
皆様こんばんは~☆
本日は全国的に冷え込んでますね・・・
さて、ぼちぼちセッティングの大事な要素である点火時期に触れてみたいと思いますが、点火時期とはなんぞや?という方のタメに簡単にはしょりつつ説明してみたいと思います。
点火時期を考える前にまずはエンジンが動く仕組みをちょっと考えてみましょう。

一般的な4ストロークのエンジンの場合その名の通り4つの行程に分けられます。
まずピストンが上がり切った状態(上死点)からピストンが下がると同時に吸気バルブが開き、ガソリンと空気の混合気を取り込みます。
次に下死点で閉まった吸気バルブによりシリンダー内は密閉され、ここからピストンが再び上がり中に閉じ込められた混合気を圧縮します。
再び上死点まで戻ったピストンとヘッドの隙間(燃焼室)内にスパークすると、圧縮された混合気が急速な酸化反応(爆発的燃焼)を起こしピストンを押し下げます。(1気筒で力が発生するのはこの行程のみ)
燃焼でピストンが下死点にくると今度は排気バルブが開き、上死点に戻ると共にシリンダー内の燃焼ガスを排出して最初の状態へ戻ります。
とまぁ、こんな感じの仕組みでエンジンは動くわけです。
一定の回転範囲でこれを繰る返すには、一定のクランク角度にあるとき、機械的なスイッチを用いてスパークさせればいいわけですが、これが高速回転していくと少し問題が出てきます。
物理的な混合気の移送速度や、点火後混合気全体が燃えきるまでのタイムラグによりピストンやバルブの動きなどに見合わないタイミングで爆発を起こすようになります。
回転を上昇させれば自然と点火サイクルも回数をこなさないといけませんが、このラグの影響を解消するあめに行うのが、動的な点火時期の調整です。
かつてはディストリビューターといったもので大まかな点火時期を制御していましたが、最近の車の殆どはエンジン制御コンピューターであるECUによりこのタイミングをコントロールします。
回転の上昇に伴い一般的には進角方向へ点火時期を進めますが、早過ぎると今度はピストンの動きに逆らうタイミングで爆発し、エンジンに深刻なダメージを与えます。
遅角方向へ点火時期を遅くすればエンジンダメージは受けにくいですが、圧縮のピークを過ぎた状態では十分な爆発力を得られずパワーが出ません。
さて、これまでのお話でいくつか燃焼条件について記述したと思うのですがここでもう一度簡単におさらいします。
混合気の濃度について・・・
希薄(リーン)燃焼では燃焼温度が上昇する。
理想空燃比より少し濃い状態が最もパワーを得られる。
回転の質が軽くなる。
濃厚(リッチ)燃焼では燃焼温度が低下する。また含まれる水分(ガソリン)の気化熱効果により冷却効果をもたらす。
回転の質は重くなる。
点火時期について・・・
点火時期は回転の上昇により進角方向へ取る必要がある。
ただし進角しすぎるとノッキングを起こしやすくなり、エンジににダメージを負い易い。
遅角方向では効率が下がり得られるパワーが下がる。
深刻なエンジン負担にはつながりにくいものの、不完全燃焼傾向になり排ガスの質に問題が出る。
とまあこんな感じになります。
スポーツ車において燃料がハイオク指定になるのはこのあたりの問題で、パワーを搾り出す為に一般の乗用車に比べ点火時期や燃料濃度を調整しています。
市販車では緊急用にレギュラーガソリンを使用した際には、ノッキングを感知し燃料の増量(燃焼温度をさげ、燃焼速度を遅らせる)や、点火時期をリタード(遅延処理)してダメージを減らしますが、そのような制御の為に燃費が悪くなり、またパワーも引き出せない状態となるようにプログラムされています。
勿論、スポーツECUなどを導入した際はこの限りではなく、レギュラーマップなんて気の効いた物はありません。(稀に使えるものもありますが、基本はハイオク専用になり、よりシビアな管理が必要になります)
よくハイオク仕様車にレギュラーを、なんて質問が出ますが実際のトコ補正係数と燃料の差額を考えた場合、特に今のようにガソリンの基準価格が高い場合はメリットは殆どなく、ハイオク仕様の高パワー・希薄燃焼のほうが、同じ加速感を維持して走るのならばコストも安くなります。
更にエンジンダメージなどのデメリット分まで加味すると、ハイオク前提の車にレギュラーを入れると激しくコストパフォーマンスが下がります。
少し脇道に話がそれましたが、現車でセッティングをあわせるという事は本来持つ制御面での「マージン」を削り取るといった作業に他ならないです。
それだけリスキーな状態に車を近づけるという事を忘れてはいけません。
勿論ガソリンにのみならず、オイルや水周りなどへの影響も大きくなりますので、チューニングが進むと同時にそれはメンテナンスもより一層注意を払わなければいけないという事です。
実走状態でデータをリアルタイムに変更するのであれば、それは僅かな入力ミスがそのままエンジンブローに繋がる可能性を持つことを十分に理解すべきかと思います。
逆にいえば、前回の負荷走行データを見ても解るように、ある程度のデータを持ったECUを使っていても、排気・吸気・過給などを変更している場合、既にリスキーなエンジン制御になっている可能性も頭に置いておかなければいけません。
よくチューニングされた車は敬遠すべき、というのはその辺の事情があるためだったりもします。
MT載せ換えを検討している際に、MT車への乗り換えも検討したのですが・・・
某GT系ショップで勧められた34・・・メタルから異音でてました(汗)
若い子ならつい手をだしてしまいそうな装備満載な車両でしたが、知らないで手を出したら悲惨というか、お金が飛散ですね。
とりあえず今回も長くなりましたが最後にパワーFCのつるし状態の点火時期を見てみましょう。
こんな感じです。
このデータから読み取れるものは、まず低負荷(NA領域)では大きく進角のスタンスをとっていること。
中間域の点火時期に谷があること。
高負荷領域、主にブーストで0.8~0.9付近ですが、そこから極端に点火時期を遅らせていること。
が見て取れます。
マップの中央付近にある谷は可変バルタイをオフにする領域で、切り替わりタイミングのもたつきに対処するために遅角化していますが、これがトルクとパワーの落ち込みを招いています。
燃料マップを併せて見た場合、その箇所は特に濃くなりだす領域ですので回転の伸びが悪く、パワーを伴わないことが推測できます。
あとは全体的急激な角度変化があるマップになってますので、一本調子で踏んで行くシチュエーションでは良いかもしれませんが、街中などでの操作にはギシシャク感が伴うようなマップともいえます。
続きはまた次回ということで今回はここまでにしておきたいと思います。
(最後まで読んで下さった方、有難うございました)