続々々々・熊本弁と筑後弁の違い

「お父さんはおられますか？」

これを熊本弁に直します。
二種類の言い回しがあるかと思います。

「お父さんなおんなはっですか？」
「お父さんなおんなはりますか？」

※「ん」の後の「は」は「な」に変化します。
※「おられる」は「おんなはる」になります。
※「おんなはる」の「る」は後に言葉が続く場合、促音化します。

これに対する返答です。

前者の言い回し
「おんなはっです。」
「おんなはらんです。」

後者の言い回し
「おんなはります。」
「おんなはりません。（おんなはりまっしぇん。）」

※年配の方だと「せ」は「しぇ」に変化し、伴って促音化して聞こえます。

熊本弁に共通語の敬語を組み合わせると、「です」に続く場合と「ます」に続く場合の二種類の言い回しが現れるかと思います。

「しとっです。」
「しとります。」

「しとらんです。」
「しとりません。（しとりまっしぇん。）」

「ごたっです。」
「ごたります。」

「ごたらんです。」
「ごたりません。（ごたりまっしぇん。）」

「食べよっです。」
「食べよります。」

「食べよらんです。」
「食べよりません。（食べよりまっしぇん。）」

どちらか片方だけを使う人もいれば、場合によって両方を使い分ける人もいるかと思います。
ただ、軽い敬語の「～らす」の場合は「です」しか使わないようです。

「お父さんなおらすですか？」

「おらすです。」
「おらっさんです。」

これを

「お父さんなおらしますか？」

「おらします。」
「おらしません。」

のようには言いません。

余談ですが、最上級の敬語として「おんなはる」は「おんなさる」になります。

［例］
「天皇陛下のおんなさった！」

ちなみに「おんなはる」は、筑後弁だと「おらっしゃる」、博多弁だと「おんしゃる」になります。

［例］
筑後人「将一君な家におらっしゃったね？」
博多人「うんにゃ、おんしゃれんごたるばい。ばってんもうすぐ家さえ帰って来（き）んしゃるばい。」
熊本人「ばっ！あたどんな何ば言いよっとな？将一君なさっき帰って来(き)なはって、家におんなはるばい。」
将一君「じゃあけんのう。出掛けちゃあおらんち、言うちょるきぃ。」


☆ぜーたの熊本弁講座～ばし編～

古語がやたら多い熊本弁ですが、これも平安時代末期からある言葉らしいです。

「ありばしするごつ。」
「ありばしするか。」

「～ばし」という表現です。
「～ばし」とは「～するものか」「～するはずがない」という意味です。

訳すると「あるわけないだろうに。」に近いかと思います。

［例］
「おるが言いばししたか？」（俺が言ったりしたか？）
「にしが勉強ばししよっとや？」（お前が勉強をしているのか？）

この表現は筑後にもありますよ♪