2021年11月12日
オイルのエマルジョン化 乳化(マヨネーズ)・乳濁液(豆乳)
オイルキャッチをつけたみん友がエマルジョンの洗礼を受けておりますので、少し解説をしたいと思います。ただの分離した添加剤の死骸かもしれませんが・・・・
この時期になると、マフラーから湯気を出している車が増えます。ご承知の通り、燃料は炭化水素でCとHの化合物であり、燃焼により、CはCO2、HはH2Oに変化します。
CO2は話が分かりやすいが、H2Oについては言われてああそうだなという方も多いと思います。このH2Oは当然水の分子であるが、これがエンジンオイルに混ざると色々なことが起きます。
●メカニズム的には、燃焼室は完全密閉されたものではなく隙間がかなり大きい。大きすぎると圧縮不足でパワーが出ないが、適度な吹き抜けが必ずどのエンジンにもあります。
DPF再生時に噴霧した軽油がシリンダー壁を伝わりクランクへ落ち、オイルを希釈する現象より、空気などはズボズボ素通りすることが解るかと存じます。
完全暖気後にピストンリングが膨張し隙間を埋めるのですが、完全暖気前のリングは膨張しておらず、スコスコに吹き抜ける。そこで、燃焼時に生じた水分がクランクへ降りてしまう。
●クランク内部の部品やオイルも温度が低く、水分はクランク内に溜まります。距離を走ってエンジンに熱が入れば、オイルも85℃プラスマイナス5℃となってきますので、溜まった水分は蒸発してブローバイホースへ無事に排出されます。
●オイルキャッチタンクがあれば再度そこで冷やされて露滴化しタンク内に溜まりますが、タンクが無ければ吸気系統へ還流され、燃焼室で燃焼されます。
つまり、完全暖気(油温85℃以上)にならないような乗り方を続けますと、クランク内の水分がどんどん増えてきます。クランク内では部品の運動により、オイルが常に暴れて撹拌されます。そこに水分があり、温度が低い場合は乳濁液化や乳化につながります。
研究では油温が上がらない状態の走行ではSO2と水分がエンジンオイルを急速に劣化させるとありますので、オイルの味が悪くなるなどの影響があるのかと思います。経験がないので解りません。
●ここまでなるのはまれな事で、中古車販売でたまにエンジンを掛けるような場合だと部分的に少量が発生(オイルフィラーキャップの裏)する事がありますが、エンジンに熱が入ると溶けて蒸発して行きます。
オイルの基礎知識を書いたオイル屋さんも25年間で自分のお客では乳濁化は見たことが無いとの事なので、定期的にオイル交換をしているみん友は大丈夫でしょう。
●ちなみにオイルの使用限界値として、水分混入量(体積比)は0.3%(ガソリン車・ディーゼル車)とされておりますのでオイル量5100mlに対して15mlが限界値ということになります。お猪口一口くらいでしょうか。
●昔調べた記憶がありますが忘れてしまいました。軽油50Lを燃やすと、何Lの水が出るのか?燃料中の水素の分子量からしてもとんでもない量であった事は間違いありません。
燃焼室で発生した水分のほとんどはマフラーから正常に排出されておりますが、一部がクランクやオイルキャチタンクへ回っているとご理解願います。エンジンに熱がしっかり入ると蒸発しますので、たまには100キロくらい走りましょう。
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2021/11/12 21:01:35
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