2008年01月12日
グレード間の燃費を比較していて、ふと気がついたことがある。AT車の場合、排気量の差がそれほど燃費に影響しないが、MT車の場合はもろに影響するようなのだ。例えば、3.0R/2.0iの比較では、AT車の場合燃費の比は1.2程度なのに対して、MT車の方は1.4もの大きさになる(3.0Rの方は、既に消滅したSpec.Bの値を使った)。2.0Rとの比較ではもう少し緩和される(1.34)が、それでもAT車の場合の比の小ささ(1.12)に比べてかなり大きい。
MT車の方はギア比・減速比がよりスポーティな方向(ローギアードなセッティング)に振られる傾向にあるが、MT車同士の比較だからそれは直接的な理由ではない。むしろ、排気量の比(1.5)がそのまま燃費に反映され、ATの方はかなりその差が丸められているような感じである。
AT車ではエンジン出力をトルクコンバータを介して車軸に伝える。その結果、どんなエンジン特性であっても、トルコンでのロスを除きトルクが増幅された上で車軸に伝えられる。よって、10.15モードが要求する程度の弱い加速なら、トルコンによるトルク増幅を前提としたハイギアードなAT車のギア・セッティングの方が結果的に燃費を向上させる、ということなのだろう。大排気量エンジンには、MTよりむしろATの方が(燃費的には)合っているのかもしれない。
MTの方が車の速度や挙動をコントロールしやすいのは事実だし、ドライバーの技術が如実に反映されるという意味で、プリミティブではあるが「堅実」であるとともに「乗っていて楽しい」ということは確かだろう。しかし、MTに比べてATの方が燃費が悪いとか乗りにくいとかいうかつての“常識”は、文字通り過去のものになったと言えるのではないか。2.0Rの場合も、公称燃費の差はMT/ATでほとんど無いし、速度が60km/h以上でATがいったんロックアップしてしまえば、ATの方がハイギアードな分、燃費は良い(計算上は、ATの方が10%ほど良い筈である)。中低速域でも、5MTのギア比がローギアードに振られている分4ATでのエネルギーロスが帳消しになるような感じだし、ガツンと加速したければ、回転数を上げてトルクを稼ぐことでMTにさほど見劣りのしない加速を得ることも出来る(トルコンの応答遅れや滑り感が嫌だ、というMT乗りの人も沢山居られるのは重々承知しているが)。その意味でATの方が“守備範囲が広い”と言うのは、少し言い過ぎだろうか。
ところで、私の2.0Rのエンジン回転数と速度との関係をもう少しきちんと把握してみようと思い、メーターをチラチラと眺めながら走ってみた。
ざっくりとした数値だが、ロックアップしない60km/h以下の領域において、速度10km/hあたりの回転数は1~4速でそれぞれ 1000, 600, 400, 300 rpm といった感じであった。4速はなかなか計測が難しく、ちょっと速度が上がるとすぐにロックアップしてしまうので不正確な数値だが、いずれもギア比をほぼそのまま反映していると言って良い数値である。
一方、60km/h付近でのロックアップ有り無しの違いによる回転数の違いは結構顕著だった。実際、50km/hで走っても60km/hで走っても、後者ではロックアップが掛かる関係上どちらもエンジン回転数は1500rpm程度となった。理屈の上では、ヘタにゆっくり走るとトルコンでロスしてかえって燃費が悪くなるということになる。
少ない計測値から正確なことは言えないが、60km/h付近における4速走行時のトルコン・ロスは、計算上は実に15%程度にも及ぶことが解った。ただし、1,2速では入力の大きなトルクと高い回転数が効率の高いトルク伝達につながっているようで、車速から求めた車軸回転数をベースにしたエンジン回転数の理論値と、実走行での回転数はほとんど一致していた。3速で速度40km/h以上の領域あたりからロスが目立つようになり、4速でロックアップ寸前の低回転数領域(~1500rpm,50km/h)がもっともロスが大きい。しかし、絶対的な燃料消費量でいえばやはり4速に上げた方が良いようである。Info-ECOモードで乗るとATが概ねそのようなコントロールになっていることが解るから、メーカーもさすがによくATの動作をチューニングしているといったところか。
