こちら
に続いて、第二期ホンダF 1に関わった著者による実録の書です。
画像右側の裏表紙にあるように、著者はおそらく文科系出身のHONDA社員であったのだと思います。氏はF 1レースの舞台裏でヨーロッパ人中心のF1レース界を仕切る強者や、セナ、プロスト、ベルガーといった超人的ドライバー達を相手に交渉やマネジメントを実戦経験してきた方です。
氏がHONDA社員として活躍された時期は、私がモーターレーシングに興味を持ち、ファンになってから今に至る時期と符合します。従って雑誌メディア等で見聞きしたホンダF 1の活躍の舞台裏の色々な事象が記されており、興味が尽きぬまま息もつかずに読了してしまいました。技術系でなくとも、こういう形でF1ビジネスに関わられたとは、全く羨ましく、素晴らしい経歴です。
私は何故か1987年の8月、ヨーロッパを周遊する機会があったのですが、確かロンドンで購入した雑誌の誌面に、HONDAが翌1988年、ウイリアムズとの契約を打ち切り、マクラーレンとロータスへエンジンを供給するとの記事を発見しました。英語の短い文面には批判的な匂いがプンプンしており、すでに英国人的考えに染まっていた私も、『そりゃあちょっと冷たい仕打ちだよねえ』と思ったものですが(笑)、この本の著者はその後のマスコミやファンへの対応にかなり苦慮したのだそうです。
HONDAのF 1エンジン供給に関しては、休止してみたり再開してみたり、撤退してみたり再開してみたりで、モータースポーツファン目線からすると不満が多いですが、「中の人」によるその事情に関する文面を読まされると、ナルホドなと感じる部分もあります。
なお、この本を知ったきっかけは、twitter上で時にやり取りさせていただいている、Stinger F1 Newsの山口正己氏の推薦です。
あの方も三十ウン年前、オートテクニックの若手編集者だったころ、ラジオ関東のザ・モーター・ウィークリーに登場してレース用直管ペリ12Aロータリーエンジンの音の口真似という離れ技を披露されました。その傑作な隠し芸は未だ私の記憶に残っています(笑)
値段も手軽な新書ですから、レースファンなら読んでおくべき本でしょうね。
Posted at 2015/03/25 23:44:09 | |
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