第44回東京モーターショー2015
2年に一度開催される自動車の見本市。今回は一般公開日の2日目に東京ビックサイトの会場へ行ってきました。
一部の報道でクローズアップされた「自動運転」。技術の探求という面や、また、そこで得た技術要素を事故防止に応用できるという点は理解できるのですが、寝てても目的地に着いてしまうとか、それはもう電車やバスを利用すればいいことで、自家用車を使う意味はなくなるような気もします。
もちろん展示車はそのような浮世離れした車ばかりではなく、量販の新型車やほんの少し先を見据えた車など見どころはいろいろ。
ここでは、その中からごく一部ですがごく個人的に興味があった車を中心に、ピックアップしました。
まずは東館から順番に周って行きます。
最初はこういう機会でないとじっくり見られない商業車から。
いすゞ 新型エルガ 大型路線バス
外観は旧型のイメージを踏襲しているようにも見えますが、ホイールベースを伸ばし中扉を後ろに寄せることでノンステップエリアが拡大されています。
AMT 自動変速式マニュアルトランスミッション
かつてのNAVi5から、いすゞはマニュアルトランスミッションを用いた自動変速の分野に熱心でしたが、新型エルガではついにこのAMTまたはトルコンATによる2ペダルのみとなりました。
運転席
この車はAMTで、操作レバーのパターンはR-N-D。D(ドライブ)レンジではATのマニュアルモードと同じく、+と-による手動シフトアップ/ダウンも可能。
左側のフロントタイヤハウス上にある「箱」は燃料タンク。
今までは前中扉間の床上に設置されていましたが、この場所に移すことでノンステップエリアの拡大を図ったとのこと。
ただ、乗客にとっては"特等席"だった最前席はここに設置できなくなりました。
こちらも旧型のイメージを色濃く残すリアビュー
ただし、リアに搭載されるエンジンは大幅にダウンサイズされており、ターボ過給で出力アップされてはいるものの
直列4気筒 5193cc。
かつてのマイクロバス並みなのはびっくりです。
TX80型5トン積みトラック
傍らでは、昭和20年に製造された古いトラックが、きれいにレストアされ展示されていました。
そして何より、この
「いすゞのトラック」の歌のCDは収穫でした。
ブースでごくごく簡単なアンケートに答えるともらえます。
三菱ふそう「スーパーグレートV スパイダー」
赤黒のカラーと、4基も搭載された「ナックルブームクレーン」が大迫力。
4基のクレーンを同時に操作できるの?と思いますけど、それでも浮世離れしたコンセプトカーより現実味を感じますし、ショーモデルとして華があっていいのではないでしょうか。
日野レンジャー ダカールラリー仕様
実際にダカールラリー2014に参戦した車だそうです。
日野 FUEL CELL BUS
水素を燃料として自ら発電を行いながら走る燃料電池バス。
水素タンクと共に、発電した電気により充電がなされる電池を搭載しているとのこと。
車内。床が嵩上げされた車体後半のエリアですが、後輪タイヤハウス上の座席配置が巧みです。
今年7月に都内で燃料電池バスの実証運行が行われていましたが、この車は純粋なショーモデル。
それゆえ、自転車を載せたトレーラーを引っ張るという演出も見られました。
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この後は乗用車の展示へ
メルセデス・マイバッハ S600
ベンツSクラスのラインアップに組み込まれたマイバッハ。
それでも、依然として超高級車であることには変わりありません。
メルセデス・ベンツ C220d ステーションワゴン
ついに日本導入された、ベンツCクラスのディーゼルモデル。
日本でも大型商用車では普及している、尿素水を用いた排気ガス処理を採用。
ガソリンモデルのC200よりトルクフルで燃費もいいですが、約100kgの重量増加と25万円高の価格をどう捉えるか。
VWのディーゼル不正が世間を騒がせている絶妙なタイミングですが、その事がかえってメルセデスへの追い風となるのでしょうか。
こちらは同じCクラスでも、AMGのホットモデルC63。
C63と言っても6.2リッターV8を搭載していたのも今は昔で、4リッターV8のツインターボに。
しかし、今やこのC63にもアイドリングストップ機能が付いてるというのは、ある意味すごい皮肉に思えてならないです。
BMW 435i
「BMWの4シリーズ」と聞くと「何?」と思いますが、実物を見るとなかなかスタイリッシュな4ドアクーペです。
3シリーズには少し背高のGT(グランツーリスモ)がありますが、こちらの方がかっこよく見えるかなと。
その435iのインテリア。
グレーがかった白と黒の組み合わせでスポーティーな感じです。
ホンダ 新型NSX
長年のブランクを経てついに登場。
V6エンジンをミッドシップに搭載、3モーターからなるハイブリッドシステムと組み合わされます。
しかしNSXさえもハイブリッドというのは時代の趨勢なんでしょうか。
リアビュー。
全体のフォルムは、前回のモーターショーで展示されたプロトタイプとあまり変わっていないようです。
