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2023年06月14日

粘度指数向上剤

アッシュフリーのオイルがあればいいなといういいトスを頂きましたので、DPFはアッシュフリーでも堆積物が溜まる話をしておきたいと思います。

粘度指数向上剤はエンジンオイルに欠かせませんが、反面恐ろしい面もあります。今回の話は、皆さんが知らない粘度指数向上剤について考えて行きます。

粘度指数向上剤と聞いて感の良い方は、ははぁ~ん、ポリマーせん断の話しだと考えるとおもいますが、

 ブッブーです

●ディーゼル用エンジンオイルは大体ですが
基油(78.5%)+粘度指数向上剤(8%)+各種添加剤(13.5%)
各種添加剤=清浄剤(5%)+分散剤(6%)+極圧剤(1.5%)+酸化防止剤(1%)
※1991年日本石油中央技術研究所井上清氏のレポートを編集

その他微量ながら泡立ち防止、防錆、流動点降下剤、FM剤などが配合される

現代のオイルではVHVIなど基油の性能が上がり、また、エンジンの進化によりエンジンオイルに求められる性能も格段に厳しくなっており、添加剤の役割が大きくなっています。

●粘度指数向上剤の配合量
基油はVHVIで5W-30くらいのDL-1もしくはC3(SP)をお使いの方が多いと思います。DL-1とかC3では硫酸灰分に目が行きがちですが、今までの検証でスカDエンジンにおいては、DPFを詰まらせる原因物質の主犯は未燃焼オイル由来成分で、本当のアッシュ量は意外に少なそうだという事が解かってきたと思います。

・普通W-30だと動粘度は10.5くらい。ではVHVIの動粘度は?世界の50%位を占めているといわれるSKルブリカンツ(韓国産VHVI)のYUBASEという製品がVHVIで、国内産のエンジンオイルのVHVIはほぼほぼこれかと思います。


・9種類の内、どれかを使ってVHVIオイルを作るのですが、YUBASEの4を使って動粘度10.5のDL-1を作るとすると、単純計算上、18.5%ほど粘度指数向上剤を使用する事となります。
※YUBASEの4:4.2cSt、粘度指数向上剤:600cStで計算
※粘度指数向上剤は色々ありますので、オイル屋さんが何を使っているのかは解りませんが、想像で600cStの物を使ったとしました。

★VHVI(81.5%)+粘度指数向上剤(18.5%)・・・これに他の添加剤が添加されている感じでしょうか。
※計算はTemperamentLube製の簡易版で、ワコーズのブレンディングチャートとは微妙な違いがありそうです。

●高温特性 ここからが大切な情報
VHVI基油は燃焼室等で高温にさらされますとほぼ蒸発するようですが、粘度指数向上剤は7%がドロっとした粘着状の炭化物となるとのことです。これが、非常に燃えにくい炭化物でEGRクーラーやDPF閉塞を招く主犯であり、DPF閉塞のアッシュは共犯くらいの位置づけでしょうか。


・ふぃでぃっくさんのインジェクターの軸が茶色の粘性の高いものが付着していたとあり、燃料由来成分説を唱えましたが、粘度指数向上剤かもしれませんね。高分子の炭化水素の成れの果てですので、もしこちらだとフューエルワンなどPEA系かもしれません。

・VHVI基油の高粘度オイルW40とかW50は、YUBASEの8J位だと期待しますが、いずれにせよ、W30より大量に粘度指数向上剤が使用され、その内7%程度がDPFやEGRクーラーにとって危険な物質であるとの認識は必要となります。

・実際のDPFにまわる量は微々たるもので、長い時間を掛けて蓄積されるものなので、即どうすべきかの対策は無く、当面オイルキャッチで対策するとか定期的にDPFクリーナーで強制燃焼を行うのが正攻法でしょう。

・シェルルブリカンツの話が傑作で「粘度指数向上剤の添加量の少ないオイルを選べ」とあるがユーザーにそれが解るすべはありません。

・こういう事を踏まえてオイルの錬金術でほぼノンポリマーオイルの実験をしましたがお金がかかりすぎるので残念ながら継続できません。研究としては成功、コスト的に成立しないという事です。

●PM中のDPFを閉塞させる要因物質

シェルルブリカンツの資料を見ますと、硫酸ミストとアッシュはPM時点では分かれていますがDPF内では反応してCaSO4となって行きます。

①CaSO4  :38%
②スス・カーボン:41%(普通のススと粘度指数向上剤の死骸)
③未燃焼潤滑油 :25%(通称黒マヨ)
④未燃焼燃料  : 7%

これは燃焼により発生したPMの成分で、DPFに入っていきますが、DPF再生を経て燃焼したり変質していきますので、DPFの堆積物とイコールにはなりませんので、くれぐれも誤解しないように。

