
ジャーナリストトークなどで,気になった話題をまとめます。
ジャーナリストトークは,石井 昌道さんでした。エコドライブトレーニングの講師や,省エネルギーセンターでのエコドライブの検討に参加されてます。省エネルギーセンターでは,様々な実験を行い,データを蓄積しているそうです。
(1) 燃料カット
「燃料カットを有効に使える状況は,意外に少ない。」
「有効に使える例として,燃料の量に制限があるレースで,ラップタイムを落とさずに,燃料も節約したい様な場合,ブレーキをかける前に,早めにアクセルオフをして,燃料カットを効かせるのが,燃費に有効で,ラップタイムもそれほど落ちない」。
「燃料カットを継続するために,シフトダウンしながら,回転を維持するのもあまりお得ではない。シフトダウンする場合,クラッチを切って,ギアを入れて,クラッチをつなぐという動作になり,クラッチを切った瞬間,アイドリング分の燃料噴射が始まり,クラッチをつなぐ瞬間には,回転合わせのために,燃料を吹く(ブリッピング)し,クラッチが繋がった後も,しばらく燃料噴射は継続するため,結構燃料を使ってしまう。」
これ,競技でやっていましたが,それほどお得ではなかったようです。確かに,ニュートラル走行後にDレンジに戻したときに,しばらく燃費計が燃料カットの状態(--.-km/L)の表示にならないことがあります。
Dレンジで,減速時のシフトダウンを車に任せるのもありともおっしゃってました。ブレーキをかけると,適当な回転数で,シフトダウンしてくれます。(燃費を考慮して,燃料カットも継続される場合があるようです。)
その2の作戦編でも書きましたが,そもそも,低いエンジンの回転数(1100〜1300rpm)を使って走っている場合,アクセルオフしても,燃料カットが働かない場合も出てきます。
ということで,ある程度の減速が必要となった場合(信号が変わった場合など),燃料カットが有効に使えるということになります。
(2) ニュートラル走行
「燃費のためには,ニュートラル走行が有効な場合が多い。」
「エコランの競技会などでは,ある速度まで加速した後は,ニュートラルにして,惰性で進み,あるスピードまで落ちたら再加速するというのが,一番燃費が良いとされている。」
エコランの競技専用車両(スーパーカブのエンジンを積んだものなど)は,車輪が細く走行抵抗が小さく,空気抵抗を極限まで減らしており,惰性でかなり進めるのではないかと思いますが,一般車両でも同じことが言えそうです。
また,ワーゲンのTuaregのハイブリッドでは,滑空(コースティング)モードがあり,アクセルオフした後,エンジンもモーターもクラッチで切り離されて,ニュートラル走行状態にして,燃費を稼ぐとのこと。
(3) ふんわりアクセル
省エネルギーセンターの推奨するエコドライブ方法では,ふんわりアクセルと,アイドリングストップが推奨されています。省エネルギーセンターでは,自動車の走行において,どの部分でどれくらい燃料を消費しているかを調査しています。(
調査結果)
この中で,停止時と,発進加速時の燃料消費が大きく,この部分を改善すると効果が大きいため,アイドリングストップとふんわりアクセルにフォーカスして,啓蒙活動をするということにしたそうです。
ふんわりアクセルは,普通の感覚より,動き出しの際のアクセル開度を小さく(クリープを利用するなど),その後は燃料消費が上がらないぎりぎりのアクセル開度で加速するというのが,本来の考え方だそうです。加速時間を長くとっても,燃料消費はほとんど変わらないため,早く車速を上げた方が良いということでした。
世の中には,ふんわりアクセル=ゆっくり運転と勘違いされてしまっているのが残念とのことでした。
(4) アイドリングストップ
エンジン再始動に必要なガソリンは,アイドリング5秒分に相当。5秒以上アイドリングするのであれば,アイドリングストップした方がよい。(スターターでの電力消費も本来は検討に入れる必要がありますが)
パリサロンでは,フォルクスワーゲンもアイドリングストップと減速時のエネルギー回生(発電機を回す)を発表しており,今後,市販車に搭載されて行くそうです。
(5) 燃費の良い速度
軽自動車から大型の乗用車(フーガ)をサンプルとして,燃費の良い速度域を実験的に求めています。平均的には,60km/hで燃費が最も良くなるという結果でした。(これもよく言われていることだが,データで示されている)
興味深いのは,小さな排気量の車ほど,速度が上がったときの燃費の悪化度合いが大きく(120km/hで,60km/hの約1.8倍),これに対し,排気量の大きな車は,それほど悪くならない(約1.2倍)とのこと。エンジンが大きく,トルクが大きい方が,速度が上がり,空気抵抗が増加しても,それほどアクセルを踏まなくても速度を維持しやすいということらしいです。(今回の雨で路面の抵抗が増加した場合も車重が重い場合や,エンジンのトルクが大きい方が影響が小さいというのと同じだと思います)。
(6) 最近,(VWの中で)印象に残った車 Golf ブルーeモーション(電気自動車)
「電気自動車がいろいろ出てきたが,車によって考え方がかなり違う。」
「その中でもGolfの電気自動車は,すごく良かった。車としてちゃんとしている。」
「面白いのは,回生ブレーキの強さをパドルを使って4段階に調整できること。」
これは,なるほどと思いました。以前,新型プリウスに乗ったとき,回生ブレーキは,トラックの排気ブレーキのように,通常のブレーキとは別に操作できるのが良いとの感想を持ちましたが,それを実現しています。
電気自動車は,モーターのダイレクトドライブで,変速ギアを持たないため,本来パドルは不要ですが,減速度の調整にパドルを使うのはナイスアイディアです。
また,Tuaregハイブリッドと同様,コースティングモードがあり,アクセルオフで,惰性で進むことができるそうです。この点が,日本の電気自動車と大きく違うところだそうです。日本の場合,回生の効率を上げて,そこでの燃費向上に注力しており,ニュートラル走行のように滑空するというのは,考えていないそうです。エコドライブで,ニュートラル走行が有効だとすると,これを取り入れた方が,トータルでの燃費(日産では,電費と呼ぶそうです)が良くなるのではないかと思います。
(7) その他
・懇親会で,大会委員長に,「ポンピングロスを減らすために,高いギアでアクセルを大きく踏み込んだ方が良い」という意見があるが,本当でしょうかと質問したところ,「低回転域での再加速などでは,アクセルはキックダウンしない程度に踏み込んだ方が,スロットルバルブが開くためポンピングロスが減らせて,燃費に有利」というお答えでした。試してみようと思います。
[追記]・「速く走る,安全に走る,エコに走るというのは,一見,全然別なことに見えるが,結構重なっている部分が多い」周りの状況を把握し,それに合わせた,スピードを決め,ギア,アクセル,ブレーキ,ハンドルを適切に操作するという運転の基本は同じということで,目から鱗でした。
当選しちゃいました。
Polo Comfort line (1.2TSI)試乗 (て言うか、練習)
4位でした。(エコドライブチャンピオンシップ その1)
エコドライブチャンピオンシップ その2(作戦とその結果)
エコドライブチャンピオンシップ その3 (ジャーナリストトークほか)
エコドライブチャンピオンシップ その4 (試乗編)