カッコいいですよね。
ホンダ クラリティFUEL CELL
2008年に登場した「FCXクラリティ」の後継にあたる燃料電池自動車。
「FCXクラリティ」同様に、まずは官公庁や企業向けのリーズ販売からスタートするとのこと。
まだ実験的要素は残ってるものの、航続距離や走行性能などは日産リーフよりも現実的であるような気がします。
新型 シビック TYPE R
新開発の2.0L VTEC TURBOエンジン搭載。
NAエンジンにこだわっている印象が強かったホンダも変わりましたね。
欧州モデルの5ドアボディは、一見すると3ドアか?とも思える個性的なスタイルです。
スバルWRX STI S207
エンジン、サスペンション、ブレーキなど各部に専用のチューニングを施したコンプリートカー。
限定400台で受注期間は2016年3月6日まで…
しかし、10/29の受注開始から4日目のこの日にはすでに完売
販売終了の告知がされていました。
ランエボXが生産終了となり、スバルWRXが国産スポーツセダンとしてほぼ唯一の選択肢となった今、特にこのS207は600万円もする車ですが欲しい人は買うんでしょうね。
S207やSTIとまでは行かなくとも、少しマイルドな位置づけのWRX S4には魅力を感じてます。
インプレッサ 5ドアコンセプト
インプレッサの次期型を示唆しているのでしょうか。
ただ、スバルはいつもコンセプトモデルはとてもカッコいいのですが、生産型になると「どうしてこうなった感」が付きまとう印象が…
トヨタブースのステージ上
手前からコンセプトモデルのS-FRと、間もなく販売を開始する新型プリウス。
S-FRをかつて「ヨタハチ」と呼ばれたトヨタスポーツ800とイメージを重ねる向きもありますが、個人的には「ヨタハチ」とは趣きが異なる印象です。
ランドクルーザー豪州仕様。五大陸走破プロジェクトで使用されたワイルドな姿で展示。
背後に見えるのは「YARIS WRC テストカー」
日産NV200タクシー
西館の日産ブースではなく、東館の日産車体ブースに展示されていました。
セダン型のセドリック営業車は生産終了し、タクシー仕様車として事実上の後継にあたるのがこの車。
街中でもたまに見かけるようになりましたが、このまま定着するんでしょうか。
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引き続いて西館へ移動
ビックサイトの東館と西館や連絡通路で結ばれているものの離れて不便な構造。
なんと今回は、東館と西館の間で無料シャトルバスが走ってました。
NISSAN GRIP Z ConceptとNISSAN IDS Concept
日産のコンセプトカー2台。
赤いGRIP Zはクロスオーバタイプのハイブリットカー。もう一台のIDSは自動運転のコンセプトカー。
NISSAN Concept 2020 VISION gran turismo
日産ブースでひと際目を引いた、ど派手なスタイルのスポーツカー。
しかしその実態はバーチャル世界のために、デザイナーが自由な発想でデザインしたものとのこと。
実際の車に反映すること可能性は皆無に近そうです。
マツダ「越 KOERU」
クロスオーバーのコンセプトモデルですが、その形には現実味を感じます。
MAZDA RX-VISION
次世代ロータリーエンジン「SKYACTIV-R」の搭載を想定したコンセプトカー。
ロータリーエンジンのFRスポーツカーということで「次期RX-7」を意識したモデルか?と噂されていますね。
リアビューもショーモデルならではの大胆なスタイル。
ロータリーエンジンの開発と合わせ、現実化するとしてもまだしばらく時間がかかるのでは?という印象でした。
ただ、ロータリーエンジンはマツダのアイデンティティなので、可能であれば是非とも復活させて欲しいものです。
傍らには、初代コスモスポーツが展示されていました。
45年以上前の車とは思えない独創的なデザイン。
世界初のロータリーエンジン車はアウディの前身にあたるNSUが発売しましたが、ロータリーエンジンが安定して量産できるようになったのはこのコスモスポーツからではないでしょうか。
新型アウディA4
今回の東京モーターショーで日本初披露。
スタイルはキープコンセプトですが、先代より少し伸びやかになった印象です。
プラットホームを一新して100kg以上の軽量化がなされたとのこと。
VWパサート R-Line
大柄なセダンですが、搭載されているのはダウンサイジングされた1.4リッターのターボエンジン。
運転席に座ってみましたが、室内も広くて楽ちんです。
ただパワースペックは必要十分程度なので、高速道路をゆったりクルージングするにはいいのかもしれません。
最後はポルシェ。
ニュー911カレラ4Sとカレラ4カブリオレ。
スバルサンバーが"ハイゼット"になった今、おそらく唯一無二のリアエンジン4WD。
割と飛ばし気味で会場を周ったつもりでしたが、一通り周って気づくと18時の閉館時間間際に。
日も短くなり、外へ出ると周囲はすでに暗くなっていました。