・①はどうやっても燃えません。②のススは燃焼します。②のカーボンの一部は粘度指数向上剤の死骸で燃えません。

・③と④もDPF再生で蒸発したり一部が燃焼するでしょうが、黒マヨから水分や油分の軽質分が抜けてドンドン燃えにくい成分が残り、堆積して行くものと思われます。

・粘度指数向上剤の死骸と黒マヨの死骸は早い内ならDPFクリーナーの強制燃焼である程度燃焼できると考えております。

・DPF再生促進剤などがありますが、成分中のセリウムやFeは低温で酸化触媒の活性を行うだけで②のススしか燃えませんので大した意味は無く、DPF再生時にエンジンを3速2250rpmでDPF温度を650℃以上に上げる方がよろしいかと思います。あまり問題となったという情報はありませんがセリウムとFeは使用量に応じてDPF内に堆積するようです。

●まとめ
良く知られたアッシュ以外にもDPFに堆積していく物質は多いので、そこだけに注意をせず、全体を通してオイルの銘柄やオイル管理、オイルミスト対策が必要という事です。

・ちなみに低アッシュのDL-1は清浄剤濃度が低いのと塩基価が低いため、汚れやスラッジが溜まりやすく、また、エンジン保護性もオイルとしては低いのでロングドレンはできません。

■参考情報
スタンダード石油(YUBASE)
https://www.ssoh.jp/mobil/baseoil/group3/

シェル ルブリカンツ ジャパン(粘度指数向上剤)
https://shell-lubes.co.jp/lubes-grease/lubes-technology/tech-crt/1128/
ブログ一覧 | エンジンオイル | 日記
Posted at 2023/06/14 23:43:06

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この記事へのコメント

2023年6月15日 6:10
おつかれさまです♪
オイルのお話はむずかしい反面奥が深いですね。
結局はDPF堆積物、「溜まれば洗え」が正解かなぁとも思えます。
気軽に洗える方法があるのに広めることができないのは悔しいですね。
洗浄液も大丸DPFクリーナー、日本油化工業ハイカーボン、サンエスメタルクリーン、そして記事にはしてませんがユニゾールに代わりウルトラオレンジクリーナーの4種がレポートにもある堆積物の前段階、オイル由来未燃性物質にそれぞれ対応しそうです。

インジェクター洗浄もコツさえ掴めたら気軽に行えるんですけど、これも広まりそうにない。
KE復活のキーがそろっているのに扉は開かないのはもどかしいです。

しょうがないっちゃしょうがないんですけどね。
コメントへの返答
2023年6月15日 8:37
作業スペースの万力いいですね。あれがあると大違い。

みん友は車つながりですが整備が趣味の人はほぼ居ません。

またマンション暮らしが多く洗車すら苦労します。
戸建住宅でも倉庫や作業場がなく、自宅で出きることは少ないでしょう。

昔は車改造を生業とするショップが有り、改造車がいっぱい止まっており、好き者がたむろしていましたが、もうほとんど見ないですね。

車とのかわりかたが時代によりかわって来ています。

それぞれが自分の環境において出きるレベルの事をするだけで良いのです😋
2023年6月15日 8:02
埼玉さん、お疲れ様です!!

DPFの詰まりの原因もアッシュだけではないとは…

オイルも奥が深いですね~!!
オイル成分や添加剤成分まで考える必要を考えると結局は純正オイルで小まめに交換するのがベターかと思ってしまいます。

それでも着実にDPFに蓄積しているので、
デリカも新型から尿素にしたりと、メーカーも尿素をチョイスする事が多いのでしょうね。

会社のトラックは尿素のUDですが、150万㎞を越えても触媒に関するトラブルは全くありません。
その代わりに尿素のフィルターが結晶で詰まる事はよくありますが…

また、最近のイスズの大型トラックなんかは、尿素とDPFの二刀流だったりします。

DPFと尿素、その二刀流…

そのチョイスにより、エンジン特性まで左右されるらしいので、
トータルでどれが良いのかと思ってしまいます。
コメントへの返答
2023年6月15日 8:17
尿素は圧縮比と相関し、低圧縮低音燃焼のスカDとは相性がいまいちでしょうか。

siromagloさんが2000キロでスカD純正オイル交換しており、粘性物質は見られません。方やこぉさんは高価なビレンザを6000位で交換しネチャネチャの高粘度物質が吸気シャッターバルブ回りに見られましたので、純正をはや回しするのはかなり良いと思います。
siromagloさんは500キロスパンで再生4回で交換している計算になります。
2023年6月15日 20:22
埼玉さん、お疲れ様です!!

2000㎞で交換とは…コスパ面では厳しいところですね~!!