それにしても、もっと低い速度(例えば40km/h以上とか)でもロックアップするようにすれば大幅な燃費の改善に繋がると思うのだが、そうできない理由があるのだろうか。日本の一般的走行パターンだと、ロックアップしたりしなかったりが繰り返されてかえって燃費が悪化するとか、それが乗り心地に影響するとか、そういった理由があるのかもしれない。しかし例えば、ナビの地図情報を参照しながら走行状況をインテリジェントに学習して、ロックアップする・しないを判断するようにしたらどうなのだろう?などということを、素人ながら考えてみたのだが、如何だろうか。
Posted at 2008/01/12 01:03:49 | |
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雑談 | クルマ
2008年01月09日
そういえば、車や趣味の本・雑誌を出版していた山海堂が、昨年末に事実上倒産、業務停止したという話を最近知った。結構ショックであった。若かりし頃“チャリダー”だった頃からお世話になった本達の出版社であり、最近でも「月刊 Rally X 別冊・エンジンテクノロジー」という隔月刊の雑誌(滅茶マニアック!)を定期購読していたのに・・・。
スバル乗りになった記念に、先月「スバル水平対向エンジン40年の歴史」という本を買って読んだのだが、これも山海堂からだった。他にも何冊か車の技術関係の本を蔵書として持っている。こんな面白い(マニアックな?)本を沢山出し続けてきた出版社が、このまま消えていってしまうのだとしたら大変残念である。店頭在庫で買いたい本があったら、今のうちに買っておかなきゃ・・・!?
Posted at 2008/01/09 01:09:45 | |
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雑談 | クルマ
2008年01月09日
Info-ECOモードにしていると、ATは積極的にシフトアップをしていき、4速に入って1500rpmあたりを維持すると、速度計がほぼ60km/hを示す。ATのロックアップが働くのがちょうどこのあたりの速度だそうだから、エンジンとタイヤが「直結」しているかどうか、メカニズム的に検証してみた。
4ATの4速ギア比:0.694、最終減速比:4.444を用いると、総合ギア比は3.084 となるから、エンジンが3.084回転する度にタイヤが1周する計算になる。タイヤの周長をタイヤサイズ215/45R17inchから計算すると1.964mとなるから、これにエンジンの回転数1500rpmを使って計算すれば、
1分あたりの車軸回転数 * タイヤ周長 * 時間 = 時速
1500rpm / 3.084 * 1.964m * 60min = 57.3km/h
という計算になるから、確かにほとんど「直結」しているとみてよさそうである。
この計算を応用して、他のグレードと燃費を比較してみた。2.0i/2.5iの場合、同じ4ATでも最終減速比が4.111と下げられているので、同じエンジン回転数なら、単純に言って減速比の逆比分速度が余計に出る。その分燃費もお得、ということになる。その比率は 4.444/4.111=1.08 であり、同回転数でのガソリン消費量が同じであれば8%ほど燃費が良いということである。この比率は、10.15モードの公称燃費14km/L(2.0i)と13km/L(2.0R)の比率とほぼピッタリ一致する(数値はいずれも4AT車のもの)。つまり公称燃費の差は、10.15モードのような日常走行と比べれば超が付くほどの低負荷条件では(ATギアが同じ構成ならば)最終減速比でほぼ決まっているようなもの、ということになろう。
実際には、2.0Rはハイオク仕様だからハイオクとレギュラーの価格比(160円/150円=1.067)も考慮に入れないといけない。結局、全く同じ走り方をすれば2.0iの方が2.0Rより15%ほどフトコロに優しい車、ということになる。逆に言えば、15%分は“高負荷”時の走行性能とスポーツ走行に振った走り方ができる“愉しみ”のため、ということであろう。
2.0Rとエンジン性能がほぼ同等かそれ以上の実力を持つ2.5iと比べると、10.15モード燃費は全く同等であるから、レギュラー仕様の2.5iの方が7%ほどフトコロに優しい、ということには変わりない。最終減速比の違いを念頭におくと、2.5iのエンジンは2.0Rと比べてより低回転で速度が出る筈だ。それでモード燃費が2.0Rと全く同等ということは、低回転でも太いトルクが出て十分走れる分、低回転でも燃料消費を余計にしている、ということを示している。2.0RをInfo-ECOモードで運転していて1500rpm付近のトルクの細さがまどろっこしく思うことが時々あるので、2.5iならそのあたりの不満はかなり改善されているのではないかと思うが、実用燃費の違いも含め、実走行での比較をしてみたいものである。
