2017年08月26日
YZF-R15(2017)覚書2
前回に続いて第二回。
簡単なスペックとインプレッションをちょっと雑誌風に(笑
インドネシアのYAMAHAは期待する――
2017年4月にインドネシアより発売。
ALL NEW R15と銘打って、新たに与えられることになったYZF155の呼称の通り、従来の149ccのエンジンからブルーコアをベースとした155.1CC 鍛造ピストン VVA(可変バルブ機構)を備えたエンジンと共に、アシスト&スリッパ―クラッチ、倒立式のフロントフォーク、ブレーキの大口径化、バックライト付き液晶のフルデジタル高機能メーターなどの変更を受け、生産も従来までのインド生産からインドネシア生産へと変更された。
インドネシアでは発売前の予約の為に、専用のドメインを用意するなどYAMAHAのこのモデルにかける意気込みが感じられる。
日本国内における形式認定は、2017年8月現在の時点ではまだ確認できておらず、国内販売のあるYZF125・R25等との棲み分けの観点から考えても国内販売はされない可能性が高いとみられている。
WEB上ではマイナーチェンジと言われていたものの、冒頭で述べた理由により事実上のフルモデルチェンジとなっている
ではその新しい車体のデザインは――
MOTO GPのDNAを継承したと宣伝されている通り、近年のYZF-Rシリーズのスタイルを強く意識された非常にシャープなデザインとなっている。
カラーリングは現在発売予定のインドネシア・フィリピン・タイ・ベトナムの4国共通で青・赤・黒の3色。
テールカウルがエアスクープのようにウィング形状となっており、近年のYAMAHAが強く意識しているデザインとなっている。
燃料タンクは樹脂製のカバーで覆われており、エアスクープやヤマハの立体造形の音叉オーナメントが左右に配されるなど、ジオメトリ的に左右のバランスを意識したデザインとなっている
気になるスペックはクラストップレベル――
エンジンタイプ:VVA搭載SOHC2バルブ4ストロークエンジン(シングルピストン)
排気量:155.1cc(155.1㎤) 58.0×58.7mm
圧縮比:11.6:1
燃料供給方式:FI(IDmark:BK61 00)
最大出力:14.2kw/10000rpm/19Hp
最大トルク:14.7N・m/8500rpm
ミッション:MT6速シーケンシャル
クラッチ・アシスト&スリッパ―クラッチ
サスペンション:倒立式/フロント アルミスイングアーム貫通型シングルショック/リア
駆動方式:チェーン駆動
減速比:(プライマリー:3.042)(セカンダリー:3.429)
1速:2.833
2速:1.875
3速:1.364
4速:1.143
5速:0.957
6速:0.840
※車体説明書の諸元情報より
これだけ見てもわかる通り、見た目だけなんて囁かれることもあった従来モデルに比較しても、大幅なパワーアップを果たしているのがお分かりいただけるだろう。
従来モデルにしても、決してそこまでチープな性能では無かったにも関わらず、良くも悪くもコストカットされて、質感が伴わない部分も多かったために、斜に見られてのは、デザイン性の高さを裏付けての事だろう。
その事に鑑みて、今回は精悍なマスクに相応しいスペックを得たこの新型R15は実際に実に軽やかに走り出す。
高圧縮となった為に、アイドル付近よりしっかりとしたトルクを発生し、早めのシフトアップをしたとしても、実にスムーズに速度を乗せていけるのだ。
前モデルより少しだけスポーティーな前傾となるポジションも、既に身体のあちらこちらにガタの来ている筆者にとって、苦になるほどのものではなく、軽い車体と高いシート高故の高重心を、適度に緩和させてくれるものとなっていた。
実際におよそ200kmほどのソロツーリングをしてみたのだが各区間の印象を軽く紹介したいと思う。
市街地走行:
ツーリングの序盤は市街地走行からとなる。
早朝の市街地を静かに走り出し、響く排気音と、足元から聞こえるギアボックスの音は、さながら新聞配達といった印象だ。
自宅周辺で十分な暖機運転を行えなかった為に、あまり負荷をかけないように低速ギア中心で走り、油温と水温をあげてやる間も、昔のキャブ車のようにどうにもまともに走らない、なんてこともなく、実にスムーズな走りを見せた。
