ぜーたの熊本弁講座～しゃが、げっと、ぎんた編～

毎度、お馴染み「ぜーたの熊本弁講座」です！＼(^o^)／

以前紹介した「しゃが」という表現ですが、今回は他県での言い方も含めて検証したいと思います。(･∀･)


まず「しゃが」の意味でしたが、

一つは「（～すると）すれば、（～する）ならば」でした。
この場合、「しゃがな、しゃがにゃ」とも言います。


[例]そがん目の見ゆっとしゃが、逆に困っどだい？（そんなに目が見えるとすれば、逆に困るでしょう？）

[例]急がんとしゃが、間に合わんばい！（急がなければ、間に合わないよ！）


もう一つは「～さえ」という意味でした。

[例]学校にぴしゃっと行きしゃがすっとよかったい！（学校にきちんと行きさえすればいいんだよ！）

[例]靴の脱げんしゃがすっと大丈夫だん！（靴が脱げさえしなければ大丈夫だ！）


「せんとしゃがよか。」

「せんしゃがすっとよか。」

似た言い方ですが、

前者は「しないとすればいい。」

後者は「しないでさえいればいい。」

という風に意味が異なります。


二種類の意味があるのは、元々は別の言葉だったものが同じ発音になってしまったからだと思われれます。


この「しゃが」は代表的な熊本弁（特に県北から県中にかけて）だと言えます。

しかし、響きが田舎臭いのか、若者にはあまり伝承されていません。
「ばいた、がいた、かいた」と同様に絶滅の危機を迎えている熊本弁です。


話は変わって、お隣の筑後でもこれと似た意味の言葉があります。
但しこちらは「さえ」の意味はありません。

それは「げっと」です。

旧久留米藩の領域では使われず、旧柳川藩の領域のみで使われる、いわゆる「柳川弁」です。


[例]今日は来んげっとよかった！（今日は来なければよかった！）

[例]勉強するげっと、大学に受かるばい！（勉強すれば、大学に受かるよ！）


「げっと」は「しゃが」とは全く違う響きで、佐賀・長崎で使われる「ぎい、ぎりゃー」と同じ部類の表現です。

[例]チキンナゲット、ゲットするげっとがば嬉しか！（チキンナゲット、手に入れるならば凄く嬉しい！）

というようにゲットを連呼する事も出来ます。


「しゃが」とは違い、間に「と」を入れなくても使えるので、


「すっとしゃが～（そうすると～）」 は

「すっげっと～」で済みます。

[例]そげなとけおるげっと、危なかばい！（そんなところにいると、危ないよ！）



そして、最後に「ぎんた」です。

これは佐賀や長崎で使われています。

[例]こいば書っぎんた、持ってってくんしゃい！（これを書いたら、持っていって下さい！）

[例]そいぎんた、作ってみゅうか！（それならば、作ってみようか！）


はっきり「ぎんた」とならない場合もあり、「ぎ、ぎぃ、ぎりゃー、ぎっと」等かなり言い回しが多いようです。


「そいぎねー。（そしたらねー。）」 は佐賀・長崎では別れの挨拶としてよく使われています。

標準語の「じゃあねー。」、熊本弁の「ならねー。」と同じですね♪(･∀･)


諫早や島原辺りだと海を挟んで柳川に近いせいか「げっと」ならぬ「ぎっと」を使うようです。




「ぎ、ぎぃ、ぎんた、ぎりゃー、ぎにゃー、ぎっと、げっと」等の「ぎぃ系」ですが、実は熊本でも南部では移入があるようです。

そもそもは有明海沿岸で使われている言葉だと思うので、天草や芦北等では使っていてもおかしくはないですね。

ただ、天草では「せんとぎっと、せんとぎんにゃ」のように間に「と」が入るので、佐賀・長崎とも微妙に使い方が違うようです。
それと「さえ」の意味での「しゃが」も使う事もあるので、天草はかなり多様性ある地域だと言えます、


しかし、それでも熊本北部・中部で聞かないのは、「しゃが」という言い回しがあり、もしかしたらそこで対立があったのかもしれませんね。

天草弁が長崎の言葉に近いように、有明海を中心に方言がぐるっと一周しているのは面白い事ですね♪


個人的には「げっと」が好きです。
2年ほど前に初めて聞いた時はただならぬ言葉の響きに感じました！Σ(゜Д゜)




続く…！(。-∀-)