2.5iというグレードのエンジンは2.0Rと比べてトップエンドの馬力もほぼ同等だし、Urban Selectionの豪華な仕様も魅力で、これからレガシィのNA版を買おうという人には(4ATでよければ)かなりオススメのグレードだと思う。もし、2Lエンジン車と2.5Lエンジン車の維持費の差=毎年の自動車税の差5500円が気になるなら、レギュラー/ハイオクのガソリン代の価格差約10円/Lが年間走行距離と比較してどうかということを考えればいいだろう。単純に言って、年間概ね5000km以上走る人なら2.5iの方が燃料費は安く、お得になると思われる。
実は私自身、この2つのグレード選択は最後まで悩んだ。にも関わらず敢えて2.0R Spec.Bを選んだ理由は、
1) ビルシュタイン製の足回り/Spec.Bのセッティング
2) わずか20kgではあるが、車重(ノーズ)が軽い
3) 純正ホイールが特別設定(ガンメタ塗装仕様)
4) 高回転まで回るフィーリング・レスポンスの良さ
5) 高めの減速比がもたらす適度なトルク感
というところに魅力を感じたからだが、ほとんど趣味の世界だと思う。(笑)
スバルとしてはおそらく、2.5i/2.0iは一般向け、2.0R(Spec.B)はごく少数の趣味人向け、と積極的に味付けを替えているのだろう。2.0R Spec.B はビルシュタイン足の値段の高さが車両価格に跳ね返っているのだろうけれど、2.0Rをもっと売りたいのなら、もう少しオプションを豪華仕様にしてもいいような気はする(せめて、キーレス・スタート/イモビライザくらいはメーカーOPとして選べるようにしてもらえたら・・・)。まぁ、この2.5i_U.S.の超お買い得な価格設定からすれば、2.0R_Spec.Bはもはや“ほとんど売る気がなくなった”と見ていい (5MTが欲しいマニアな人だけ買えばいい)、 ということなのかもしれないけれども、そんなグレードで4ATを選んでしまった私っていったい・・・。(苦笑)
Posted at 2008/01/09 00:14:29 | |
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雑談 | クルマ
2008年01月08日
POTENZAシリーズにはいくつか型番の異なるタイヤがあるが、私のレガシィには納車の時点で050Aという型番が刻印されたタイヤが付いていた。メーカーのウエブサイトにはAというサフィックスの説明はどこにもないが、調べたところ、回転方向指定・左右対称パターンと左右非対称・回転方向指定無しパターンとを区別する記号だということがわかった。ずいぶんドラスティックな違いなのに、型番の違いはサフィックスだけ、ということらしい。
実はこのドラスティックな変化は、REGNOシリーズでもあった。GR-8000では回転方向指定タイヤだった(従ってパターンは左右対称)のに、GR-9000になって左右非対称化され、回転方向指定がなくなった。どうやら、ブリジストン社のハイエンドタイヤはこの「左右非対称パターン」仕様がトレンドのようだ。ただ、REGNOの方は、8000から9000になって改良された点を図示なども含めて随分と熱心に強調しているのに対し、POTENZA 050 の方は本当に「ひっそりと」いろいろなパターンがあるという感じがして、どうも腑に落ちない。そんなことからか、Aの方が汎用市販品で、サフィックス無しの方が全てメーカー指定の専用品であるかのような誤解をしている人もいるようだけど、現行の050に関しては、国内流通市販品はすべてAタイプであり、レガシィも採用当初からAタイプを使用しているようである。
ただ、050Aのさらに後につくサフィックスにも何種類かあって、流通市販品は1Zなどの記号がついているが、レガシィの純正ではCZ とか EZ などが付いているそうだ。BS社が車メーカーの要望に合わせて乗り味(や卸し売りの値段)を細かくチューニングをしている、ということなのであろう。