区画ごとに設置される信号に捕まりながら、そのたびにストップ&ゴーを繰り返すことになるのだが、前述したとおり、エンストの気配すら全く見せることが無い。
なにせ筆者がこのバイクを手に入れたのは昨日の事。納車翌日、それも自分のバイクを持つのは15年以上のブランクを抱えたうえで、そのように扱えるという事はこれからバイクに乗ってみようと考えているバイク初心者の皆さんにも大変心強い事だろう。
低排気量シングルの新しい車両にありがちな、ミッションの渋さも全く感じないまま、クラッチを使用しなくとも軽くブリッフィングするだけでスコスコと入るこのミッションはなかなかに扱いやすい。(良い子はマネしないように)
30キロ区間、40キロ区間、50キロ区間、60キロ区間と高速に乗るまでそれぞれの区間を走ったが、どこの区間でもギアの選択に迷うようなことも無く、実にスムーズに走ることができた。
高速走行:
まだ慣らし中ではあるものの、ETCのチェックも兼ねて高速へ。
回しすぎに注意しながらもスムーズに合流して、のんびりと高速を流すと、車体の軽さから若干風の影響は強めに感じられた。
17インチ・やや太くなったタイヤを標準で装着しているために、轍が気になることは今回のルートの中では感じられず、少々心配していた談合坂も苦も無くのぼったことには、正直筆者も驚くほどだった。
元々絶対的な速さを求めてこのモデルを買う人はまずいないだろうという前提で、筆者も緩んできた身体を少し揺らそうと思い探しているうちに、実に足廻りが良さそうなこのモデルに行きついた経緯がある。
人によってはやや硬く感じられるかもしてない足廻りではあるものの、高速道路の継ぎ目で跳ねることも無く、きちんと路面からの衝撃をうまく吸収しているのが良く判った。
今年に入り賢いアイサイト搭載のレヴォーグを導入した事も有り、随分と堕落しきっている筆者ではあるが、自分の意思でアクセルによってトラクションをコントロールする楽しさを忘れたわけでは無い。中央道下りの上り坂のワインディング区間でも、下りの区間でも軽快に、それでいて安定して駆け抜けるのは、実に気持ち良いものとなった。
そして気になる振動は、無いと言ってしまえばそれは嘘になる。
間違いなくシングルエンジン独特の、エンジンの振動による手足のしびれは若干あったものの、今回は約60キロの走行とあまり長くないために、1時間程度ごとにきちんと休憩を挟んでやれば十分対処可能な範囲だろう。
ワインディング走行:
マッチングのよさそうなワインディング走行だが、上りの低速ワインディングとなるとインジェクションの単気筒スポーツの宿命か、パーシャルアクセルの使いにくさが若干気になった。
まだタイヤも十分に皮むきが終わらない状態で、限界特性も判らない中での走行ではあったものの、筆者はあまりに4ストマルチのキャブ車のイメージが染み付いており、それは四輪になっても6気筒エンジンの車が非常に多い。
今でこそ燃費の為に過度な多気筒が敬遠されつつあるものの、マルチなエンジンの持ち味の良さはそういった絶え間なく滑らかに湧き出るパワー特性こそである。
そのような特性のエンジンではパーシャルアクセル時の扱いやすさが良くなるが、これが気筒数が減って行くとどうしても、1発あたりのパワーがあり、その間隔が遠くなる。
4サイクルシングルともなればやはりムラっ気の強さがでるもので、どうしても車体安定性の落ちる低速時こそ、デジタルなオンオフで発生する忙しいまでのトラクションの変化も加わって、ギシシャクとしてしまう場面が見受けられた。
逆にある程度速度の乗る区間になると、繋がりの良いギアと、よくできた足廻りの恩恵で、加重移動が綺麗に決まり、コーナー出口ではややリア寄りとなる荷重を感じつつ、軽やかに立ち上がっていく様子にシングルスポーツの楽しさを垣間見た。
そんな感じに一通りのシーンを通るツーリングだったのだが、気温34度という炎天下の中でも感じることの出来た楽しさを、少しは読んでいる皆様にもお伝えすることは出来ただろうか?
そんなわけで、雑誌のレビュー記事風にしてみましたけど、お楽しみいただけたでしょうか?(笑)
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バイク | 日記
Posted at
2017/08/26 02:12:59
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