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私は高校を卒業して、初めて県外に住みました。
近くの幼稚園、近くの小学校、近くの中学校、近くの高校と地元だけで生活をしていた訳ですが、専門学校へ進学するにあたり、初めて県外へ出る事になったのです。

高校在学中に専門学校の体験入学に行きました。
3号線？博多？都市高？私はまだ本当に何の知識もない時期でした。
何だか楽しい雰囲気の学校だ、と私の呑気さも良いところでした。

色々と親任せで何とか福岡市南区に引っ越しが完了、JRと西鉄どちらも近いので、便利な方を利用しようと予行練習をします。
電車の乗り方は知らず改札口でゲートに阻まれ、私は顔を赤らめるのです。

『バイトばせんや。』と母親に電話で告げられ、私はアルバイトを探します。
居酒屋、食品スーパー、家庭教師の勧誘、受けてみますが全て落選、『シフトって何ですか?』なんて聞けば、頭が足りないと思われても仕方ないのかも知れません。

それでも自宅から歩いて5分のコンビニが雇ってくれました。
辞めたり、出戻りしたり、色々あったけど、結局専門学校生だった3年間はそこのコンビニにお世話になりました。

世間知らずの私でしたが、仲の良い同級生もいました。
寮が同じで、学科も同じでした。
遊びに行ったり、食べに行ったり、飲みに行ったり、自宅で飲んだり、夢を語り合ったり、作品を見せ合ったり、楽しい日々でした。
ところが原因が何かはっきりしないのですが、卒業前に絶交状態になり、今でも連絡を取る事はありません。

卒業する少し前の話、私はアルバイトに夢中で勉強が疎かになり、単位が取れずに親に『もう一年行かせて。』と頼みます。
当たり前ですが、専門学校も多額の費用が掛かります。
そんな事もわかっていない私は、親に断れがっかりするのです。
それでも卒業までに沢山の提出物を作り、何とか先生に卒業させて貰います。

しかし、就職活動もせず、就職先も決まらない私は、卒業後に自動的に地元に戻ります。
1か月程ぷー太郎をした後、母親に『そろそろ働かんか。』と言われ、地元で適当に仕事をする事になります。

それから数年後、私は再び福岡県に住む事になります。
北九州地方に1年住んだ後、筑後地方に来てもうすぐ7年になります。
何故なのか、一番の理由は私が卒業して熊本に戻る時に『また福岡に住みたい。』という想いがあったからです。

当時は福岡＝福岡市だったので、福岡県南部の筑後地方等は未知の場所でした。
行った事があるところと言えば、山鹿から3号線を上った所にある八女の漫画倉庫位でしょうか。
後、大牟田にあったネーブルランド位でしょうか。（ちなみに大牟田は熊本だと思っていました。）
福岡、北九州、筑豊、筑後と4つの地方に分かれている福岡県ですが、筑後地方に来た当初、私はそんな事も知りませんでした。

専門学校生時代とは価値観も変わり、環境も変わり、まるで別人のような私ですが、今考えるとそういう理由があったのです。
卒業する時に『福岡』という場所に未練のようなものがあったのです。

久留米、八女、柳川、大牟田、そして筑後川、ついでに鳥栖、もう少し行って佐賀市、私は筑後地方とても好きです。
今となっては以前住んでいた福岡市には興味はありません。
北九州は住んでいても特に好きにはなれなかったのですが、旅行や観光には最適だと思っています。

久留米、八女は色々と歴史もあるし、面白いのです。
全く知らなかった道は覚え、飲食店は食べ歩き、たまに地元から遊びに来る父親におすすめスポットや美味しいグルメを紹介したりしています。
そして、7年も住むと慣れ過ぎて、全てが当たり前になってしまいます。

新たな視線で自分の将来を少しだけ考えています。
そんな時に、何も知らなくて、全てが新鮮で、好奇心ばかりだった頃をふと思い出すのです。