ぜーたの熊本弁講座～マニアック編～

熊本県と言っても結構広いです。
もちろん地域によって使う言葉も違うと思います。
天草の人と阿蘇の人が方言で会話したら、もしかしたら会話が成り立たないのではないでしょうか。

今回は私の生まれ育った「菊池郡」で使われている方言を紹介したいと思います。
母の出身地が「下益城郡」の方なので、そちらの方言も合わせて紹介します。


■おおけとる

「ふざけている、調子に乗っている、横着だ」の意味で使います。
父がよく使っていましたので、有名な熊本弁かと思いきや、熊本出身の方でも知らなかったり、ネットで検索しても出てこず、予想外でした。

車に乗っていて無理やり割り込まれた時に

「おおけと～！（ふざけてる！）」

と言ったりします。

手土産も無しにただ飯を食べに来た知り合いに

「あんひた、おおけとらすもん。（あの人は横着だもの。）」

等のように使います。

■すざる

「後ろに下がる」という意味で使います。
ばあちゃんがよく使っていた記憶があります。

はしゃいでる子供を注意する時に

「道にづっと危にゃあけん、すざらんか！（道に出ると危ないから、下がらんか！）」

のように使います。

「たまがっちか、すざっちもた！」（驚いたので、後ろに下がってしまった！）

※たまがる⇒驚く
※～ちか⇒～のに、～ので
※しもた⇒しまった

■とばしゅる

漢字にすると「飛ば汁」でしょうか。
喋っている時に飛ぶ唾や歯磨きする時に飛ぶ唾の事を言います。
残飯や腐った野菜等から出る汁も、それが飛ぶものであれば「とばしゅる」と言います。

「とばしゅんの飛ぶけん、あっちで磨きなっせ！（唾が飛ぶから、あっちで磨きなさい！）」

「飯の準備ばしよっとだけん、とばしゅっば飛ばさんごつね！（ご飯の準備をしているんだから、唾を飛ばさないようにね！）」

例えば、車を洗車していて、ご近所の家に水が掛かって迷惑になっている時に飛ぶ水の事を「とばしゅる」と言うかといえば、個人的には言うと思います。
あまり綺麗な言葉ではありませんね。

■よかろだい

博多弁に「よかろうもん」という有名なフレーズがありますが、それを全く同じ意味です。
熊本では「よかろもん」「よかろたい」とも言いますが、「よかろだい」と言った方が熊本弁的です。

「いいんじゃないの？」というニュアンスで使います。

「そぎゃんたせんちゃよかろだい？（そんなのはしないでもいいだろうに？）」

「～だい」は推量を表す言葉で、同じ意味の目下に使う言い方で「～だ、～だん」があります。
目上の人には「～でしょだい」というように、「ですたい」「ですばい」等と同じ要領で使います。

「早よ行かんと（行かにゃ）間に合わんどだ？（早く行かないと間に合わないだろうに？）」

「おっがしてやろだい！（俺がしてやろう！）」

「よかしごつに就いとっとだろだい？（いい仕事に就いてるんだろう？）」

「ほういっぴゃあ買うたっでしょだい？（沢山買ったのでしょう？）」

「～だい」の用法は柳川や久留米の筑後地方でも聞きますが、博多等の筑前地方で使うかどうかは微妙です。

■飯んしゃあ

「おかず」の事です。
「飯の菜」の訛りだと思われます。

「飯んしゃあのにゃあぞ！（おかずが無いぞ！）」

幼い頃、菊池の祖父の家に遊びに行った時によく聞いていました。

亭主関白の夫が「しゃあんにゃあぞ！」と叫んだら、すぐにおかずを作ってあげましょう♪

■えじい

「怖い、恐ろしい」という意味です。

お化け屋敷に入って一言、

「舞うごつえじいばん！（凄く怖いよ！）」

と言いましょう♪

※舞うごつ⇒凄く（舞うほど）
※ばん⇒だよ（ばいの砕けた言い方）

「そぎゃんえじいこつば言いなすな！（そんな怖い事を言わないで！）」

■いばちか

「勢いがある、迫力がある、威勢がいい」等の意味で使います。
人にも使うし、物事にも使う事があります。

「あやつの顔はいばちかもん！（あの人の顔は迫力があるもの！）」

「台風のいばちかなぁ。（台風の勢いがあるね。）」

■うんぶる

「埋める、湯に水を足して温くする」の意味で使います。
風呂に入っている人に「まちっとうんべちはいよ。」と言われたら水を入れましょう。

母が使っていたので、私も普通に使っていましたが、県外に出て知っている人がいなくてショックでした。
父は使わないそうです。

ちなみに下益城郡では、暑い風呂が好きな人の事を「あつがん」、反対に温い風呂が好きな人の事を「ぬるがん」と言います。
検索してもあまり出てこないのでこれも方言ではないでしょうか。


まだまだ沢山ありますが、今回はこれ位にしておきます！