泣きそうになった。
彼が新しく担当になった時にK玉さんから
「この業界は初めてですが、真面目で実直なやつなんで期待してやってください」と言われたよ、と彼を励ます。
途中からサービスのK島さんも同席してこの先のことを聞く。
クローズの理由はグループ内では成績がいい店舗だったけど、建物のオーナーと10年目の更新で揉めてのクローズ。
多くの顧客は国立に移ることを選んでるとか。
Dの現在地から国立店は近いけどウチからじゃ結構大変。
担当の彼は家が赤羽なので同系列のVW板橋に移動。
サービスのK島さんは市内に持ち家があるので所沢に通うそう。
「K島さんが所沢なら今後はそちらにお任せしよう」と伝えた。
まずは安心。
代車のXC40を借りて帰る。
12/8、ボルボ・カージャパンからようやく正式アナウンスが来た。
こちらに選択肢があるような事を聞いていたのに、国立の一択で書かれていた。
国立店は高速を使えば30分強で着くが、レビューを見るとボクらには合わなさそう。プラス10分掛かるとしても所沢にしたい。
車受け取りの時にはそう話そう。
12/10おそらく最後の訪問。
ショールームの中は普段なら5台展示のはずが、2台のみ。
店前も普段なら5台展示が3台のみ。12月としてはかなり暖かい日和なのに寒々しく感じる。
受付も知らない女性に代わっていたし、Mちゃんはもういない。
バタバタしてるのが手に取れるようにわかる。
支払いを済ませ、再度所沢に移る意思を伝えたが、社内で共有しますが一応ご自身で
お客様相談室に連絡を入れて欲しいと言われる。
3代目担当の彼とも会うのは最後。12/14閉店翌日からは即VW板橋に出勤するという。
握手をしてDを後にする。
さらばだ!ボルボ・カー八王子。
新車から車検まで20000キロちょいしか走ってない。
ここ最近は出張も多く、全然乗れてない。恐らく来年の6月までは同じ感じ。
メンテナンスパックも更新しないし、車両保険も解約する。
やっぱ地元にDが無くなる不安はすごくある。
正直、愛はかなり薄らいでいるし、揺らいでいる。
お金もないしすぐさま乗り換えは無いだろうけどね。