さてこの050Aの乗り味だが、「クルージングのためのハイパフォーマンス・ストリートタイヤ」という宣伝文句通り、タイヤが路面に食いつく感じがしっかりあって、それでいてゴムが硬すぎるということもなく、ドライバーとしての私はとても気に入った。前車でPOTENZA GIIIを履いていた時期のフィーリングに近く、ウエット時の安定感はそれ以上であることは間違いない。ただ、前車の最終タイヤが全輪REGNO(前:GR-9000,後:GR-8000、それ以前は全部GR-8000)であったが故に、静粛感が無くなったのはちょっと残念であった。
前車の経験では、REGNOほど静かなタイヤは他に無いのでは?というくらい本当に静粛性の高いタイヤで、それと比べれば、どんなタイヤを持ってきても多少は五月蠅く感じてしまうであろうことはやむを得ない所である。だが、キャビン内の気密性が比較的高く静かなレガシィにしてこれだけのロードノイズが進入してくるというのは、よほど五月蠅いタイヤに違いないという気がする(あくまでもREGNOと比較して、だが)。サスペンションがどこまで馴染んでくるかにもよるが、もしタイヤを交換する時期が来たら、次もPOTENZAで行くのか、それともREGNOに替えるかで、結構悩みそうな気がしている。
REGNOはREGNOで妙にぐんにゃりする時があったり、切り出しが曖昧になって舵角も増えてしまったりと、気持ちよハンドルを切るには今ひとつ物足りないタイヤであることは事実だし、その反対に050のレスポンスの良さはかなり高いレベルである。GIIIは意外とドライ時のレスポンスが悪く、どうせこんなのなら・・・と当時思ってREGNOに替えたのだが、静粛性と引き替えに、やっぱり何か大きなものを失ってしまったような気がしていた。だから、今程度のロードノイズなら我慢してもいいかな?などと、年甲斐もなく“走り”の方につい意識を向けてしまうだが、そういうのは「いけないこと」なのだろうか・・・。(笑)
Posted at 2008/01/08 01:31:06 | |
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ドライブ・フィール | クルマ
2008年01月06日
慣れなのか、単に馴らしが進んできたのかは不明だが、当初硬い足回りだなーと驚いたSpec.B足も、1000kmを超えてきたあたりからかなり馴染んできた。同乗者の数や積載重量によっても異なるが、かなりいい感じの挙動をするようになっている気がする。高架路盤の継ぎ目についてはほぼきにならなくなってきた。ただ相変わらず、片輪だけがはまるような路面の凸凹に対してクルマがダイレクトに反応する時は、あまり強く出ないロールとの引き替えにガクっ!と衝撃がくる。まぁ、これはスタビライザを強化していた前車の挙動とよく似ていて、ある意味違和感は無いのだが。
ところで今日の夕刻、ほぼ真っ暗な峠道をハイビームとロービームを切り替えながら走っていたら、途中から切り替えるのをうっかり忘れてしまっていたらしく、あるところで立て続けに対向の3台からパッシングされてしまい、ようやくハイビームにしっぱなしであることに気づいて慌ててローに下げた。情けないことに、1台目のパッシングは意味が分からず、2台目と3台目に続けてパッシングされて「あっ」と気づいた次第。こんなことはいままで一度も無かったのだが、どうしちゃったんだろう。ロービームがHIDランプで色温度が高く明るいため、少し明るいところに来るとハイビームの電球色が解りにくくなり、結果的に気づかなかったのかなと思うが、どうもよくわからない。そのうち、ハイビームの電球をより白に近いものに替えたいと思ってはいたものの、滅多に使わないし、第一もったいないという気がして暫く様子見のつもりであったけれど、早々に替えちゃおうかな・・・。
そういえば時々、街中でハイビームのまま走っているクルマを見かけるが、そういうクルマの前をうっかり走るとまぶしくて仕方ないのだけれど、あれって運転している人は単に気がついていないだけなのかな?私は、何か意図があってそうしているのだと勝手に解釈して、そういうクルマとはなるべくお近づきにならないようにしていたのだが・・・。(苦笑)ま、いずれにせよ、ビーム方向には以後気をつけようと思う。
Posted at 2008/01/06 23:56:49 | |
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ドライブ・フィール | クルマ