D推奨のシビアコンディション5000㎞、普通で10000㎞では、まるでダメって事ですよね。

もっともっと、スカDと財布に優しいオイルが出て欲しいところです~!!
コメントへの返答
2023年6月16日 11:57
スカDオイルはさいたま市の激渋滞・信号地獄では5000キロ持ちません。私の感覚では2000で終わった感があります。siromagroさんは1700位と言っていました。丁度DPF再生が3~4回くらい掛かって、1回40mlとして160mlの軽油による希釈となります。



エンジンオイルの学術的燃料希釈上限は2%。これは2%以下であれば動粘度や他の性能にほぼ影響を及ぼさない限界値と言われます。160/(5100+160)×100=3.04%



1回40mlも増えるのか?個体差はあるとおもいますが、オイルをHレベルきっかりに合わせ、DPF再生10回(3000~5000キロ)でどんだけ増えたのか測る。Hと×の間が1センチほどで1000mlらしいです。テイクさんが測ってたしか40mlだと言っていました。

話を前回の貴金属について戻すと、プラチナやパラジウムの貴金属はDOC(酸化触媒)に使われます。プラチナは耐酸性がありパラジウムは耐酸性がやや弱いようです。私が言っているのはDOCの貴金属ではなく、DPFの方です。貴金属ではなく希土類金属と言うのが正しいのかもしれません。



DPF貴金属?希土類金属?の話は以下マツダ技術報告で確認してください。

スカDのDPFはかなり独特ですね。



https://www.mazda.com/contentassets/ca8528da3716443289911272a04795d1/files/2015_no043.pdf
Zr-Nd-O Prとなっており



・Zr ジルコニウム(安定)

・Nd ネオジム(酸に溶ける)

・O 酸素

・Pr プラセオジム(酸に溶ける)



自分が使ってみようかと思い調べたDPFクリーナーにギ酸が配合されている物があり、pH的には強酸の部類で、他の薬剤成分と混ざってかなり薄くなっているとはおもいますが、スカDのDPFクリーナーとして定期的に使用するにはどうかと思います。
2023年6月16日 21:10
埼玉さん、お疲れ様です!!

それは厳しいところですね!?

小まめな交換以外には、
オイルパンのディープ加工とかコスロン併用とかが、真っ先に頭をよぎりますが、

軽油とオイルを分離出来ないかな!?と思ってしまいました。

DPFと触媒は別物だったのですね!?

てっきり…触媒=DPFで捕獲したアッシュを燃焼させていると思っておりました。

それにしても希土類とは意外な素材です、高温に強いのでしょうか。

しかし、ジルコニウム以外、酸に弱いという事は酸化をするという事なので…
あんな高温になるところに!?と不思議です。

そして、世の中の洗浄剤は酸性のものが多いのが相場なので…

もしかして、マツダはアッセン交換で洗浄なんて考えてない!?

ならば…アルカリ性の洗浄剤はどうかな!?なんて短略的に思ってしまう次第です。

アルカリ性にも弱かったりして!?



コメントへの返答
2023年6月17日 7:15
希釈対策はこれというのがありません。やはり交換でしょうか。mPAO150を追加投入すると踏ん張りますが、オイル交換した方がコストは安いですね。残念!

液相の酸には溶けますね。酸化するで正解なんです。
変化の化学式をみると酸化して酸素を取り込んで、放出する。

●マツダ技報では
>酸素イオン伝導材料の更なる酸素交換能の向上を検討した。酸素交換に伴うPM酸化反応の反応式は,
① O2+ 4e-→ 2O2-(酸素の取り込み)
② C+ 2O2-→ CO2+ 4e-(酸素の脱離に伴うPMの酸化)
で表されるが,反応式で示されるように,電子の授受が必要となる。そこで,酸素イオン伝導材料に高い電子伝導性を付与することがPM酸化反応促進につながると考え,電子伝導性を高める元素として,Prの添加を検討した。

耐熱性は解りませんが、DPFの温度は6~700℃くらいなんで大丈夫でしょう。

ちなみに私はpH10のアルカリ剤で洗浄しました。
2023年6月17日 20:10
埼玉さん、お疲れ様です!!

やはり、アルカリ性洗浄剤となった訳ですね!?

あとは効き目ですよね。
コメントへの返答
2023年6月18日 0:20
今日はオフ会暑かった。💦のびてます。5万キロ走行改良型の吸気シャッターバルブ見ましたがやはりすすは少し溜まりますね。siromagloさんの状況とそっくり似ていました。新型のピストンリングの効果なのかオイルの回りはごく少量で、ツキイチオイル交換しているとの事。
まぁこれと言うのは思いつきませんが、インジェクターがタコにならなくオイル交換をマメにしていれば相当な距離いけますよ。後タンクでオイルミストやっとけば安心でしょう。

プロフィール

「@ぐれんふぃでぃっく30Y さん
こういうのはほんとムズいですね。
正確に機構のポイント部分をトレースしないと上手く機能しないし、接合もなかなかですね😋」
何シテル?   05/22 19:01
埼玉55です。よろしくお願いします。とにかく長距離ドライブするのが好きです。あとCX-5で未踏破の県は沖縄県のみ。 CX-5をKEからKFと乗り継いでいま...
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